『LEE』vs.『VERY』 女性誌の状況。
出版不況の中、特に女性誌の売れ行きが低迷していますが、その中で、奮闘している雑誌が光文社『VERY』と、集英社『LEE』。2004年に『VERY』の編集長になった相沢正人さんが仕掛けた言葉「シロガネーゼ」「公園デビュー」が有名です。(実売数のデータがないため売れ行きは不明。)
その後、現在の編集長である今尾朝子さんが大活躍。相沢さんのころの専業主婦向けとは違い、働く主婦・ママを読者ターゲットと捉えるなど、ちょっと今までの女性誌とは一線を画している雑誌と感じます。もちろん、女性キャリア誌は存在してるのですが、ママが働くという視点が新鮮だと思います。
一方、同世代のママを対象にしているのが集英社の『LEE』。こちらも女性誌の中で奮闘しています。(久しぶりにLEEを買いました。)
『LEE』は、『VERY』と同じくファッション雑誌に位置づけられていますが、ライフスタイルという点では、2誌とも同じです。ただ、『LEE』には「働くママ」という視点は目立ってないです。今月5月号の付録は「人気料理家のわが家のヒットメニュー54」という家庭料理のレシピ本です。
2誌のサイトに示されている各誌の説明。
『VERY』
「基盤のある女性は、強く、優しく、美しい」 母として、妻として、女性として輝く30代ミセスに支持されるファッション&ライフスタイル雑誌!!
『LEE』
上質なおしゃれと丁寧な暮らしを提案するファッション&ライフスタイル誌
東洋経済サイトに今尾朝子さんのインタビュー記事が出ています。
VERY編集長が代弁する「働く主婦の本音」
NHKのプロフェッショナル「仕事の流儀」でも放送されています。http://www.nhk.or.jp/professional/2016/0118/index.html
以下、『LEE』『VERY』の実売数の推移。日本雑誌協会より集計及び抜粋。
2008年(4月~12月) LEE - 31万1千部 VERY - 23万5千部
2008年(1月~12月) LEE - 31万5千部 VERY - 24万3千部
2010年(1月~12月) LEE - 31万1千部 VERY - 23万5千部
2011年(1月~12月) LEE - 29万9千部 VERY - 27万6千部
2012年(1月~12月) LEE - 28万6千部 VERY - 33万部
2013年(1月~12月) LEE - 27万1千部 VERY - 35万3千部
2014年(1月~12月) LEE - 25万7千部 VERY - 34万4千部
2015年(1月~12月) LEE - 24万2千部 VERY - 32万7千部
2016年(1月~12月) LEE - 25万6千部 VERY - 29万1千部
※2015年(1月~3月) 最も差が出た時期。
LEE 230,000部
VERY 349,134部
※2016年(10月~12月) LEEが実売数で再び逆転。
LEE 296,667部
VERY 275,933部
ちなみに、同時期の主な女性誌の売れ行きは以下のとおり。
2008年(4月~6月)
CanCam 553,333部
non・no 405,000部
with 523,333部
MORE 530,000部
CLASSY. 201,833部
an・an 251,208部
2016年(10月~12月)
CanCam 119,333部
non・no 190,000部
with 183,333部
MORE 226,667部
CLASSY. 208,833部
an・an 151,458部
『VERY』を発行する光文社の『CLASSY.』が健闘中。
全般的に女性誌の売れ行きがかなり減数していますが、特に読者モデルを中心にしていた『CanCam』など、インターネットの普及の影響をもろに受けた様子です。読者モデルがネットで自ら情報を発信しているため。
『VERY』が2013年、2014年をピークに実売数が減少しています。これも原因はインターネットによるものかどうか、ちょっとわからないところです。
ファッションは流行りがあるため、カジュアル系のファッションが主流になると仕事着とミスマッチを起こすこともあるでしょうから、そのあたりのことも関係しているのかもしれません。(ファッション系は苦手のため詳しくは不明)
もちろん、「働くママ」を主軸のテーマとしたネットメディアが多く生まれているということも考えられます。
『LEE』を発行している集英社自体は、昨年の決算報告で増収しています。以前にも書きましたが、集英社は漫画・コミックスを持っているため、雑誌からの収益減をそれらがカバーしている様子です。
また、『LEE』は、『LEEマルシェ』というECサイトを持っています。ファッション通販サイトは、たくさんありますから、『LEEマルシェ』も媒体と連動していくと効果が期待できるのではないかと思います。
『LEEマルシェ』
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