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[ライブレポート]【CHANSON de JAZZ】シャンソンの名曲たちをジャズと笑顔にのせて

ソワレ、Kaya、銀座deシャンソン(キャンディ・アイ(きゃんひとみ)&メイリー・ムー(星屑スキャット)&ソワレ)、渡辺えり、ガラ(メリー)、梅垣義明(ワハハ本舗)、三枝伸太郎(p)、西村直樹(上々颱風)(b)、中村北斗(ds)が11月9日、CLUB CITTA'にて【CHANSON de JAZZ】を開催した。

 
【かわさきジャズ2022】の一環であるこの公演は、シャンソン歌手ソワレ&Kayaプロデュースでシャンソンの名曲をジャズアレンジでお届けするということで、当日会場では老若男女、たくさんの愛あるオーディエンスで溢れていた。
 
客席は一つ一つスペースの間隔がとられるなどコロナ対策がきちんとされていて、テーブル席もあり、ドリンクを飲みつつ楽しく公演を待ちわびる人も。そんな会場の雰囲気に、公演が楽しくなる予感がして益々期待が高まる。

19時になり、三枝のアレンジによるエディット・ピアフ「バラ色の人生」、ジルベール・ベコー「そして今は」から始まり、中村のドラムと西村のベース、赤と紫色の照明と共にワクワク感溢れるメロディーにのせてソワレとKayaが登場。大きな拍手で迎えられた。イヴ・モンタン「枯葉」を三枝のピアノと共にソワレとKayaのハーモニーが心地良く会場中に響き渡る。

会場の温かい拍手からの「ようこそ、皆さんおいでくださいました!」と、この公演をプロデュースするKayaとソワレが、今回の公演の主旨を説明し、スタッフとオーディエンスに感謝の言葉を述べながらご挨拶。また、Kayaが「シャンソンというと難しく思われる方もいらっしゃると思うのですが、フランスの歌謡曲でございます。」と、最初に歌ったイヴ・モンタン「枯葉」について、元々シャンソンで人気だったものがアメリカのジャズのスタンダードになったと分かり易く解説してくれる。

白のゴージャスなドレスを身にまとったKayaと、黒を基調に赤のアクセントの衣装が素敵なソワレの2人に紹介されて登場したのは、Kayaと同じヴィジュアル系ロックバンド・メリーのガラ。

Kaya
ソワレ

三枝の軽快なピアノとオーディエンスの拍手と共にイヴ・モンタン「毛皮のマリー」を聴かせてくれる。次に、MCでガラはKayaからこの公演のオファーについて「歌謡曲の部類は大好きで、得意というかよく唄っているので、今日、出させていただきました」と語る。
 
出演者の影響からこの日のためにブルーのラメを購入したというガラが、目を閉じ、その瞼を輝かせながら、シャルル・トレネ「幽霊」を感情的に唄い上げる。青の照明と共に中村のハイハットと三枝のピアノの旋律がガラの唄声とマッチしていた。ガラは「最後まで楽しんでいってください!」と、フランク・シナトラ「マイ・ウェイ」をスケール感たっぷりに唄いあげ締めくくる。

続いて、Kayaがオーディエンスの手拍子とともに、シャンソン好きにはたまらない「愛の幕切れ」を芯の通った唄声で披露。また、越路吹雪の歌唱で有名な「ラストダンスは私に」を可憐なステップを交えながら唄いあげ、会場はさらに楽しいムードに。

 
「個人的にも大好きで、唄声がすてき、素晴らしい!」とKayaが絶賛する女優・渡辺えりが登場。エディット・ピアフ「薔薇色の人生」を天高く登っていくような唄声で披露した。同じくピアフの「パダムパダム」は、西村の重厚なベース、中村のドラムブラシのサウンド、青と紫色の照明と共に怪しげなメロディーと力強い唄声で魅了。「薔薇色の人生」「パダムパダム」ともに渡辺自身が歌詞を訳して日本語バージョンを創り上げたという。そして、第一部のフィナーレを飾ったのは、渡辺が小学校6年生のときに「いつか大人になったら唄おう」と思っていた美輪明宏「ボン・ヴォワヤージュ」。歌詞の心情を表情やしぐさで表現しながら、叙情的に唄い上げる姿が胸に染みた。

