羽化登仙

地元に居られるのもあと半月程となった。
不思議なことにそう思うと急に寂しくなるものだ。
それまでは早く脱したい気持ちでいっぱいだったのに、だ。

そこで、駆け込み天下りならぬ、駆け込み地元巡りを敢行することを決意。
既に愛車は手放してしまったので主な移動方法は公共交通機関となるが、その方が旅っぽくて良いだろう。
ただ、恥ずかしながら今日は昼近くに起床し、ボーッとした中で上記の決意をしたため何の計画も立てていない。よって今日の所はとりあえず近所の居酒屋へ行っておこう。行動に迷ったら、まず酒だ。

一人、駅前の居酒屋へ。
地元の友人達と集まった折に訪れたことのある、焼鳥をメインにしたよくある居酒屋チェーン店だが単独で入るのはこれが2回目だ。麦酒から始まり、枝豆、焼鳥、キムチなどを食したのだが、グルメリポートは不得手だということが前回のログを見て分かったので今回は書かないことにしよう。

飲んでいる途中、高校時代の友人から着信が。仕事中にも関わらず、転職祝いの言葉を頂戴する。
居酒屋特有のザワザワ感を背景に青森と岐阜とを結ぶ通話だったが、声色は鮮明に伝わってきた。
不思議なチカラがそこに宿っていたに違いない。

来週の日曜に同じ高校の友人が神奈川で結婚式を挙げるのだが、電話の彼は式に出席できないとのこと。非常に残念でならないが、来年の夏に東京で会う約束を交わす。
締めに鮭茶漬けを。
会計の際、東京への転居に伴う多大な出費と、来月から生活費が膨れ上がるであろうという現実が頭をよぎるが、隅っこに追いやる。

今の私にとって大切なものは、少なくとも「お金」ではない。

(2009年9月28日)

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