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「成瀬は信じた道をいく」読了

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今回読んだ小説は、本屋大賞2024でおなじみ「成瀬は天下を取りに行く」の続編である、「成瀬は信じた道をいく」です。

前作同様、誰かから見た「成瀬」が色濃く記されています。ただし、今作は成瀬が誰かを救っているのです。そして、その誰かに成瀬は認められ、尊敬されます。

今までは、理解者がほぼ島崎ひとりだったのに対して、成瀬が信じた道を進んでいくこと、そして大人になり様々な人とかかわることで、交友関係が広がってゆきます。

そんな成瀬の一番の、唯一の理解者だった島崎は、成瀬が大津観光大使に選ばれてほかの子とコンビを組んでいることに嫉妬心を感じてしまいます。

最後の章では、大晦日に成瀬が書置きを残して家を出て行ってしまいます。島崎はサプライズで成瀬宅に泊まる予定だったので、成瀬の両親ともにてんやわんや。そこで、成瀬捜索隊を結成します。今作で成瀬が助けてきた人物たちがLINEに結集し、島崎は成瀬の情報を集めて大津から名古屋へ大移動です。

しかし、残念ながら成瀬確保には一歩遅く、島崎は捜索を断念し大津へ帰ります。新幹線に乗っている最中、突然島崎の母親から連絡が入り、なんと成瀬が東京にいることが発覚します。成瀬は、島崎と同じことを考え、サプライズで島崎に会いに行こうとしていたのです。さらに、夜にテレビをつけると、紅白歌合戦で成瀬がけん玉をもっているではありませんか。大晦日ですら、成瀬は自分のやりたいことを突き通すために行動していたのです。

成瀬と島崎がお互いにびっくりさせようと考えていたからこそ、すれ違いが起きてしまったことは、島崎にとっては救いというには大袈裟かもしれませんが、とてもうれしいことだったと思います。

成瀬は自分が信じた道を進んだ結果、誰かを助けたり、夢を叶えたりすることができました。多分、人生はそういうものなんでしょう。人は成瀬のように強くもなく、なんでもできるわけではありません。でも、信じた道をいくことが、自分の夢を叶える第一歩であり、一番の近道なのかもしれません。

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