見出し画像

フィルターとRaw撮影とAdobeRGBのお話その①

IPAF(インターナショナルフォトアクセサリーフェア)と言うイベントでH&YFilters社製、角型ハーフNDフィルターとCPLフィルターで作品を作る機会を得ました。

ストロボとフィルターを使ったポートレートなんですけど...

ひとことで言えば...

「ハマりました!」



基本的にPhotoshopでいじる人なのと、年代的な問題もあって、フィルターをつけると解像感が落ちるのではないかと言う意識が抜けきらずフィルターの類はレンズ保護のプロテクターも含めてあまり使わないのが僕の撮影スタイルでした。

しかし最近のデジタルカメラ事情、また交換式レンズ事情はとっても綺麗に写るのを通り越して、綺麗に写り過ぎると言う揶揄すら散見されるほどで、フィルム時代の写真とは完全に一線を画しています。つまり、誰でもシャッターを押せばそこそこ綺麗に写るようになりました。またスマホカメラの高性能化や各種デジタルフィルターやレタッチアプリの普及も同様に

「カメラは気軽に綺麗に写るもの」

「アプリでSNS映えする写真は簡単に作れるもの」

と言う意識があるのは否めません。

また、デジタルカメラ本体の機能には、セピア調などの雰囲気を醸し出すエフェクト機能も選べる場合も多く、簡単にいろんな表現を楽しむ事が出来ます。

それだけ簡単に楽しめるようになり、より身近で気軽な存在になった写真ですけど、それでも多くの人たちがミラーレスを含むレンズ交換式デジタルカメラで様々な表現にチャレンジするのは何故なのか...敢えて独特のアイテムを付け加えてポートレート撮影にチャレンジするのは何故なのか...

簡単な答えだと思います。

「凄い写真が撮りたい!」

これに尽きるのではないかなって思います。


さてそんな写真事情の拡がる中で、今回僕が使ってみたのは

①H&YFilters社製、角型ハーフNDフィルターとCPLフィルター

②コメットストロボ、Dm360TTLです。

Dm360TTLについては、2017年のCP+以降ずっと使い続けていて今では無くてはならない存在になっています。

そして、前述した通りデジタル化以降初めてフィルターを使いました。古くはモノクロームフィルムを中心に撮影をしていた学生時代、レンズにグリーンのモノクローム用フィルターなどをつけていましたが、当時はよく分からずに使っていた感じでした。今思えば、コダックのトライエックスにもTMAXにもグリーンのフィルターをはめて撮影するなんて「お前何でフィルターつけるか良く考えろよ...」と言いたくなりますけど、振り返って意味がわかるようになると、あながち無駄でも無かったかなとポジティブな思い出にしておきたいところです。

それ以外で使っていたのはPLフィルターぐらいで、後にプロになって特にリバーサルフィルムで撮影する事が多くなってからは、フィルターフードをレンズ前に装着して富士フィルム社製のLBB、LBAと言う色温度を整える目的で使うゼラチンフィルターを使う事がほとんどでした。(コダックじゃなくてフジ派でした...) あ...たまにファッション誌で表現上光源をキラキラにするクロスフィルターも使ってましたね。

今思い返しても、必要に迫られたお仕事的な内容でしか使っていませんでしたし、レンズプロテクターを付けてたら年配のカメラマンに「フィルターななんか付けて解像度落としてどうするんだよ、お前バカか! 前玉は消耗品だ!」と怒られれたのも今となってはいい思い出です。

さてそんなこんなで年末に機材が届き、まずは理屈を間違わずに理解しておきたいので、H&YFiltersの新井さんに詳しくあれこれ根掘り葉掘り話を伺いました。その上で、撮りに行きたいと思ったのは「夜明けのマジックアワーポートレート」です。

マジックアワー、マジックタイムとは、一般的に朝日が登る直前、夕日が沈んだ直後の独特の空と地上の境界線が織りなす独特のドラマチックな濃淡が現れる時間帯の事を言います。昔から、写真撮影や映画撮影などでもその一瞬の時間帯を狙った撮影を行う事がありました。

