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映画感想文

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劇場観賞作品に対する随筆
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【 夕方のおともだち 】 感想vol.083 @大阪ステーションシティシネマ⑤ 22/2/9

【 夕方のおともだち 】 感想vol.083 @大阪ステーションシティシネマ⑤ 22/2/9

21/日/ビスタ/監督:廣木隆一/脚本:黒沢久子/撮影:鍋島淳裕

同名の山本直樹原作の漫画を映画化した作品。私は山本直樹のファンである。20代前半から半ばの一時期、狂った様に買い漁り、読み耽ったものだ。
彼の作品の多くは、所謂「エロ漫画」である。成人漫画の範疇を超え、有害指定を受けたものもしばしば。ただ、私は彼の漫画を読んで、性的興奮に陥った事は殆どない。こう書くと、彼の漫画がエロくないみたいに

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【 大怪獣のあとしまつ 】 感想vol.082 @MOVIX八尾⑤ 22/2/7

【 大怪獣のあとしまつ 】 感想vol.082 @MOVIX八尾⑤ 22/2/7

22/日/ビスタ/監督:三木聡/脚本:三木聡/撮影:高田陽幸

東宝ではなく、松竹と東映による怪獣映画。私の子供の頃から、怪獣映画といえば東宝の一択であった。その流れは現代にも続いている。そんな中で、松竹と東映が初めて手を組んで送り出した作品となれば、一体どんな映画になるのだろうか、と興味が尽きなかった。予告篇を観る限りでも、なかなかに真面目なご様子。これは観ねばなるまい、と劇場へと向かう。

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【 ライダーズ・オブ・ジャスティス 】 感想vol.081 @梅田ブルク7⑤ 22/2/3

【 ライダーズ・オブ・ジャスティス 】 感想vol.081 @梅田ブルク7⑤ 22/2/3

20/丁・典・芬/シネスコ/監督:アナス・トマス・イェンセン/脚本:アナス・トマス・イェンセン/撮影:キャスパー・タクセン

「デンマークの高倉健」と呼び表されることもある、マッツ・ミケルセン。ハリウッド作品ではなく、母国のアクション映画に出演しているとなれば、これは観ずにはおれまいて。齢60間近になろうとも、恰好良い男は恰好良いのだ。漢惚れとはこの事だね。という事で、観賞に至る。

ストーリーに

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【 フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 】 感想vol.080 @MOVIX八尾⑪ 22/2/2

【 フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 】 感想vol.080 @MOVIX八尾⑪ 22/2/2

21/米/スタンダード/監督:ウェス・アンダーソン/脚本:ウェス・アンダーソン/撮影:ロバート・イェーマン

ウェス・アンダーソンの記念すべき監督作10作目ということなのだが、まだ長編作が10本しかなかったのかと、何だか感慨深い。そうか、かれこれデビューから20年が経つのか。
ウェス作品のもつ穏やかでふんわりとした匂いには、思い返すと、随分と助けられてきた様に思う。仕事やなんやかやで、もやもやして

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【 真夜中乙女戦争 】 感想vol.079 @あべのアポロシネマ⑧ 22/1/31

【 真夜中乙女戦争 】 感想vol.079 @あべのアポロシネマ⑧ 22/1/31

22/日/シネスコ/監督:二宮健/脚本:二宮健/脚本協力:小林達夫/撮影:堤祐介

正直、タイトルからして、あまり期待は出来ないのは分かっていた。予告篇を観るに、ミステリアスでサスペンスフルな、それっぽさは伝わってきたのだが、どうにもそれ以上の作品になるのかと、半信半疑のままでいた。であるならば、観て確かめるしかない。劇場へと向かう。原作は未読。

ストーリーについて。
上京すれど、大学になじめず

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【 ハウス・オブ・グッチ 】 感想vol.078 @MOVIX八尾⑤ 22/1/29

【 ハウス・オブ・グッチ 】 感想vol.078 @MOVIX八尾⑤ 22/1/29

21/米/シネスコ/監督:リドリー・スコット/脚本:ベッキー・ジョンストン、ロベルト・ベンティベーニャ/撮影:ダリウス・ウォルスキー

『最後の決闘裁判』を観逃しているのだが、幅広いジャンルを撮ってきたリドリー・スコットの新作であり、何ともサスペンスフルな予告篇の印象が強く、観賞欲を抑えきれなくなった私は、真冬の空の下、自転車を劇場へと向かわせるのであった。

ストーリーについて。トラック輸送会社

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【 クライ・マッチョ 】 感想vol.077 @MOVIX八尾⑫ 22/1/22

【 クライ・マッチョ 】 感想vol.077 @MOVIX八尾⑫ 22/1/22

21/米/シネスコ/監督:クリント・イーストウッド/脚本:ニック・シェンク、N・リチャード・ナッシュ/撮影:ベン・デイヴィス

監督生活50周年記念、そして通算40作品目となった、2022年で92歳になるイーストウッドの最新作。多作ゆえに、その全てを追い切れてはいないけれども、作品毎に毛色の違いを示せる演出手腕には、年老いてもなおハリウッドの最前線で活躍する男の、誰にも真似できない矜持というものを

