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海からの贈物

「海からの贈物」の著者であるアンモロー・リンドバークは、大西洋単独無着陸飛行にはじめて成功したチャールズ・リンドバークの妻であり、また自身も女性飛行家として活動した人物です。また素晴らしい紀行随筆を残しており、彼女の紡ぐ文章には考えさせられることが多いです。
今回の「海からの贈物」はアンモロー・リンドバークがある離島に滞在した際に書かれた随筆です。

著作の中で素晴らしい文章や言葉は多いのですが、今回は現代において何かしらの示唆になるだろうと個人的に感じている部分を抜粋します。

p45 
与えるのに意味があれば、それほど自分が減らされるということがない。与えるということの自然な形式がそれなので、そうして与えることで減らされた分が新たに加えられるようなのである。

最近は贈与論やギバー、テイカーなどが論じられているかと思いますが、アンモローの言う「与える」とはどういう意味なのでしょうか?
一考する価値はあるかと思います。


p95-96
自分の力を験すのに他のものと競争しなければならないと思ったりするのを止めなければならない。
ー中略ー
「誰か他のもののために自足した一つに世界」にならなければならないように思われる。

自分の力を測ろうとすれば、他者と比較をするということが最も分かりやすいかと思いますが、アンモローはそれを否定しています。ありがちな他者との比較をするな、ということではないような気がします。


「誰か他のもののために自足した一つに世界」
自足するとは何でしょう?
自分自身で足りる世界、そして誰か他の人のために働きかける世界。
自身の足りない部分を他者に求めるのは間違っているのでしょうか?

最後にアンモローの警句とも言える文章でまとめます。


p125
未来は現在の代用になるだろうか。そして私たちが現在を無視して、それで未来がよくなると言えるだろうか。また、私たち自身の問題が解決できなくて、世界の問題が解決できるだろうか。

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