上海市行号路図録 1947年 (民国三十六年) その2
前回からの続き
「上海市行号路図録」の存在を知ってからというもの、折をみてはタオバオやジンドンを探したが、見つからなかった。見つからないほどに所有欲が沸き起こってしまい、最後は猛烈に欲しくなってしまった。その後偶然、「孔夫子旧書網」という古書専門のEコマースを見つけ、その中で上海市行号路図録が売買されているということを知った。
高い、、
3800元である(約6万円)。たかが本に。これはさすがに、、と躊躇したのだが、よく考えたら自分はそんなに遊びもやらないし、たまのぜいたくくらいいいだろう、と家人に言い訳してからポチったのであった。
なおいま見たら更に値上げして5500元(約8万円)になっている。
上下巻構成
買ってみて初めて気づいたのが、この本は上下巻の二巻構成で、自分が特に意識もせずに買ったのは上巻だった。で、上巻は、基本的に南京路以北を網羅しており、メインは虹口、揚浦、閘北といった、どちらかというと普段あまり立ち寄らない地域が中心で、本当に見たかった淮海路、衡山路といった旧フランス租界エリアは下巻に掲載されているということがわかった。そうすると俄然、下巻も欲しくなるが、下巻単体というのはまず流通しておらず、上下巻セット、しかも超高値で取引されていることがわかってきた。
14000元。約21万円。
やはり人気があるのは下巻で、これが実際の相場なのだろう。さすがに、さすがにあきらめざるをえなかった…
閑魚
上海市行号路図録のことはしばらく忘れていた。ある日、家の中の不用品処理をどうしようかと考えていたときに、中国人の同僚から閑魚(XianYu)というアプリを紹介された。これは要するに中国版メルカリで、個人がお手軽に売買できるシステムである。これを眺めているうちに、ふと上海市行号路図録の下巻は売っていないだろうかと検索したところ、なんとたったの18元(300円)で出ていた。
よくよく見ると、電子版(スキャン版)と書いてある。解像度など大丈夫だろうかと思ったが、失敗しても構わない額だったので買ってみた。
(現在の新天地のスタバがあるあたり)
まずまずの解像度だったので満足した。これなら街歩きの際にもスマホに入れておけばいいし、必要ならそのページだけを印刷してもいい。というか、もしかしたら最初からこれでよかったのかもしれない。3800元で買った上巻はどうしようかとも思ったけれども、あれはあれで当時の印刷技術や、紙の質感などが得難い貴重な資料であるから、手元に保管しておこうと思う。
1947年 (民国三十六年) の上海
引揚船を待ちながらまだ多くの日本人が生活していた頃だろう。そんな時代を切り取ったような地図を眺めるのは、まるで自分がタイムスリップしたかのようでいつまでも飽きずに見ていられる。また意外と広告が多く、国共内戦がクライマックスを迎えていたであろうこの時期でも商業活動が盛んだったことがわかる。上海の逞しさを感じる。
このほかにも興味深い発見がたくさんあった。また別の機会で紹介したいと思う。