なぜ鼈甲(べっ甲)の眼鏡が良いのか?
ずばり、お値段は良いもので100万円以上します。値段だけを見て高い安いを言うのは下品ですよね。お値段には理由があります。
高価な理由
結論から書きますと、以下になります。
・そもそも希少素材である
べっ甲はタイマイという海亀の甲羅(こうら)で作られています。1994年のワシントン条約により、このタイマイの商業取引が原則禁止となります。なので今は1994年以前に確保していたものを使用しているんです。そもそも原料が希少なんですね。
・加工に職人技が必要
一本のべっ甲フレームは、多くのタイマイの甲羅を貼り合わせて作られてます。甲羅自体にニカワ質があり、高温と高圧の状態でくっ付くんです。この温度と圧力のアンバイは職人技。そもそも高温高圧でくっ付くことがどうやって判ったのでしょう。すごい。貼り合わせた後の削りや磨きにももちろん細心の注意が必要で、手間隙がかかるんです。
・眼鏡フレームとして好まれる素材
需要と供給の関係ですので、やっぱりフレーム素材として優秀な特性があります。以下に理由を書きますね。
眼鏡フレームとして好まれる理由
①軽さ(比重1.27)
なんとチタン(比重4.54)の約1/4です。
②肌馴染みの良さ
こちらが最も優れた特性だと思います。動物性タンパク質という天然素材でしか味わえない独特の質感で、不思議なまでに人体に馴染むそうです。
③アレルギー無し
上記②の理由とかぶるのですが、天然素材ですから非常に人体にも優しい素材です。
④長持ちする
数枚の甲羅を貼り合わせて作られているため、たとえ折れたとしても、またくっ付くんです。光沢に関しても磨きを行うことで回復します。つまり一生ものなんです。デザイン的に問題なければ、孫の代まで使えるとても長持ちするフレームなんです。
べっ甲のもう少し詳しい話
あまり興味のない方は、まとめに飛んでくださいね。
そもそもべっ甲は前述したとおりタイマイという赤道付近に生息する海亀の甲羅でできています。甲羅にも部位があり全部で25の部位に分かれます。そのうち1番高価な白甲(しろこう)は甲羅のいちばん外側のビラビラの部分の4枚だけから取れます。4/25=16%しかありません。つまり、べっ甲の価格は部位の色や透明度によって変わるんです。黄色い部分が多いほど、また透明度が高いほど高価です。べっ甲は色合いや斑(ふ)の入り方によって様々な名前が付いています。以下に代表的なものをご紹介します。
以下、トリプル銀座さんのHPより
・白甲(しろこう)
玳瑁の尾の回りの4枚の爪甲(尖った三角形の甲羅)から作られます。黄みがかった深い透明感は、変わるものがないほど美しい。透明感を出すのは熟練の技を要し、採れる量が少なく希少価値も高いため最高級とされています。
・オレンジ甲白甲と同じく尾の回りの4枚の爪甲(尖った三角形の甲羅)から作られます。肚甲(はらこう-お腹部分の甲羅)を使用する場合もあります。白甲より透明度は低くなります。
・白ばら甲(しろばらこう)背中の甲羅の白い部分を集めて作られることもある弱冠の斑が入ったべっ甲です。べっ甲の雰囲気が出るということで、白甲より好まれる場合もあります。
・黒甲(くろこう)背中の甲羅の濃茶色部分のみを集めて作られたもので、重厚で品のよいツヤがあります。真黒(しんくろ)と呼ばれる黒一色のものは、茨布甲よりも価値が高くなります。
・とろ甲(とろこう)背甲の甲羅から作る、濃淡の弱いものをトロ甲といいます。上品にお顔に馴染む色合いです。赤っぽいものは上トロ甲、黒っぽいものは中トロなどと呼ばれ、やはり色が薄い方が高価です。
・茨布甲(ばらふこう)背甲の自然の斑点を活かして作られたもの。一般的なイメージのべっ甲柄はこちらではないでしょうか。茨布甲の中でも白甲の部分が多く"斑(ふ)"と呼ばれる斑点が明瞭なものを上茨布と呼び、白甲・オレンジ甲に次ぐ高級品となります。
まとめ
肌に馴染みが良く、軽くて耐久性も良い。
ここまで書いてみると、高価であること以外は無敵の印象になってますが、実はもうひとつ欠点があります。
それは、メンテナンスが必要であるということです。すべてのフレームに言えることですが、特にべっ甲は天然素材ですので、使用している場合は良いのですが、保存する場合、乾燥するとひび割れたり虫食いにあったりします。まぁこの状態になっても、修理は可能なので、ここは大きな利点ですね。
他の素材にはない、一生ものの価値。値段には、やはり理由があります。
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