「ムーランルージュ」で、恋愛に夢中になるユアン・マクレガーがかわいい
夫が何を思ってか、『ムーランルージュ』を買っていた。そして長い間観ていなかった。
夫が「どうしてもここの場面を」と言って観たのは、M-1で使われる出囃子、が流れるシーン。M-1の出囃子が聴きたかっただけなんじゃないかと思うくらい、とりあえずそのシーンの前後だけ観て終わった。そこだけ観ても意味がわからないので、またいつか最初から観ようと思って、何年も棚に置きっぱなしにしてあった。
でもずっと気にはなっており、ようやく観た。ウチにはそんな「棚に置きっぱなし」の映画が何本かある。ちょこちょこ観ていかなくちゃ。
※以降、ネタバレあります。知りたくない人は読まないで下さい。
この映画、タイトルの通り、赤い風車が街の中に象徴的にあって、主人公クリスチャンの住む所やサティーンの働くキャバレーが近くに感じたり遠くに感じたり、不思議な感覚になるファンタジーの世界だ。
最初の方、個性が強すぎる面々、キャバレーでフレンチカンカンを踊りあおる女性たちと、ハイテンションな客の大騒ぎ、その色彩も「ゴテゴテ」にしつこいほどの鮮やかさで描かれていて、観ている側の視覚にも聴覚にも異様なムードを押し付けてくる。目まぐるしくて理解できないかも、と何となく不安になるギリギリのところで、サティーンの死を予感させる出来事。そして、ああこれ、うまくいかない男女が恋に落ちるストーリーを描いたものなのかと気が付く。
でも、悲しくて観なきゃ良かったとはならなかった。最後の方は少々コメディ的な状況になれど、二人がお互いの気持ちをギリギリのところで伝え合えたからだと思う。それに、ほとんど最初から彼女が亡くなることはわかっているし、ずっとそれを観客に伝え続けているようなものだから、「そんな……」と、驚いて絶句するような悲しさはない。少しずつこちら側に覚悟させてくれるのだ。ただ少しずつ、常に、それを感じるだけに、葛藤を重ねながら愛を守ろうとしている二人が、途中からもうずうっと悲しい。
そして何より、恋に落ち、愛を知るユアンマクレガー演じるクリスチャンがとても可愛い。キラキラとした目で彼女に恋をし、愛を知り、嫉妬に苦しんでいるではないか。失った苦しさと向き合っているではないか。恋愛にのめり込む一途で懸命な若者が、まぶしくて辛い。
すごく若い!……いやあ若い!
彼の目の表情、純粋な若者を上手に演じる様子に、「か、可愛い……」と思わずにはいられない。
「トレインスポッティング」の彼からは想像できない可愛さだ。「トレインスポッティング」観ていないけど。
そんなわけで、結局そんなことが一番印象強く残ってしまった。私がもう30くらい若かったら、ファンになっていたかもしれない。どうやら同じ年に生まれたらしいので、今は立派なおじさん。
確か彼はその後、宇宙で戦い、最近では「Pooh?」とか叫んでいたはずだ。そんな立派なおじさんを、立派な年齢となったおばさんが観ているわけで。今の彼に、特別な感情がわかないのはちょっと残念だけど。でも……。可愛かった。
読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。