rewrite今昔物語 第二話
七郎達は今夜の寝所を探し街道を進む。完全に日が落ちるまでそんなに猶予も無い。
暫く進んでいると、大きな屋敷が見えてきた。どうやら廃屋らしい。大きな門に沢山茂った樹木が覆い被さっている。
何とかこの屋敷で夜露はしのげそうだな、藤次。ちょっと中に入って様子を見て来てくれないか?と七郎は言った。
分かりました若様、わたくしが調べてまいります。そう答えると藤次は荷物を地面に置き、武器のみを携え屋敷に近づいて行った。
藤次は慎重に屋敷の門をくぐる。野盗が潜んでいるやもしれない。槍を構えながら屋敷の周りを見て歩く。
暫くして藤次が戻って来た。若様、盗賊などは潜んでいないようです。屋敷もそれ程傷んでもいない様子。天井も抜けてはいませんでした。少し埃っぽいですが、一晩ぐらいなら寝られるかと思いますが‥と続けて何か言いたげな藤次。
七郎は、どうした藤次?何か気になる事でもあるのか?と聞いてみた。
藤次は、そうですね‥この屋敷、何か得体の知れない雰囲気があります。わたくしの気のせいならば良いのですがと答えた。
七郎は少し考えたのち、なぁに大丈夫だろう藤次。もしも野盗などが現れたら、お前なら返り討ちに出来るだろう?と言った。幼少期より七郎の身辺警護をしてきた藤次。七郎は絶対の信頼を藤次においている。
藤次は、まぁ‥そうですが。ただの野盗ならばこの藤次、遅れはとりませぬと答える。わたくしの気のせいならば良いのですが‥と屋敷の方を見て言った。
そうと決まれば今夜はここに泊まろう。藤次、馬を庭の木に繋いでくれ。馬を休ませよう。そう言うと七郎は完全に日が落ちるまでに寝られそうな部屋を見てくる事にした。
第三話に続く。
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