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何度も読み返したい、皆さんの投稿note

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心を動かされたnote、笑ったnote、感心しちゃうnoteなど、何度も読み返したいものをまとめています。載せられて困るようでしたら、外しますので遠慮なく伝えて下さい。
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#日々

なみだの痕

季節がらの くしゃみが止まらず 右側の風は まだ旋毛をなでている 外苑前のサクラ通りを ひとり 知らないふりでやり過ごして 慌てる前に 無表情をつくる わかりたくないのに わからせられる日常 せっかくサクラが咲くのに つまらないモノに つまずきっぱなしで 手のひらの何もない中身に 何かを見つけたくて 虹を描いてみた ハル 傘がいらないのは 雨が降ってくれないから お願いをどれかひとつ聞いてよ “おそらく”に恐れなくていい日が欲しい 知らなくていい事

曖昧な境界線

赤裸々な言葉で しゃがみこんだ日 流れるような湯気の先に 賢くできない自分がいた 延びも縮みもしない 曖昧な時間だけ過ぎて ついなぞってしまう日々の過ちに めくるめく夜なんて来なくて 伸びすぎた背丈をただ 恨めしく思うだけ あと何回 切なさを置いてくればいい? 戸惑っているのに 平気な顔を付けて笑う はらはら落ちる心は 君が拾うことはない 満月を繰り返していたら 泣きたくなった 抱き寄せたかった気持ちは きっとこれ以上なく本物だけど 映画の最後に 名

この冬に 立ち尽くしている

いつものように 冬を迎える支度をしてた まだ暖かさの残る光をくゆらせながら 何気なく ふと 肌に添ってくる冬 落書きされる騒がしい街を 包んでゆく わかっているつもりでいたけど 書けない日々が続いて 理由も見付けられず 敢えなく ぼくの好きな季節を迎えてしまった 絵の中に迷い混んで秋を吸い込みたかった そんならどんなにか良かったかと過ぎて想う 嬉しくないはずもない 冬の訪れ なんでだろう それなのに… の続きが捕まえられない 逃げるように冬を連れてき

額になんて入らない

カサカサじゃなくて シャラシャラ 熟れている色じゃなくて 染まっていく色 理屈じゃなく 感じ取って ぽたぽたと 秋がこぼれ落ちて 大好きな風景を描いていく 聞こえないふりをして 寄り添われてみた午後は うっとりと秋に溶けて いま 流浪に魅せられ 流浪に堕ちていく チリチリと焦げる胸が 余白なく埋めてと騒ぐ あの丘の風を吸い込んだら 壁画の向こう側に 色の海が広がる 夜になるまで ぼくだけの世界に漂う 額になんて入れられない 入らないんだ ぼく

やさしい紅茶

あなたの 寄り添うようなやさしさが 陸橋の下で 一人ぼっちなぼくに届いた “頑張りすぎないで あなたらしくが好き” という言葉のしおりと共に 渦巻いている日々に 安らぎの一杯を添えて 空の色みたいに その表情みたいに のびやかで 感情をすくいあげて やさしい雨や雪を降らす 傷つきやすくても さりげなく でも確かに しっとりと包むように 咲くあなたに さっきから 紅茶のレモンを掻き回して でたらめに 幸せを定義したくなっている 駆け回ることに臆病になった

揺れるブルー

ゆだるような昼間の熱を めくったページに閉じ込めて 電話を見つめながら 手帳の予定をなぞる すべからく仕事は積もって 君とも冴えない らしくもなく “夏が好きだ”という顔をする きっとこんな夏は 望まなかったろうけど 見つめる先の秋にも “君と”はたぶん無い  はっきりと穴になって 光がほどけている ぼくが冬を想うより 君は夏を想うだろう 唇を噛んだって かえってこない波と 苦いだけのコーヒーみたいな 夏 君がアイツを想う夏だから 余計にぼくは この夏

知りたいこと

何を見て 何を想って 何を見つめて 何を手にして 何を感じながら 何を思い出にして 何を忘れて どうやって ここに立っているのか 知りたいなと願ってしまう ぼくにとって 君の感じ方は あまりにも素敵だから それはまるで 夜景の一粒のよう

ちょっと寂しいんだ

あけ方に少しだけ憂鬱になる となりに置いてきた昨日を 何となく見ないようにして 朝を覚悟する カッコイイ毎日ではなく 喜び多くでもなく 月の半分は こうやって朝を疎ましく思う それだけれども ぼくは ばかみたいに『過ぎた1日』を毎日想う にじむ程に『さっき今日だった昨日』を想う いたって素直に感じるこの心の動きは てんで道理とは合っていない くちびるを噛んで考えた れっきとしてそこにある想いなのに るいを見ない程の可笑しさも感じる のっけから奇妙な感

星の間に閉じ込めて

星が瞬きをする間に どのくらいの明日を願ったのか 鳴らなくなった口笛や 組めなくなった脚も 仕方がないなんて言わないで 手を添えて治してあげればいい 心に触れることなんて 簡単にさせてはだめ いま自分が自分を抱けないのに 早まって誰かに抱かせないでいい はぐらかさないで自分に応じて じっと耐えているんじゃなくて まだ待っているだけなのかもしれないと 冬 蔓がのびて葉をつけて 手の中に収まらなくなったら いつか見たような広い畑の畝を たくさんのやさ