「異人伝―はぐれ者の系譜」その一 鳴海要吉 前田速夫
*『異人伝―はぐれ者の系譜』の第1回を全文無料で掲載します(編集部)
はじめに
他人の気持ちを忖度して取り入ったり、その場の空気に合わせて器用に立ち回る人間が嫌いだ。敷かれたレールの上から一歩もはみ出さないエリートや、ごく人並みの人間も、つまらない。反対に、はぐれ者、はみ出し者、愚か者、不器用な人間が好きだ。親近感をおぼえる。
本篇に登場してもらうのは、いわばその親玉たちである。なにしろ、スケールが大きい。万事、無難に無難にと世間を渡らざるを得ないわれら庶民のなかに、