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【 偶然と想像 】 感想vol.076 @シネ・ヌーヴォ 22/1/18

【 偶然と想像 】 感想vol.076 @シネ・ヌーヴォ 22/1/18

21/日/ビスタ/監督:濱口竜介/脚本:濱口竜介/撮影:飯岡幸子

『ドライブ・マイ・カー』が各方面で絶賛されている濱口竜介監督の最新作。観ずにはを得まいと、劇場へと寒風吹きすさぶ夜道を急ぐのであった。

本作は、第一話『魔法(よりもっと不確か)』、第二話『扉は開けたままで』、第三話『もう一度』の3本の短編によって構成されている。冒頭、濱口監督が、観客に対してお礼を述べる映像が差し込まれていた。人

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【 決戦は日曜日 】 感想vol.075 @MOVIX八尾⑪ 22/1/16

【 決戦は日曜日 】 感想vol.075 @MOVIX八尾⑪ 22/1/16

21/日/ビスタ/監督:坂下雄一郎/脚本:坂下雄一郎/撮影:月永雄太

予告篇を観て、言い知れぬ興味に目覚める。このご時世に、何やら昭和の喜劇映画のような雰囲気を醸し出しているではないか。主演が窪田正孝と宮沢りえであるにも関わらず、さして熱心な広告活動が行われていない気がするし、盛り上がりにも欠けているのが、妙に興がそそられる。単に私がテレビをほとんど視聴していないだけというのもあるのかもしれない

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【 エッシャー通りの赤いポスト 】 感想vol.074 @シアターセブン② 22/1/15

【 エッシャー通りの赤いポスト 】 感想vol.074 @シアターセブン② 22/1/15

21/日/ビスタ/監督:園子温/脚本:園子温/撮影:鈴木雅也

私が園子温監督の作品を観たのは、地元の映画祭で上映された『0cm4』であったと記憶する。高校生の時だ。以来、その特徴的な名前も相まって、頭の中に残り続けてしまった。そこから、しばらく時が流れて『愛のむきだし』。これが決定的であった。セリフの語感が凄まじく、文学的な暴力に慄いたし、画面から迸る感情に、私は蹂躙された。だから本作もまた、観

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【 日本語劇場版『サンダーバード55/GOGO』 】 感想vol.073 @静岡東宝会館④ 22/1/8

【 日本語劇場版『サンダーバード55/GOGO』 】 感想vol.073 @静岡東宝会館④ 22/1/8

21/英/スタンダード/監督:ジャスティン・T・リー、スティーブン・ラリビエー、デヴィッド・エリオット/脚本:アラン・フェネル、デヴィッド・グラハム、デスモンド・サンダース/特殊効果監督:ジャスティン・T・リー、スティーブン・ラリビエー、デレク・メディングス

この日は、静岡にやって来ていた。何の目的かといえば、将棋のタイトル戦、王将戦が翌日より開催され、その大盤解説会に参加するためであった。対局

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【 劇場版 呪術廻戦0 】 感想vol.072 @あべのアポロシネマ④ 21/12/29

【 劇場版 呪術廻戦0 】 感想vol.072 @あべのアポロシネマ④ 21/12/29

21/日/シネスコ/監督:朴性厚/脚本:瀬古浩司/撮影監督:伊藤哲平

2021年も、もう終わろうとしている。私事であるが、本日が仕事納めであった。2020年と何かが変わったようで、何も変わらなった一年。振り返ってみても、充実した仕事が出来たかといえば疑わしいし、私生活の中でも、楽しいと感じられたのは、片手で数えられる程度しかなかった。
今年劇場で観賞した映画は、これまでに55本。56本目として観

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【 悪なき殺人 】 感想vol.071 @シネ・リーブル梅田④ 21/12/22

【 悪なき殺人 】 感想vol.071 @シネ・リーブル梅田④ 21/12/22

19/仏・独/シネスコ/監督:ドミニク・モル/脚本:ドミニク・モル、ジル・マルシャン/撮影:パトリック・ギリンジェリ

前評判の高さにずっと気になっていた作品。今年はフランス映画を全然観れていなかったので、良い機会かもしれないと思い、観賞に至る。

ストーリーについて。フランスのある山中にある寒村で、吹雪の夜に一人の女性が失踪し、殺害された。この事件の犯人として疑われたのが農夫のジョセフ。彼は夫の

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【 ドント・ルック・アップ 】 感想vol.070 @イオンシネマ シアタス心斎橋③ 21/12/19

【 ドント・ルック・アップ 】 感想vol.070 @イオンシネマ シアタス心斎橋③ 21/12/19

21/米/シネスコ/監督:アダム・マッケイ/脚本:アダム・マッケイ/撮影:リヌス・サンドグレン

Netflix映画が絶好調ではないか。予告篇を観て、これは面白いんじゃないか?という期待感が止められず、劇場へと足を運ぶ。もし加入していたとしたら、何か月分払っていることになるのだろうか?いや、そういうみみっちいことを言っていてはいけない。私は劇場にお金を落としたいのだ。

ストーリーについて。大学で

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