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米国株式投資の真実を伝える [Vol.47]2022年5月16日配信

【今日から役立つ 人生を豊かにする日経の読み方】

社会人になって40年以上読み続けている日経新聞の中から気になる記事をピックアップしコメントする企画だ。毎週土曜日午前9時〜9時45分にズームへの参加形式で実施している。

参加は無料なのでご興味あるかたはPeatixでお申込みください。

以下は先週土曜日にカバーした記事の表題をいくつか。

図1

オンラインサロン「夢がかなう資産形成塾」

図2

皆様が資産形成で成功するために一緒に学び啓発し合うオンラインサロンです。大好評のメルマガ「メディアで鍛える米国株式講座」だけでは伝えきれない内容や、米国株式投資の魅力を体感できる会員向けのセミナーを提供します。


2000万円達成ペースメーカー

図3

出所:金融庁 資産運用シミュレーションを基にエグゼトラスト株式会社作成
※上記数字はあくまでシミュレーションであり、将来の運用成果を保証するものではございません。また手数料、税金は考慮しておりません。

読み方:想定利回りと達成年限
3~4%なら30年以上:ラップファンドやバランス型の投信がこれ
5~7%でも25年はかかるよ:米国以外の株式投信だとこうかな
8~10%なら20年ほど:控えめにみたS&P500の上昇率だとこうだ

S&P500のパフォーマンス実績(配当再投資1970-2021)

図4

正しいリスクテイクで早期に2000万円達成しよう
川田のメッセージはすこぶる簡単。2000万円の達成には余裕資金にできるだけ効率的に働いてもらうことだ。そのためには当事者の皆さんがリスク・リワード(見返り)の意味を正しく理解することが大事だ。毎週メルマガを読む前にこのテーブルを眺め、正しい投資姿勢を確認しよう。

さあ、2000万円達成までのカウントダウンを今すぐ始めよう!

1.マーケット振り返り(5月9日~5月13日)

<主要指数>
・NYダウ -2.1%
・S&P500指数 -2.4%
・ナスダック総合指数 -2.8%

=駆け足バージョン=
インフレ懸念による長期金利の上昇を受けて下落で始まり、水曜日の消費者物価指数が市場の予想を上回ったことで、大型ハイテク株を中心に一段安となりましたが、金利上昇が一服したことや値頃感から、週末は反発しました。

=ちょっとだけ詳しく=
根強いインフレ懸念を背景に長期金利が一時3.2%台に乗せたことが嫌気されて、大幅な下落で始まりました。

その後、長期金利が3.0%を下回ったことは安心材料でしたが、大幅な利上げ、ウクライナ戦争、中国のロックダウンなどの懸念材料が多く、上値を抑えました。

水曜日に発表された消費者物価指数は前年同月比+8.3%でコア指数は+6.2%となり、市場予想を上回ったことから強い引き締め姿勢が続くとの見方から、大型ハイテク株を中心に成長株が大きく売られました。

しかし、長期金利の低下に加え、4月の輸入物価が市場予想を下回って前月比横ばいとなってインフレがピークアウトしたとの見方が広がり、これまでの下落による値頃感もあって金曜日は大幅に反発しました。

図5

S&P500指数チャート1年間

図6

2.今週のピックアップ記事

【1】日経新聞 資産所得より金融資産重視を 5/13

・金融所得を増やす政策を導入する際の留意点が2つ:
第1は格差拡大を助長しない。家計資産総額の第十分位の利子・配当所得が全体の約60%を占め、5年前より上昇したと指摘。つまり当然ながら資産家層が有利な状況だ。

・現役層による有価証券を使った資産形成を助ける仕組みが重要。NISAの拠出上限を引き上げ、制度を恒久化するなど「貯蓄から資産形成へ」の流れを拡充すべきだ。

・第2は近視眼的な解決策を求めないこと。個人金融資産2千兆円の3分の2を保有する高齢者に、預貯金を下ろして株式や投資信託を買わせるだけの解決策なら賛成できない。現役層の資産拡大策と合わせて、後見人が資産を管理するルールの導入や有価証券の相続時評価額の是正など、高齢者が有価証券を長く保有できる施策も必要になる。(フィンウェル研究所代表 野尻 哲史)

【川田コメント】
岸田首相はロンドンの金融街の「シティー」で、「新しい資本主義」を提唱し、貯蓄から投資への移行を促して「資産所得倍増を実現する」NISAの拡充などで預貯金を資産運用に回すようにすると訴えた。

