見出し画像

別府の温泉コミュニティ

先日別府市で、「ONE BEPPU DREAM AWARD 2020」というイベントが開催された。

このイベントは、別府を選び起業・創業する人にスポットを当て、「地域課題の解決」や「社会価値を創造する」ビジネスモデルが生まれた背景やストーリーを知ってもらい、応援してもらうためのイベントだ。

このイベントのファイナリストとして登場した塩見泰美さん。事業名は「おんせん県おおいたの”温泉コミュニティ“を守りたい。」だった。

塩見さんは、別府の市営温泉の管理を委託された会社の専務さんでもある。以前から仕事の関係で塩見さんと交流があったのだが、塩見さんの地元別府を愛する熱い気持ちを、彼女の言葉の節々から感じてはいた。

先日、ファイナリストとなった塩見さんから改めてお話しを聞く機会があった。

塩見さんは言う。別府市内83箇所の地区温泉を守りたいのではなく、そこにある「温泉コミュニティ」を守りたい。

塩見さんがとある温泉施設でお弁当を販売していた時に、「お弁当を買いたいけど、今日はお金を忘れた。」という女性に会ったそうだ。残念そうに温泉に向かったはずの彼女は、なんと帰りにお弁当を買った。

そのお金は、温泉の顔馴染みから借りたという。

貸した女性に話を聞くと、お互い名前も知らないが定期的に温泉で会うからと言っていたそうだ。

これってすごくないですか?

塩見さんは言う。ただの顔馴染みにお金を貸す。その信頼関係ができている温泉コミュニティ。

確かにすごい。

私も最近、温泉名人を目指して地区温泉に入りまくっているが、確かに見るのだ。そのコミュニティを。

温泉の脱衣所で、「あんたが来ると思っちょったけん持ってきた。(あなたが来ると思っていたから持ってきた。)」と野菜を渡す女性。家族の出来事や、「あの店が改装で締めるから、夜暗くなるから気をつけた方が良い」などの街のニュース。地区温泉の中ではたくさんの会話が飛び交う。○○さん今日は遅いんじゃない?など安否確認もしあっている。

この地域に暮らす人にとって、当たり前だけど、この当たり前を守っていくことの重要性をみんなで自覚していく必要があるのだ。

地区温泉の利用は高齢者が多い。また83箇所の地区温泉の運営はうまくいっているところとそうではないところの差がある。

温泉には様々な運営経費が必要になる。組合員や外から訪れる人が多ければその費用は賄えるが、入る人がいなければ必然的に運営は難しくなる。10月1日から、別府市内の温泉はどこも入湯料を値上げした。値上げだけでなく、そこを利用する人を増やすことが地区の温泉を、温泉コミュニティを守ることに繋がると塩見さんは言う。

もちろん、そこには迎える側、訪れる側の相互理解が必要だ。鉄輪温泉「渋の湯」の漫画に書いてあった、迎える側の「よく来たね。」訪れる側の「利用させてもらいます。」の重要性を改めて感じる。また行きたいと思える温泉はそういう所だ。

温泉名人の方が管理に関わり、地区温泉を守るモデルケースを目指している温泉があるという。

画像1

子宝の湯で知られる、「寿温泉」。

入口にある木になる木は、なんと「バナナの木」。

そして、番台さんがなんと「AI」!!

入口には、顔認証システムがあり地元の方は登録されていて自動的に鍵が開くシステムを実験中とのことだった。

私は地区住民ではないけど、鍵は開くのだろうか?

ドキドキしながらカメラに映る。

えーっとどうやって入るんだろう?

よくわからないが、扉は普通に開いた。まだ実験中なのだろう。中に入ると入湯料を入れるところがあり、それが撮影されているようだ。

入湯料を払った私が注目したものがある。

なにこれー??

画像2

寿温泉チケットガチャ!!

当たりがでたら♪というシステムではなく、無人で回数券を購入する工夫のようだ。

見るだけで楽しい気持ちになった。

無人であれば、経営面のメリットは大きい。安全のためにAIを活用するのもこれからの地区温泉に必要となってくることには間違いないだろう。

画像3

大正時代に建てられたこのレトロな温泉。
窓のアーチが良い感じだ。光が綺麗に入っている。

会社の先輩もここのお湯が良いからとわざわざ入りに来ると言っていた。
子宝の湯は、冷え性に効くようだ。

湯上りのあとのぽかぽかは半端なかった。ぜひ多くの人に立ち寄って欲しいし、利用し続けて欲しい。

私もしっかり利用し続けなければ!まずは、温泉名人道!頑張ろうと決意を新たにした。

そして、塩見さんの挑戦。#別府エール風呂の取り組みを積極的に応援していきたいと思う。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?