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「変な家2」読了

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今回は、あの映画化もした大ヒット作品「変な家」シリーズである「変な家2」を読んでみた感想です。前作である変な家と同じく、「間取り」というミステリー・ホラーにつながらなそうなことに隠された、家族の秘密や真実が暴かれていきます。

今回の"2"では、まず11の間取り(建物)それぞれがどのような成り立ちから存在しているのか、生まれてきたのかが関係者などによって探られていきます。ここでは、まだ推理というよりかは想像の枠にとどまっている気がしました。

今回大きなカギになってくるのが、「ヒクラハウス」という建築会社と、「再生のつどい」という宗教団体です。

物語上でまず出てきたヒクラハウスが手掛けた家は、同じ間取りで量産されしかもそれが使いづらいというものでした。使いづらいだけならばよかったのですが、そこでは殺人事件が起きてしまいます。関係者によると、使いづらさと家族の仲の悪さから、日ごろから家庭内に不安を感じ徐々に情緒がおかしくなってしまうというものでした。

再生のつどいは、ある関係・環境から生まれてしまった子供に不幸が起こらないように、その親が通う宗教でした。その聖母様には左腕と右足のない女性がおり、その聖母様のもとで眠ることが再生につながるとされていました。

この建築会社と宗教団体はズブズブの関係。宗教団体では聖母様のもとで眠ることが再生とされており、その真の目的は「自分の家を聖母様と同じ形」とするように促すことでした。もちろん、その建築を担当するのはヒクラハウスです。自分の家を聖母様に見立てて、その心臓部で子供を寝かせることにより、日常的に聖母様のもとで寝ることができるようになります。

今回の物語は、このようにヒクラハウスの経営陣がその経営や周りの人物を巻き込んで行われるイベントが11種類の間取りにつながり、からみあい1本のストーリーを浮かび上がらせています。

変な家はドキュメンタリー小説という位置づけですが、物語のテイストが取材や資料ベースなのでかなりのリアリティを感じて読み進めることができました。もちろん、真実も嘘も両方あると思うのですが。

ここまで間取りを通した奇妙な謎があると思うと、自然と自分の住む部屋の間取りを見返したくなりますね。もしかしたら、左腕と右足がないかもしれませんし。


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