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川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」 [Vol.8]2021年7月26日配信

1.マーケット振り返り(7月19日~7月23日)

<主要指数>
・NYダウ 1.1%
・S&P500指数 2.0%
・ナスダック総合指数 2.8%

=駆け足バージョン=
新型コロナウイルスの感染が再度拡大して再び景気が後退するとの懸念から月曜日に大きく売られたが、市場の予想を上回る決算発表を受けて懸念が後退し、買いが先行した。主要3指数は金曜日に史上最高値を更新して引けた。

=ちょっとだけ詳しく=
新型コロナウイルスのデルタ変異株による感染拡大を背景となって世界景気が早期にピークアウトすると懸念されたことから、アジアや欧州の流れを引き継いで月曜日に急落した。しかし火曜日以降は長期金利の低下を受けてハイテク株を中心に成長株が買われたほか、市場予想を上回る好決算の発表が相次いで反発に転じた。新規失業保険申請件数が予想外に増加したことから下落する場面があったものの、空運株や消費関連株の好決算が景気見通しに対する不安を打ち消した。来週発表予定の大手IT株の決算が期待されて金曜日も続伸し、NYダウが史上初めて3万5000ドル台に乗せたほか、S&P500指数やナスダック総合指数も揃って史上最高値を更新して週末を迎えた。

株価テーブル

図1

S&P500指数 過去1年日足

図2

2.今週のズバリ!

これだけは知っておいてほしい情報をお届けするコーナーです。

先週月曜日の米国市場の急落に驚いた投資家も多かっただろう。日経新聞も「下落幅は約9か月ぶりの大きさ」と、NYダウが大陰線を描いたチャートを載せていた。

株式市場の動きを表現する一つに「エスカレーターで上り、エレベーターで降りる」というものがある。上昇するときはゆっくりだが、下落するときは一気にということを表したもので、上記の日経新聞のチャートを見ると、そのように見える。

ただし下落の理由は「新型コロナウイルスのデルタ変異株」による景気悪化懸念だった。これはここでも指摘していたくらいだから、ある程度は織り込み済みであり、下落がもっと大きく、もっと長くなるとは思われなかった。

好材料にしても悪材料にしても、市場に対する影響力が大きいのは「想定外」や「サプライズ」だからである。そうなるだろうと予想されていた材料が短期的に市場を大きく動かすことはない。そして、想定外のものの多くは悪材料だから、相場が乗るエレベーターのほとんどは下り方向になる。

反対に好材料は想定されたものなのでサプライズはないものの、時間とともにじわじわと織り込まれていく。基本的に米国の企業ファンダメンタルズは全体としては右肩上がりだから、気が付けば上の階にいたということになる。

さて、来週は28日に金融政策を決める米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が発表されるが、前回ややサプライズだったこともあり、今回は無風だろう。第2四半期のGDPの速報値が29日に発表されるが、これも高成長は織り込まれており、サプライズがあるとすればよほど高くてインフレ懸念が高まった場合だけだろう。

それよりも来週の注目は決算発表だ。特に27日の火曜日はグーグルの親会社であるアルファベット、アップル、マイクロソフトが発表する。これら3社の時価総額は全て世界5位以内で、合計すると6兆4000億ドルに上る。1%動いただけで6兆5000億円を超えることになるから、大変なものだ。

最後に、今週のバロンズで「7月の第5金曜日は下落する確率が高い」という記述があった。よく考えてみれば第5金曜日は必ず月末であり、「週末+月末+決算発表の山越え」だと買う人はあまりいないはずだ。こういった点からも基本的にエネルギーが少ない夏休み相場が続きそうだ。

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