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米国株式投資の真実を伝える [Vol.50]2022年6月13日配信

【人生を豊かにする日経の読み方】

社会人になって40年以上読み続けている日経新聞の中から気になる記事をピックアップしコメントする企画だ。毎週土曜日午前9時〜9時45分にズームへの参加形式で実施している。

参加は無料なのでご興味あるかたはPeatixでお申込みください。

以下は先週土曜日にカバーした記事の表題をいくつか

図2

オンラインサロン「夢がかなう資産形成塾」

図3

皆様が資産形成で成功するために一緒に学び啓発し合うオンラインサロンです。大好評のメルマガ「メディアで鍛える米国株式講座」だけでは伝えきれない内容や、米国株式投資の魅力を体感できる会員向けのセミナーを提供します。

1.マーケット振り返り(6月6日~6月10日)

<主要指数>
・NYダウ -4.6%
・S&P500指数 -5.1%
・ナスダック総合指数 -5.6%

=駆け足バージョン=
株式市場は長期金利の動きに反応する展開となりました。長期金利が3%を下回ると押し目買いが入ったものの、週末に発表された消費者物価指数が市場の予想を上回ると長期金利が急上昇し、成長株を中心に売り込まれました。

=ちょっとだけ詳しく=
先週の株式市場は前週末の下落後の買い戻しの動きで始まりましたが、消費者物価指数(CPI)の発表を週末に控えて上値の重い展開が続きました。

長期金利が心理的な節目の3%を下回ると買いが入ったものの、3年国債や10年国債の入札不調を受けて金利が上昇すると、すぐに売り込まれました。

木曜日に欧州中央銀行が7月に量的緩和策を停止すると同時に利上げに踏み切ると発表すると欧州の国債利回りが急上昇して、米国の金利も上昇しました。

金曜日に発表されたCPIは市場予想を上回って前年比は1981年12月以来の高い伸びとなりました。

金融引き締め策が一段と強まるとの観測から長期金利は5月9日以来の高水準となり、成長株を中心に大きく売られました。

図4

S&P500指数過去5年チャート

図5

2.今週のピックアップ記事

資産形成に役立つ情報を、私が得た情報の中から気になるものをセレクトしてランキングし、極々私的な見解でコメントするコーナーです。先週から、お散歩コーナーで本を紹介している熊倉貫宜さんのピックアップ記事とコメントも掲載しています。


【1】ウォール・ストリート・ジャーナル 【オピニオン】キッシンジャー対ソロス、ロシアで異論 90代の大御所2人がダボスで示した世界秩序観の違い 5/26

ヘンリー・キッシンジャー氏

図6

筆者のウォルター・ラッセル・ミード氏は「グローバルビュー」欄担当のコラムニスト
  
・【ダボス(スイス)】ナチスの支配下を生き抜き、移民として米国に渡った2人が、共に90代で世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の討論の中心となった。

・ヘンリー・キッシンジャー氏ロシアを打ち負かしたり排除したりせず、ウクライナは2014年の領土喪失を受け入れよ。

図7

・ジョージ・ソロス氏
プーチン氏のロシアとの戦争における勝利は「文明を救う」ために必要。西側諸国に対して、ウクライナが勝利するために必要なものは全て提供せよ。

・両氏の処方箋は非常に異なるが、認識には多くの共通点がある。それは2人とも、米国の価値観と利益に基づき欧州の平和を守ることが米国の外交政策の主な目標だということだ。

・結局のところロシアは米国の政策にとって二次的な問題であり、長期的には米中関係の重要性の方がはるかに大きいとの見方でも一致している。

・相違点:維持したいと考える秩序や文明の本質
・ソロス氏は、バイデン政権と同様、世界における主な問題は民主主義と全体主義の闘争だとみている。民主国家の場合、国内では市民の権利を尊重することを法で義務づけられており、国外では国際法の制約下で行動しなければならない。全体主義国家の指導者らは国内外を問わず、そうした制約を拒否する。


・キッシンジャー氏の立場
世界には常にさまざまなタイプの政府が存在してきたし、これからもそうだというものだ。われわれにはロシアと中国を民主国家に転換させる任務はなく、ライバルである大国にも尊重されるべき権利と利益があることを認識しなければならない。


・歴史を振り返ると、確かなように思えることが一つある。1930年代にヒトラーをなだめようとした仏英の指導者は、ドイツの国益を尊重する必要性についてキッシンジャー氏のような主張をした。一方、イラク侵攻をジョージ・W・ブッシュ大統領に求めた新保守主義派(ネオコン)は、サダム・フセイン体制の全体主義的な性質に関して、ソロス氏のような主張を展開した。


・キッシンジャー氏もソロス氏も賛同してくれるだろうが、歴史のいかなる理論も国際社会の混とんとした現実に機械的に当てはめるのはトラブルの元だ。

図8

【川田コメント】
世界を代表する知性の持ち主がロシアとプーチン大統領には共通の認識を持ちながらも異なる見解を示している。

キッシンジャー博士は「ロシアを打ち負かしたり排除したりせず、ウクライナは2014年の領土喪失を受け入れよ」。一方でソロス氏は「プーチン氏のロシアとの戦争における勝利は「文明を救う」ために必要」だというのだ。

この画像はBS-TBSの「報道19:30」の写メだ。二人の知の巨人と同様にフランスのマクロン大統領とエストニアのカラス首相の2人の意見でも、ロシアへの対応は大きく分かれる。マクロン大統領は長期的にロシアと共生する道を探らなければならないと説き、カラス首相はプーチンに譲歩するほうがはるかに危険だと主張する。

皆さんならどちらの意見に納得するだろうか?私はキッシンジャー、マクロン陣営だ。我々は英米のフィルターのかかったメディア情報で判断をしがちだ。つまりその時点で英米のバイアスがかかっていると思ったほうがいい。そして人間のやることに絶対に正しい真理などない。正論をそのまま行動に移すことが意図した結果につながるとも限らない。

図9

さてこの問題を考えているときに日経日曜版(6/12)で早世の哲学者、池田 晶子の「14歳からの哲学 考えるための教科書 単行本 – 2003/3/20」の広告を見つけた。彼女は2007年に死去したが当時はずいぶんと注目を集めた文筆家だった。

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