何で夕日じゃ無くて朝日を狙ったのかと言うと、山では無く水平線と空を撮りたいと思ったからです。日本海沿岸に住んでいたら、素直に夕日を狙いに行きました... さて、そんな狙いがあったのでモデルとの待ち合わせは深夜午前3:00です。日の出はだいたい6:40頃になります。5:00頃には現地に到着して6:00過ぎには撮影を開始したいと言う目論見です。お付き合いいただいた、ナンシーさんと東真千子さんには、本当に感謝しかありません。

目論見通り、と言うか目論見以上に素敵な情景が広がり始めました。

画像1

AM5:54

残念ながら、一直線に拡がる水平線と空の境界線とまでは行きませんでしたが、まずはファーストショット。

大満足です。

−2℃とは思えませんね。

月や星の拡がる空と、明けゆくギリギリのマジックタイム。宇宙と大気の雄大さを感じました。新月直前の三日月がとても綺麗で感動しました。

角形ハーフNDフィルターは、「ソフトGND0.9」で、フィルターの一番暗い部分で3段分(3ev)じわじわと暗くなって行きます。今回の撮影では明けきらない空の夜感、宇宙感を強調したいので上方(かみて)が暗くなるようにセットしています。またドロップインタイプCPLフィルターの効果として、空気中の埃の乱反射や海の乱反射を強調したり抑えたりする事が可能です。

ストロボは2灯で、両方ともオプションの180Φのオカマ(リフレクター)に付け替え、蜂の巣状のグリッドを装着しています。光を絞って被写体に当ててコントラストを際立たせるのが目的です。メインライトのストロボの位置は被写体から平行にほんのちょっと後方から上手(写真右側)上方3m程度の高さから照射してます。アクセントライトになる下手(写真左側)側はモデルの頭に平行に当たるように配置してあります。モデルが上を向いたり等動く過程で顎下から当たるようなおばけライトにならないための配置になります。

ストロボDm360TTLのパワー出力はフル発光で360wです。一般的モノブロックストロボの中でも高出力の部類になりますね。カタログスペックではフル充電250回程度の発光が可能ですが、気温が氷点下を下回るとカタログスペック上の電力消費が期待できない場合があるので注意は必要ですね。電力消費が激しくなりカタログスペックよりも早く電池切れになる可能性があります。カタログなどに「0℃〜40℃」などの推奨条件の但し書きがある場合があります。

出力はTTLオート発光で大体の明るさを確認し、「上手だけちょっと暗くしようかな」とか「下手の光をもう少し強くしようかな」などとそれぞれコマンダーを使ってカメラの露出補正をするように、プラスマイナスボタンで微調整した後、シャッター押すたびにTTL測光値がバラバラにならないようにマニュアルモードに切り替えて撮影本番に入っていきます。

その他の撮影詳細を一枚にまとめてみました。

トーンカーブでちょっとだけ明るくしていますので、そのトーンカーブもご一緒にどうぞ。

本来はRaw現像時に明るさを決めて変換した方が良いのですが画面見てたら明るくしちゃいました。トーンジャンプなどが生じるようなら現像からやり直しますが、そのあたりのお話は「その③」以降になるかなと思います。

画像2

じわじわと太陽が登っていくので悠長に構えては居られません。

サクサク撮り進めて行きます。

画像3

AM6:40

ちょっと雲が出始めました。こう言うのは時の運です!

寄せてきた波が立ち位置を超えた時に急いで戻って再度仕切り直します。足元がまで波がきた直後なので砂浜のリフレクションがとても美しい反射を演出していてとてもドラマティックです。

画像4

その②に続きますがその前に、トーンカーブをいじって仕上げると、よりドラマチックかなと言う仕上げがこちらです。

画像5

画像6

その②に続きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?