妄想が生んだ悲劇

とある年の3月初旬
公立学校では次年度の校内人事を決める時期です

この時ある先生が、その時の校長に
自分は絶対高学年を持ちたい!
と言ったのです

その先生は、どう見ても低学年向き
細かなところまで指摘して
思い通りにならなかったら叱る
これ、高学年でやったらアウト
反発喰らいます

それを校長もわかっていたので
なんとか低学年を持って欲しいと説得したのですが
その先生は聞く耳をもたず
結局校長が折れて、晴れて(?)高学年担任に

意気揚々と始まった4月
ところが一月も経たぬうちにトラブルが頻発
まぁ私も校長も予想していた通りになりました

そしたらその先生は何を言ったかというと
こんなめんどくさい学年もちたくない!
毎日腹が立って仕方ない!
ですと

だからあなたは高学年向きじゃない
言うことを聞いてくれる低学年向きなのよ

まぁそんな話を本人にすると気を悪くするので
私はその先生に
なぜ高学年担任にこだわったの?
と聞いたら

卒業式のあの感動を自分も味わいたかった
あのドラマのような世界に浸りたかった

……………………………………………………

おいおい
そんな自分勝手な思いで子供の育ちをぐちゃぐちゃにしたのかよ……

そもそもあの卒業式のドラマチックな展開は、それまでの様々な紆余曲折を乗り越えた先に待っているもので、そう簡単に作れあげられるものではない
なのにこの先生は、少しうまく行かなくなっただけでその学級を放り投げようとしたんです

ほんと、子供が可哀想でなりませんでした

結局その先生は5年生でそのクラスの担任を辞め、別の学校に転勤していきました

学園ドラマのような感動のシーンに憧れていたその勝手な妄想が、子供に悲劇を与えた実例です

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