見出し画像

風邪、流行ってますね 〈さ〉

ドラマで話題となった『きのう何食べた?』4巻の#27の回では、普段何でもできちゃうシロさんが風邪で寝込んでしまい、本当は好きな人には尽くしたい!なんでもしたい!のケンジがウキウキで看病するという話がある。シロさんはウンザリしつつも体調が悪すぎてツッコミの元気もない。卵料理が二品で、鶏モモ一枚丸ごと使っているのに対してシロさんはイライラしつつも、美味しい、ありがとうなケンジ、となり、ケンジご満悦の回である。いい話である。

一方わたしはケンジと違い、何故か怒った口調になってしまう。「脚丸出しじゃない?履きなさい」だったり、「うがいが喉の奥までしっかりやってない」だったり、昨日から風邪の彼のひとつひとつに監視の目を光らせて咎めてしまう。いつもより面倒は見ているがいつもより厳しくしてしまう。

自分の母を思い出す。

熱が出ると「昨日早く寝なかったから」などと怒られてしまう。めちゃくちゃ体調悪い時に、優しくされるどころかめちゃくちゃ怒られる。食欲が進まず完食できなかった暁には「せっかく作ったのに」と小言を言われてしまう。のくせ、後でめちゃくちゃかまってくる。「すりりんご食べる?」だの、「もうちょっと着込んだ方がいいんじゃないの?」だの……めちゃくちゃ言われた後に優しくされても嬉しくない。「看病するために行こうと思っていた◯◯行けなかった」なんて言われたってこっちは行かないで!だなんて頼んでないし、恩着せがましすぎる!わたしが親になったら絶対に同じことをするまい!と、心に誓ったはずなのに、わたしの記憶力はニワトリらしい。未来の子どもどころか今の彼氏にすら自分がされて嫌だったことをしてしまう。

自己嫌悪でウンザリする一方、時を越えて、恩着せがましいだけのはずだった母の心を想像できるようになる。本当に心配で早く治ってほしいからこそテキパキ看病マニュアルをこなそうとしてしまうことが第一になってしまっていて、患者(?)の身体を診て感情まで見れなかったのでしょう。なるほどなるほど。でもわたしは子どもだった時もあるから、弱っている時こそどの感情でも沁みやすいことを知っている。

面倒を見ることも大事だけれども、心機一転。優しく、だ。

「ねえ見てください!さっきより0.1度上がった」と15分ごとに体温計を測ってはウキウキしている超微熱(37.0度)の人を横目にわたしは自分に言い聞かすのでした。優しく、だ。

みなさん手洗いうがいしっかり頑張りましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?