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あぐら







座禅。
あぐらを組んで意識を呼吸に集中させる。
口ではなく、頭のてっぺんから空気を取り込んで、また頭のてっぺんから空気を出す。
自分が空気を出し入れする道具になったようなイメージ。

ふいご。
自分はふいごになったのだと思い込む。
自分と言う窯に空気を送り込み、熱、生きる力を燃やす。
心と体に熱を起こす。

それに集中する事で、ばちばちと爆ぜて舞う火の粉のように自然と雑念が消えていく。
吐き出す呼気と共にすぅーっと、少しずつ身体が軽く、心が柔らかくなっていくのを感じる。
心は無限。
どこまでも、どこまでも行ける。
肉体からの精神の解放。

が、それを邪魔するものがいる。
あぐらだ。
足首と足首の交わる地点が痛い。
左足首の骨が右足首の骨に重みをかける。
痛みに我を思い返してしまう。

正確にはあぐらではなく結跏趺坐をするのが正しいのだけれど、結跏趺坐は結跏趺坐で脚が痺れる。
どこまで行っても身体感覚が私を放そうとしない。

勿論、修練次第で痺れない結跏趺坐も組めるようになるのだけれど私はまっだそこには至れていない。

置いていかないで。
私はここにいるよ。

痛みや痺れを以て、身体はそんなメッセージを私に伝えて来ているようだ。
この寂しがり屋さんめ。


まぁ良い。
私も決して執着を捨てた悟りの境地に立ちたい訳でもないのだから。

体がそう言うのであれば、構ってあげるとしよう。

なぁに。
座禅だけが全てじゃない。
歩行禅だってある。

そうだ、散歩に行こう。
つくしが咲いている。











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