第二部は、銀座deシャンソンによる「アイ・ラブ・パリ」のアカペラにはじまり、キャンディ・アイ「サンジャンの恋人」で幕開け。ソワレのイザベル・ヴーレイ「Je t’oublierai」。曲調と歌詞の「忘れて忘れて~」が切なく感じ、胸が締め付けられるようなとても素晴らしい曲であった。また、曲中の中村のウインドチャイムは歌詞の“星屑ダイヤモンド”を表現しているかのよう。メイリー・ムーは、シャルル・アズナヴール「オルガ」をジャジーに唄い上げていく。続いて、ソワレ、メイリー・ムー、キャンディ・アイの3人がそれぞれ選んだという一曲をソロで唄っていく。

 
まずは、キャンディ・アイが唄う「パリの空の下」。三枝のピアノの切ない音色からキャンディ・アイの哀愁を誘う唄声に酔いしれる。次に、ソワレがエモーショナルに唄うシャルル・トレネ「残されし恋には」。そして、メイリー・ムーは、「女歌手は二十歳」。メイリー・ムーは唄だけでなく表情やしぐさで楽曲の世界観を表現し、そこに中村のドラムと三枝のピアノが重なっていく。最後は、銀座deシャンソンで「モンパリ」。オーディエンスの大きな拍手に包まれ、リズミカルで楽しい音空間であった。

いよいよコンサートも終盤。銀座deシャンソンによる「ワハハ本舗の梅ちゃん!」という呼び込みで、梅垣義明が登場する。「水に流して」をエネルギー溢れる唄声で、「パリ野郎」ではオーディエンスの手拍子と共に会場を一気に笑いの渦に。「愛の讃歌」では、情熱的にオーディエンスとハグする場面も。最後は2年半ぶりに定番の鼻から豆をステージ内だけで飛ばし、「ろくでなし」を披露すると、オーディエンスは笑顔に溢れていた。

 
公演最後はステージに出演者全員が集合。Kayaが改めて一人ずつ出演者を紹介し、「オーシャンゼリゼ」を温かい手拍子に包まれながら全員で楽しく唄いあげる。会場の熱気が最高潮に達するなか、「また、お会いしましょう!ありがとうございました!!」とショーの幕を下ろした。シャンソンの名曲たちをジャズアレンジで聴ける貴重な時間。出演者、オーディエンスみなが終始心から音楽を楽しんでいる姿がとても印象的だった。
 
かわさきジャズ、シャンソンに愛をこめて感謝を。

Text by Chisato(かわさきジャズ公認レポーター)

公演概要

かわさきジャズ2022
CHANSON de JAZZ
2022年11月9日(水)@CLUB’ CITTA

More Info

セットリスト

[第一部]
【オープニング】
バラ色の人生〜そして今は〜枯葉(Kaya&ソワレ)
 
【ガラ】
・毛皮のマリー
・幽霊
・マイウェイ
 
【Kaya】
・愛の幕切れ
・ラスト・ダンスは私に
・いつわり
 
【渡辺えり】
・薔薇色の人生
・パダムパダム
・ボンボアヤージュ
 
[第二部]
【銀座deシャンソン】
・メドレー
アイラブパリ (3人)
サンジャンの恋人 (キャンディ・アイ)
je t’oublirai (ソワレ)
オルガ (メイリー・ムー)
アイラヴパリ (3人)
・パリの空の下 (キャンディ・アイ)
・残されし恋には (ソワレ)
・女歌手は二十歳 (メイリー・ムー)
・モンパリ (3人)
 
【梅垣義明】
・水に流して〜パリ野郎
・愛の讃歌
・ろくでなし
 
【エンディング】
・オーシャンゼリゼ(ALL CAST)