トロピカリア・ダンディー 〜42年目の黄色いFIAT500
具体的な日付は失念したが、1979/昭和54年12月。高校2年生、17歳の冬、クリスマス・シーズンのこと。
ロードショー公開からすぐ、劇場で『ルパン三世 カリオストロの城』を観た。
その時の衝撃は凄まじいものがあり——詳細についてはまた稿をあらためたいが——以来ほぼ42年間、俺の物事への考えかたや振る舞いの基準となっており、人生を支配されていると言っても大袈裟ではない。
かの宮﨑駿さんの映画監督デビュー作であり超名作であることは言うまでもなく名場面も枚挙に暇がないわけだが、まず度肝を抜かれたのが冒頭のFIAT500の大活躍。
同車は我らが浪漫社のYouTubeでママとの対談を配信予定の「ルパン三世 TV1stシリーズ(通称「旧作ルパン」)」でも登場していたのだが、その正式な車名を知ったのはこの時が初めて。
そしてそれからずっと「いつか所有したい車」となり書籍や雑誌なども買い漁っていまだにそれらは手元にあるのだが、なんだかんだで果たせぬままに、長い年月が流れたわけだ。
また、生活スタイルの変化もありいわゆる自家用車が必要なくなってからもかれこれもう20年以上になっていたのだが、それがこの8月、急に車を所有する必要に迫られることになった。
で、当初は廉価な国産車しかも軽でよかろうぐらいに考えていたのだが、半ば洒落で[フィアット500][中古]でググったところ、ルパンと同じ〝2代目〟ではないにせよ、2008年から日本でも発売が開始された〝3代目〟のフィアット500しかも「カリ城」と同じ黄色のモデルが、数年落ちの国産軽と同等の価格で真っ先に表示された。
もちろん価格相応で10数年前のモデルなのだが、その販売店の場所が数年前まで我ら夫婦が暮らしていた地の隣接市——同じく宮﨑駿監督の『となりのトトロ』の舞台の一つともなった——懐かしの武蔵野とあっては心動かされないではいられない。
というわけでさっそく出かけ試乗させてもらい、いくばくかの悩みどころはあったのだが、ほぼ即決・入金。車庫証明などで1ヶ月余りの時間がかかったものの、本日ようやっと納車日を迎えた。
昨夜からの興奮と緊張で浅い眠りから覚め、いざ販売店へ。
懐かしの中央線下りから西武多摩川線へと乗り換え、帰路はかつてしげく通った〝武蔵野うどん〟の名店に立ち寄り、小1時間ほどかけて無事に帰宅したというわけだ。
もちろん、この出で立ちで(笑)
ところで先述のようにほぼいわゆる脊髄反射というやつで決めたので細かな仕様やモデル名などはこの1ヶ月ほどの間にいろいろと調べて知ったのだが——ここがいかにも浪漫社らしい(苦笑)——この黄色は「トロピカリア イエロー」というらしく、当時全世界で100台限定で販売されたものとの由。
各筋の情報によるとカリ城のFIATは「バナナ イエロー」というらしく、なので厳密にはルパンカラーとは言えないかのもしれないが、いいんだそんなことは。
なにせこちとら当時1970年代末のいわゆる「トロピカル・ブーム」にもドハマリしていて、諸般の事情で果たせなかったがこの夏にはこれをテーマにした店のYouTubeもアップしようと思っていたぐらいなのだから。
兎にも角にも、42年目にして曲がりなりにも実現した夢。
来週にもまたぞろ例のアレについていろんな動きがありそうだが、心持ちが楽しくあればあるほどますます楽しくなる三段逆スライド方式(©ハトヤホテル)なのが浪漫社イコール我ら夫婦のフォース。
粋にやろうぜ、粋によ。
(from 11話「7番目の橋が落ちるとき」@ルパン三世 TV 1stシリーズ )
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