ドリーミーなシンソン、そしてポップとロックのうまみを堪能 高橋徹也with宮下広輔ライブ1月19日 鎌倉molnにて

今年最初のライブはシンガーソングライターの高橋徹也さん。鎌倉の素敵な雑貨屋さんmolnでのライブでした。奥さんが大好きで前から気になっていて、ライブとっても素敵だよーということで一緒に行ってきました。

編成はアコースティックギターとヴォーカルの高橋さんにここ3年間ご一緒してるというスティールギターの宮下さんのお二人。

高橋さんはナチュラルなひびきの美しい歌声。心にストンと入ってくる素敵なものでした。曲想は広大な大地を思い描くような美しく鮮やかなものから、人懐っこいワルツ調ポップ、ドラマティックに激しいロック等カラフルに。アコギのカッティングがとってもさわやかな音色で、そこに宮下さんのスティールギターが時に暖かく時にスペイシー溶けあうと、ふっくらと豊かな音空間が出来上がり場を包みこんでくれます。時々その溶け合う具合が美しい情景のようにぱーっと心に広がりえもいわれぬ高揚感をもたらしてくれて、ほーっと素敵さにうっとりすることも。

この鎌倉molnでのライブはミュージシャンの愛読書をライブの合間に紹介する題して「貸切り図書館」という面白いもの。高橋さんもお気に入りのヘミングウェイや、食わず嫌いだったけど好きになったという村上春樹、筒井康隆をお話たくみに紹介。曲のインスピレーションと呼応する形で高橋さんの愛読書の紹介があるので、曲想や詩世界がより深く心に届き味わえてとっても良いものだなぁと。いろんなミュージシャンを呼んでの鎌倉molnさんの企画「貸切り図書館」、今回で67回目と長きに渡って続いているのもわかる気がしました。高橋さんの詩世界、ちょっとかっこ悪く情けない男がちょくちょく出てきて、こういう男像を描くのが好きなんだなぁと聞くほうもにっこり。何気ない日常をさらりと書いたり、ドラマティックな社会派な詩もまた印象深く。おしゃべりのナチュラルで気さくに面白いところ、詩の良きあじわいにバッチリ出てるなぁと思いました。

選曲は書の紹介にリンクしてヘミングウェイにインスパイアされたもの、春樹的な小説、物語的なものを数曲等、意識されながらの進め方も、初めて聞く自分でもすんなりと高橋さんの世界が入ってくる優しさ、心遣いを感じました。途中で宮下さんのスチールギターをバックに高橋さんが星新一さんの短編を朗読したり、アンコールではmolnの店主、綾さんがゲストヴォーカルで参加して、いろどりを添える場面もこの会場ならではの楽しさ。

曲調の印象は、10代の頃洋楽偏重で聞いていたとおっしゃるとおり英米のシンガーソングライターの香りが。スチールギターがアコギに溶け合うさまは、良きメロディーを紡ぐドリーミーなシンガーソングライター~メロウなアシッドフォークの様相。グルーヴィーなアコギのカッティングも印象的でリズミックにポップなところも。ジミー・ウェブとグレン・キャンベルのコンビ、ティム・バックリー、ある曲はジョン・セバスチャンのI Had A Dreamとデヴィッド・ボウイのSpace Odittyのコード、曲想を溶け合わせた感じ等いろんな先人の素晴しさを自分に消化し生み出していってるのかなぁと。そんなことに想いをめぐらすのも楽しく。

高橋さん、今年もいろいろとライブを予定しているそうなのでまたいけることを楽しみに、そしてmolnさんの好企画「貸切り図書館」もとってもよいのでまた行って見たいなぁと思いました。素敵なライブで幸先のよいスタート。今年はどんな素敵なライブが見れるのかなぁとワクワクです。ではまた。

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