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川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」 [Vol.7]2021年7月19日配信

1.マーケット振り返り(7月12日~7月16日)

<主要指数>
・NYダウ -0.5%
・S&P500指数 -1.0%
・ナスダック総合指数 -1.9%

=駆け足バージョン=
週間ベースで4週間ぶりの下落。決算発表が期待を大きく超えられずに利食い売りが先行。消費者物価指数が市場予想を上回った一方、金融政策の変更にはつながらないとの見方から長期金利が低下して、市場を下支え。

=ちょっとだけ詳しく=
前週末の勢いを維持して始まり、月曜日に主要3指数が史上最高値を更新したものの、火曜日発表の6月の消費者物価指数が市場予想を上回ったことから利食いに押された。銀行株から始まった決算発表は概して前年比大幅な増益だったものの、期待が高かっただけに上値を追うには力不足だった。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の議会証言では引き締めに動くほど経済が回復していないことが示され、長期金利の低下につながった。半導体受託製造のTSMCの決算発表が期待を上回らず、半導体株などの成長株が売られた。週末にかけては新型コロナウイルスの変異株の感染拡大が懸念され、主要指数が4週間ぶりの下落となったほか、小型株指数が大幅安となった。

図1

S&P500指数 過去1年間

図2

2.今週のズバリ!

これだけは知っておいてほしい情報をお届けするコーナーです。

米国株式市場は週間ベースで4週間ぶりの下落。月曜日に史上最高値を付けた後は「エネルギー不足」の感じだった。長期金利は一時的に上昇したが、インフレ率が予想を上回る上昇となっても低下する予想外の反応。その金利低下を受けても今回は成長株が買われることはなく、半導体株を中心に下落した。決算発表が始まったが、大手銀行株など好決算でも株価が上昇しない銘柄が多かった。

こうした市場の動きは、商いが薄く市場のエネルギーが少ないことが大きな理由だろう。市場参加者が少ないと、需給関係が少し不均衡になっただけで値動きが大きくなる。久しぶりに「新型コロナウイルスの感染拡大」が悪材料として指摘された背景もこれだろう。また、主要株価指数は史上最高値付近にあるが、一部の大型株の上昇が支えているだけという見方もある。これを裏付けるように小型株は先週大きく下落した(ラッセル2000指数は5.1%安)。

こうして書くと弱気のようだが、市場関係者が高値警戒を持っている時は大崩れしないものだ。前から書いているインフレ(金利上昇)、企業業績のピークアウト感、感染再拡大といった懸念材料も、ある程度は織り込まれているから大崩れの材料にはなるまい。

ということで、長期投資の人は売ることはなく、余裕資金のある人は焦って買う必要はないという相場が続きそうだ。エネルギーが低下している市場で無理にトレードすると捕まった時に身動きがとれなくなる(特に中小型株)。成長株ではなくバリュー株などの推奨も聞こえてくるが、株式を買わなければならない機関投資家は別として、個人投資家が無理に抱える銘柄でもないだろう。

今週は決算発表シーズンが続く。ハイテク関連では火曜日のネットフリックス、水曜日のASMLホールディングとテキサス・インスツルメンツ、木曜日のインテルとツイッターが注目。その他では、月曜日のIBM、水曜日のコカ・コーラ、金曜日のアメリカン・エキスプレスなど。経済指標は住宅関連などがあるが影響は限定的だろう。

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