目玉焼き







「父さん」

「なんじゃ鬼次郎」

「今日の朝食はどうしましょうか」

「そうじゃな…たしかこの前漬けといたカブが…」

「目玉焼きにしませんか?」

「目玉焼きじゃと?でも卵なんぞないぞ?」

「卵はありませんが目玉ならココに…」

「そうそう、ワシをよく熱した鉄なべに…ってオイ!そう言うブラックジョークはやめいよお前!」

「いやいや、父さんを焼く訳ないじゃないですか。ヤだなぁ。自意識過剰ですよ、父さん」

「それ自意識って言うのか…?まぁそれは置いといて、じゃあ何を焼こうって言うんじゃ。卵、ないんじゃろ?」

「はい。ですからこの目玉を…」

「ってそれはお前の目玉じゃろーがっ!やめやめ!えぐり出そうとするのやめやめ!朝からそう言うスプラッタやめいよお前!」

「…いや、喋る目玉の父さんにそれを言われたくないんですが…」

「あ………ま、まぁ、それもそうじゃな……」

「そうですよ」

「ワシ、スプラッタだったんじゃな………ずっと、癒し系かと…」

「卑しい系なら居ますけどね」

「そうじゃな、アイツは卑しいからの」

「僕らは貧しくとも卑しくならないようにしましょう、父さん」

「そうじゃな。それは良い事じゃ」

「じゃあ今日の朝食はナシ!」

「清貧~~!!」






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?