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現代建築に見る芸術と機能について

建築を語る上で芸術性と機能性の話題になることが良くあります。また、建築家がどちらに軸足を置くかによってどういったスタンスをとるかを問われることもしばしばあります。


良いものが売れない時代

最近では業界問わずこのフレーズを良く耳にします。これは昔のようにデコラティブで装飾性の高いものが好まれる時代からシンプルで機能的なものが好まれる時代へと変化していった現代的思考が大きく影響していると考えられます。apple製品がその代表例ではないでしょうか。

機能だけを語るCM

掃除機メーカーのダイソンのCMはひたすら機能性を語り装飾性を語らないのが特徴ですが、そのようなCMが最近、増えているように思います。つまり、洗練された機能美が現代人にはフィットしているのだと思います。また、機能美を追求したものが結果として優れたデザインであるというのも合点がいくのだと思います。

実は隣合ってる芸術性と機能性

芸術的側面を持つのが建築家というのが一般的なイメージかと思われます。しかしながら、現代建築の5原則を定義したサヴォア邸(建築家:ル・コルビュジェ設計)のような社会的要求により工業化された建物であっても芸術的建築作品としてしばしば評価されています。つまり、機能性を追求すれば結果として芸術的評価を受けるということが考えられます。芸術性と機能性は軸線上の対局にあるのではなく実は球体上に存在し其々が隣り合っているのではないかという結論に至ったのも面白い発見でした。両方のバランスを取って中立的に軸足を置くスタンスの建築家が実は芸術から一番離れたところにいるということも更に面白い点です。

サヴォア邸

まとめ

機能性を追求することは芸術性を高めることと同義であると考えます。建築は誰の為に造るかが重要であり、対象者を意識することで建築の形態は幾重にも変化していきます。クライアントからのニーズに真摯に向き合い機能性を追求し心ある建物を設計することこそ、建築家としての職能であり、社会的意義のある建築であると我々は考えています。最終的にはそういった建築が結果として芸術的評価を受けるのだと思います。

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