日本語と英語の違い ー 時制

英語に現在進行形というのがあり、動詞は”-ing"の形をとる。
「毎日の英文法」(朝日新聞出版社)によると、

”現在進行形(am/is/are + 動詞の現在分詞(+ing形)は、
「話している今、行われている」あるいは「話している今、まだ終わっていない」行為や出来事を表す。”

そのような行為や出来事は、日本語だと「~している」という表現される。

では、次の日本語はどうなのか?

「AIベンチャー企業に巨額の投資がされ、アップル、マイクロソフトなどの大企業も研究所を設立しています。」

通訳初級レベルのクラスで、設立しているをbuildingと訳出した生徒さんが何人かいた。「~している」=~ingの公式で自動変換したと思われる。
文法的には間違っていない英文になるだろうが、意味的には正しいのだろうか?

「設立している」を "are building"と訳出を聞いたら、私だったらツッコミを入れたくなる。「それは、ちょっと遅すぎやしませんか?」
are buildingということは、今、絶賛建設中ということなので、研究所はまだ完成していないということになる。AI技術が日常生活にも入り込んできているほど急速に進歩しているのに、まだ研究所ができていないというのは、遅すぎやしませんか?ということだ。

実際、マイクロソフトもアップルもAI研究所をすでに持っている。
事実関係はおいといて、「している」= "~ing"の公式が当てはまらいのはなぜか?

「逆転の英文法」(NHK出版)によると、
”日本語の「している」と英語の進行形とは全く別の発想を表している” 
からだ。

日本語の「している」は「結果の残存」を示す場合にも使われる。
「設立して、設立した状態がさしあたりこのまま続く」という状態を表現している。(日本語は英語に比べて”状態”を重視する言葉だと思う。)

なので、「設立している」=”~ing”にならないのだ。

言語によって時間的概念が変わるのですね。
言語学習において、文法、単語も大事だが、各言語の性質を大雑把に理解しておくと理解が深まると思う。





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