この記事はそれを受けた野尻さんの提唱だ。野尻さんの意見に異論はないが、私は資産家層はもっと大胆にマーケットのリスクをとって積極的に資産を増やし、その資産を資産家自らの意思でもっと社会に還元すべきだと思う。

ただし、平均的なサラリーマンの定年時の金融資産はせいぜい数千万ではないか?それでは市場リスクをとって金融資産を積極的に増やすことはできない。

富裕層は正しく大胆にリスクを取る
したがって社会に積極的に富を還元できるのは金融資産数億円以上の資産家だろう。この層にはぜひ積極的にリスクを取って賢明な運用で資産を増やしてほしい。

その際には仕組み債やハイフライング銘柄の頻繁な売買などは控えて、大半をS&P500指数に連動した投信、ETFで着実に増やしてほしいと願っている。

富裕層の皆さんには正しくそして大胆にリスクを取ってもらい、大いに資産を増やしてそれを社会に大いに還元!

図7

3.川田の気になる銘柄

川田の保有銘柄を始め、米国株の情報に触れている中で、気になった銘柄を紹介するコーナーです。

今週の銘柄
テスラ<ティッカー:TSLA> Tesla, Inc.

図8

概要
電気自動車を中心とする電動式の輸送機器を製造・販売する会社です。完成車の生産に加えて電気自動車に必要なリチウムイオン電池の生産工場を保有するほか、ソーラーパネルなどの太陽光エネルギー事業なども手掛けています。

同社の魅力
市場の急速な拡大
都内でもテスラの電気自動車(EV)が走っているのを見かけるようになり、電気自動車は本格的な普及期に入ってきたようです。世界で2022年には800万台以上の電気自動車が販売されると予想されていますが、2030年までには約4000万台に増加するとの見通しも見られます。

こうした見通しの要因として、搭載する電池の性能向上、安価な走行コスト、環境問題を背景とした各国の政策、EV専業メーカーだけでなく既存メーカーの参入、充電インフラの充実に伴う走行距離に対する不安の解消が挙げられます。また、今後は低価格化が市場拡大の要因になると思われます。

これらの要因の中でも充電インフラの充実は重要で、ちょうどインターネット網の整備(地域拡大や高速化)に伴ってインターネットを使ったサービスが急増したように、インフラの充実→EVの販売増→インフラの充実、という正のループの入り口が近づいているように思われます。

(図1:テスラが販売しているモデルX)

図9

トップ企業としての強み
テスラはEV市場の約20%を占めています。EV本体の魅力、専業のトップメーカーとしてのブランド力、先行する生産体制などが高い市場シェアの要因として挙げられます。

EV本体は、ユーザー側からは外観、内装、コストなどの点で魅力的に感じられるほか、生産側にとっても、内燃機関のエンジンによる自動車よりも部品が少なく(約3万の部品が約2万に減るとも言われています)、生産コスト低い点が魅力になっており、テスラにとって既存の自動車メーカーよりも有利な点になっています。

テスラにとっての課題は需要に対応するための生産体制の充実ですが、米国内に加えて上海では既に最大の工場が稼働しているほか、ドイツのベルリンやテキサスでの新工場の立ち上げも順調に進んでおり、本格的な生産が始まっています。
(図2:テスラの自動車工場=稼働中のものと計画=)

図10

(図3:モデルYのボディ生産の様子)

図11

すでに黒字化しており、上値余地が大きい
2003年に創業したテスラは、EVの開発、試作段階を終え、すでに量産体制を築いています。販売方法はディーラー経由ではなく消費者への直販体制を取っており、この点でも従来の自動車企業と一線を画しています。

2018年第3四半期に初めて純利益が黒字となった後、2020年には年間を通じて純利益が黒字となりました。スタートアップの新興企業とは異なり、事業拡大の段階にあります。
(図4:販売台数の推移=百万台、12カ月移動平均=)

図12

(図5:純利益と調整後EBITDA=百万ドル、12カ月移動平均=)

図13

(図6:営業キャッシュフローとフリーキャッシュフロー=百万ドル、12カ月移動平均=)

図14

2026年の目標株価は1600ドル
市場の拡大に加えてテスラの市場シェアが一定だと想定した場合、今後の販売台数は、2021年の約100万台から2026年には600万台を超えると見込まれています。テスラのEVの粗利益率は約30%と高く、これらを基に2026年の1株当たり利益が約55ドルになるとの計算も市場では見られます。現在、株価収益率(PER)は約60倍ですが、半分の30倍になったとしても、1600ドル前後が目標株価になります。

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