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ここでは仮に、彼の名前を四角太郎としよう。なに、顔が四角いからではない、考え方が四角いのだ。鉄板みたいにかちかちで硬い頭を、彼はいつも重そうに抱えながら生きていた。ゆらゆらと、バランスを必死で保ちながら歩いていた。 四角太郎は、死にたかった。なぜ自分はこんなにもつまらない世界を生き続けなければならないのだろうと、そればかり考えていた。 物心ついたころから、四角は死にたかったそうだ。最初に絶望を自覚したのは四歳のころだ、幼稚園でぎゃあぎゃあとわめきちらす男児たちの涎ま