わたしはまだ子供
急に涙が止まらなくなった。
それは夜中に友人からおすすめされた漫画を読んでいたときに、内容の何かに引っかかったわけじゃなく、読み進めてきた感覚と私の中にあった「飢え」みたいなものを自覚したからかもしれない。
数日前、実家から荷物が届いた。
それは年末実家に帰ったときに、忘れてきてしまったものを送ってほしいと母に伝えていたから、中に何が入っているかはわかっていた
子供達に開封を任せていると、私宛のお年玉袋が。
母の丸くてかわいい字で裏に「まいこちゃん」と書かれていた。懐かしいなぁーと思いつつ、そんな気を使わなくてもいいのに。と思った。
実家から自宅に帰る日。新幹線に乗る直前に「新幹線代だけで5万だもんなー」とぽつりと言ってしまったのを、聞いてたのかもしれない。
荷物の中には子供達の忘れものの他に入っていたのは、全部私が実家にいるときに食べていた好きなものばっかりだった。
母が好きで買っていたピーナッツ揚げを、久しぶりに食べて美味しいと言ったこと。私が最近好きでハマっているスコーンを実家で作ったときに使っていたチョコレート、晩御飯で食べて、ご飯を2杯おかわりしたちりめん山椒のふりかけ。
どれも実家にいたときに、わたしが好きと言ったものばかりだ。
母がくれたピーナッツ揚げは、私が夜中に一人で食べ切った。
こんな夜中にこんな高カロリー。
そんな考えもちらっと頭をよぎったけれど、母の愛は子供達に分けるのではなく、一人で、しかもこっそり自分のものだけにしたかったから、全部食べた。
それに気づいたときに、やっぱり私はまだ母の子供でいたいんだなぁ。と思った。自分が母になってこの感覚を忘れていたけど、まだ甘えられる存在でいたい。
母の声が聞きたい。笑い声とあの笑顔を思い出すだけで、まだその顔を見上げていたときに戻るような気がする。
子供にとっての母という存在。
自分はどうなんだろう。
母みたいになりたいと思えたから
これからもわたしは母としてやっていける気がした。
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