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米国株式投資の真実を伝える [Vol.53]2022年7月4日配信

【人生を豊かにする日経の読み方】

社会人になって40年以上読み続けている日経新聞の中から気になる記事をピックアップしコメントする企画だ。毎週土曜日午前9時〜9時45分にズームへの参加形式で実施している。

参加は無料なのでご興味あるかたはPeatixでお申込みください。

以下は先週土曜日にカバーした記事の表題をいくつか。

図2

オンラインサロン「夢がかなう資産形成塾」

図3

皆様が資産形成で成功するために一緒に学び啓発し合うオンラインサロンです。大好評のメルマガ「メディアで鍛える米国株式講座」だけでは伝えきれない内容や、米国株式投資の魅力を体感できる会員向けのセミナーを提供します。

1.マーケット振り返り(6月27日~7月1日)

<主要指数>
・NYダウ -1.3%
・S&P500指数 -2.2%
・ナスダック総合指数 -4.1%

=駆け足バージョン=
前週の大幅な上昇に対する反動に加え、ポートフォリオや指数採用銘柄の入れ替えなどによる需給面の不透明感が強い1週間でした。長期金利の低下は下支えとなりましたが、積極的な買いの動きは見られませんでした。

=ちょっとだけ詳しく=
上半期末を迎えたことや3連休を控えていたことから様子見姿勢が強い一週間となりました。

月曜日は前週金曜日の大幅上昇に対する反動から下落し、コンファレンスボードの消費者信頼感指数が2021年2月以来の低水準となった火曜日も、インフレ高止まり懸念や景気後退局面に入るとの懸念から続落となりました。

このほかにも個人消費支出やダラス連銀製造業景況感指数、ISM製造業景況感指数などが市場の予想を下回ったことなどから景気後退と企業業績に対する懸念が上値を抑えました。

一方、個人消費支出のコア価格指数の上昇率が予想の範囲内だったことや景気に対する懸念から金利が低下したことが下支えとなり、下半期入りした金曜日は反発しました。

図4

S&P500指数チャート5年間

図5

2.今週のピックアップ記事

資産形成に役立つ情報を、川田が得た情報の中から気になるものをセレクトしランキング、極々私的な見解でコメントするコーナーです。

今週から、お散歩コーナーで本を紹介している熊倉貫宜さんのピックアップ記事とコメントも掲載します。

【1】日経新聞 [FT]救国者と強権指導者 2つの顔を持つルワンダ大統領 6/23 

英連邦に所属する各国の指導者は来週(20日からの週)、首脳会議のために化粧直しされたルワンダの首都キガリに集まる。

国内外の反体制派への対応を巡り国際社会の批判を広く浴びる同国カガメ大統領にとり、この会議は欧米からの信頼を高める好機だ。

ルワンダの経済を上向かせ、80万人以上のツチ族と穏健派のフツ族が殺された大虐殺の後、国家のアイデンティティを確立したとカガメ氏は評価されており、2000年の大統領就任以降、目覚ましい経済成長を遂げたとカガメ政権は主張している

クリントン元米大統領はカガメ氏を「現代の最も偉大な指導者の一人」と称賛、ブレア元英首相は「先見の明がある指導者」と評価。

だが、人権団体や反体制派は異論を抑え込む強権指導者とみるが、カガメ氏は2017年に、99%という驚異的な得票率で3期目の続投を決めた。

(By Andres Schipani 2022年6月18日付英FT電子版https://www.ft.com/

【熊倉コメント】
本当に短い記事ですが、日本ではあまり報道されない動向が2つ記されております。

近年「アフリカの優等生」「アフリカのシンガポール」と称されるルワンダとは?
英連邦の首脳会議とは?

ルワンダ共和国は人口1,263万人、国土2.6万平方キロ*の東アフリカの内陸国です(*日本の四国の面積は1.8平方キロ)。

1994年4月のハビヤリマナ大統領暗殺を契機に、フツ過激派によるツチ及びフツ穏健派の大虐殺が始まり、同年7月までの約100日間の犠牲者は80万〜100万人と言われています。

しかしながら、農業生産の堅実な回復、国際援助、健全な経済政策により1999年までにGDPは内戦前の水準に回復し、2010年以降平均7%前後の実質経済成長率を維持しており、全体的には安定したマクロ経済運営がなされております。

また、世銀の「投資環境ランキング 2020」では、アフリカ第2位という高い順位を獲得しています。

そんな投資環境で世界の投資家が瞠目した新興企業にZiplineがあります。

https://flyzipline.com/

米国に本拠を置き、アフリカのルワンダやガーナで、ドローンにより病院や政府機関に必要不可欠な医療物資を配送する事業に特化した企業です。

Ziplineは現在、ルワンダ国内の血液供給量の75%(!)を配送しており、これまでに1万5,000件の救命救急配達を実施しました。

携帯電話の爆発的拡大が新興国から始まった故事を思い出させますが、アフリカは社会的ニーズが高い分野の新規ビジネスにとり、インフラ不足や規制の緩さから、大きな実験場となっております。

