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「わたし」がいない100年先へ〜立山という神に会いに。part1電鉄富山駅〜弥陀ヶ原

こんにちは、
富山アンバサダーの歌手kawoleです。

わたしたち生命体を育む巨大な装置である「山」。
富山アンバサダーに応募したいと思った大きなきっかけが「立山」という存在でした。
富山だけでなく、日本のジオストーリーを語る上でも圧倒的存在感を放つ重要な連峰であり、その場所から導き出される森羅万象と人の営みを、体感のすべてを使ってまずは感じてみたかった。
そして古来「立山信仰」の聖地として、広く人々の心の拠り所とされてきた雄山を実際に登り感じることで、「富山」が生み出すものの質の源流を見つめることができるのではと、8月の旅は立山雄山山頂まで。

出発地は電鉄富山駅。

味わい深い電鉄富山駅構内
立山行きに乗車

まずはひとまず玄関口の立山駅(標高475m)へ向かいます。電鉄富山駅から約50分ののんびりした電車旅。

立山駅に到着。標高475m

玄関口の立山駅からはケーブルカーに乗り換えて、次の目的地美女平へ。本来夏のハイシーズンは大行列ができるらしいのですが今年は天候が悪い日が続き、この日もキャンセルが多かったとのことで待ち時間なしですぐ乗車。
マイカーの乗り入れも立山駅までで、立山登拝には必ずこのケーブルカーとバスに乗車しなくてはなりません。環境保全のために徹底されています。

最大傾斜約30度の急勾配を登るケーブルカー

立山駅からケーブルカーに乗車して約7分、樹齢1000年以上の立山杉とブナの原生林が立ち並ぶ森、美女平(標高977m)に到着しました。
あいにくの天候で絶望的な濃霧によりすぐ目の前に何があるのかわからないほどの視界の悪さ。足元が全く見えないので散策はあきらめて、早々にバスに乗り込みさらに登ることにしました。標高の高い山旅はシビアに天候に左右される。

美女平駅の立山杉。
美女平標高977m
途中のバスの車窓から称名滝を臨む
落差350mで日本一の滝です。

上の写真の称名滝は、立山連峰から流れ出し、弥陀ヶ原湿原を経由して常願寺川へ流入する。水量の凄まじさこの上なく、水都富山をものがたる滝。

この日は立山登山の拠点になる室堂に向かう予定だったのですが、高山植物の宝庫と言われる弥陀ヶ原湿原に行きたかったのでバスを途中下車しました。
弥陀ヶ原は立山火山の活動で形成された火砕流台地で、長年の河川侵食によって現在のような長細い広大な湿地帯になったのだそう。この辺りで標高1930m。

ここまで上がると大型の樹木は少なくなり、
高山植物の楽園になっている。
湿原内は環境保全のため、
この木橋以外の場所に降りることはできない。

立山を縦に登りながら、立山駅〜美女平駅〜弥陀ヶ原と高度が上がるにつれて変化してゆく植生が本当に美しく、標高約2000mの弥陀ヶ原ではたっぷり2時間散策しました。

火砕流台地が長い年月をかけ、豊かな植物帯を育んできた悠久の歴史を感じながら、今、微かに流れる水音を聞き、人の手の入らない天然資源ならではの清らかさと高山植物の群生する風景は桃源郷のようです。
全ての土、植物、微生物たちが全体的な環境のバランスと水の質を整えている。

イワショウブ
ウメバチソウ
うつむいて咲く可憐な立山アザミ
ヤマハハコ
白山の御前峰が由来のゴゼンタチバナ。
絶滅危惧種に指定されています。
シモツケソウ

弥陀ヶ原には「餓鬼の田」と呼ばれる小さな池があちこちに見られます。標高2000mの雲上の溶岩台地は1年のうちのほとんどが雪に閉ざされており、雪解けの夏には豊かに水が流れ出る。(先ほどの称名滝へと続く)
古代の人びとは山上の高原に点在する短い夏の水の光に、咲きこぼれる花々と相まってさながら天界に来たような錯覚を覚えたのでしょう。

弥陀ヶ原をたっぷり散策した後は、さらにバスで室堂に向かいます。

part2へ続きます。

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