その現在進行状況が、アフリカとは距離でも情報でもビジネスでも、遠い日本では、なかなか見え難いのは残念です。

さて、英連邦首脳会議ですが、こちらは6月20日から25日まで、ルワンダの首都キガリで開催されました。

https://thecommonwealth.org/chogm

英連邦首脳会議は英連邦諸国の指導者達による2年毎の首脳会談ですが、コロナ禍の影響で4年ぶりの開催となりました。

英連邦は、かつて英国の植民地だった諸国との緩やかな連合体として結成されており、現在56カ国が参加しております。

その中には、ルワンダのように旧英国領ではない国(旧ベルギー領)の参加も認められております。

当然、英国にとり大きなイベントですので、エリザベス女王の名代としてチャールズ皇太子御夫妻が出席されております。

図6

公式晩餐会でのカミラ夫人、隣席はシンガポールのリー・シェン・ロン首相とカナダのトリュドー首相。
(リー・シェンロン首相のFBより)

英連邦の狙いは、伝統的な議会制民主主義、法による統治、人権の尊重、機会均等などの価値観の維持で、NATOやEUのような実利的組織とは異なります。

しかしながら、そのメンバーにとって旧大英帝国のブランドは大きく、様々な面での優遇が受けられることは想像に難くありませんが、英国にとっての、そのメリットは何処にあるのでしょうか?

それはやはり情報入手と国際政治の上で一定の影響力を維持する点にあると思われます。

ウクライナや東アジアが不穏な情勢下では、やはり水面下で英国の説得が効いていると想像できる場面も多くなってきております。

また、英連邦を構成する国々のトップ・高級官僚・軍幹部・経済人の多くが英国で高等教育を受けておりますので、世界規模の強大な同窓会で人脈を通じて地道に情報を取集し英国の利益に結び付けることになります。

ルワンダの悲劇と英国人の考え方につきましてはお散歩コーナーで追記させて頂きます。

【2】日経新聞 香港でメイド頼り、帰国し一転 ベアーズ社長 高橋健志 6/28 夕刊

図7

図8

・1996年に26歳で妻とともに香港に渡り、夫婦で現地の同じ商社に勤め始めた。香港では中流家庭でもメイドを雇う。

・妻も私も平日は朝から晩まで働き通しだった。知人からスーザンというフィリピン人のメイドを紹介され、住み込みで働いてもらうことになった。

・住み込みのメイドの雇用にかかる費用は当時月6万円程度だったので、夫婦共働きでならば雇える。これは女性の社会進出にとって、大きな推進力になる。スーザンのおかげで、妻も平日は100%仕事に力を注いでいた。夜、一緒に家路につくこともあった。メイドがいてくれることの便利さを痛感し、「日本もそうなったらいいな」と思い、家事代行産業を創りたいという思いが湧いてベアーズを起業するきっかけにもなった。

たかはし・けんじ 1969年東京都出身。91年東海大学文学部卒業、東京ベイホテル東急入社。96年に夫婦で香港に移住。商社に勤めたあと帰国、米国留学を経て99年、家事代行サービスのベアーズを設立。息子と娘がいる。

図9

図10

【川田コメント】
私は香港とシンガポールで駐在経験があるが、当時メイドさんは雇っていなかった。日本人駐在員はメイドさんを雇いなれていないようで「奥さんはメイドが来る前に部屋の片付けを済ます」という笑い話がある。あれは半ば本当で、それが日本人の普通の中流意識だろう。

当時、私は香港島の南側、レパルス・ベイ(淺水湾)に住んでいた。マンションの2畳ほどの小部屋にはトイレ、シャワーそしてベッドがギュッと詰まっていた。本来ならここでメイドさんが寝泊まりするというのだ。

その部屋を見て「こんな小さい部屋でかわいそう」と思ってしまうのが我々の感覚だ。彼女らの多くはフィリピン、インドネシア出身だった。彼女らとはあくまで主従関係で家族でもなんでもない。そんな若い女性が同じ屋根の下に住んでいる。これも戦後の日本人には不思議な感覚だ。

記事にあるように香港ではメイドさんのおかげで女性が大活躍できる。しかし、そのサービスを使うのは中国人や欧米人で私の部下(香港人)もそうだった。

じゃあ、そのメイドさんの人生はあのままでいいの?違う国で生まれていたなら、そしてちゃんとした教育を受ける機会があったならもっともっと違う人生を送っていたのではないか。私なんかはメイドさんをみてついそんなことを考えてしまう。そしてどこか後ろめたい気持ちにもなる。ただしこれじゃメイドさんを上手く使えないかな。

メイドさんの有効活用は、いまの日本が抱える喫緊の課題解決には効果的だろう。しかし、活躍の舞台が整った人の陰で頑張る人がいて、その人にも夢を与えるような仕組みがあればいいと思っている。

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