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生きるの疲れた

ここでは普段自分のバンドHONEBONEに関係ないことを書いているが、今回はいいタイミングなのでバンド関連のことを書いてみようと思う。

いいタイミングとは、新しいMVが出たタイミングということだ。

この投稿は新しいMVの宣伝及びその先にある再録ベストアルバム『一本勝負』の宣伝なので、とりあえずこんなのを読んでるヒマがあったら↓のMVを1000回見て欲しい。​

いいでしょ~~?

この音源は2020年に再録したもので、こういう素敵な曲たちが詰まったアルバム『一本勝負』が12/23に出るわけだが、元々この曲は2016年に出した『船出』というアルバムに入っている。

恐らく僕らのアルバムの中でも、ありがたいことに1・2を争うくらいお客さんから愛していただいているアルバムだ。

しかし『船出』を作っていた時期、僕ら2人はかなり厳しい状態にあった。カラオケバトルに出させていただき、徐々にお客さんが増え始めていた頃ではあった。しかし僕もエミリも「厄年か?」と思い実際に厄払いにいったくらい、とにかくバンド外の私生活に多くのトラブルを抱えている時期だった。

バンドをやめようとは思わなかったが、アルバム制作中「この生活続けられるか??」と思ったことはある。

エミリの体調が思わしくないこともあり、例えばこのアルバムでは本来エミリがやるはずのコーラスをスタッフのyuuちゃんにお願いしたり(それはそれでとてもよかった)、「S」という曲のレコーディングで一か所だけ声が出なかったところだけを、回復を待って一か月後に録りなおしたりした。

僕も当時フルタイムで週休0.5日くらいの黒い仕事をしていたため、ちょっとした空き時間で録音作業をして、翌朝寝坊しないようにわざと寝苦しくするため床で寝ていたことを覚えている。

今、あの頃の自分たちに言ってやりたい。「発売延期しなさい」と。

だってリリース日なんて自分たちで勝手に決めただけだし、今よりもさらにHONEBONEのことを待ってくれてる人なんてほぼいなかったのだ。延期したところで2~3人くらいのハードコアなファンが嘆くだけのことである。でもやっぱりマジメな坊ちゃん嬢ちゃんなのでそれができなかったのだろう。自分で自分の首を絞め続けることとなった。


で、そんなこんなの中でポッと「生きるの疲れた」という曲ができた。

たしか最初1番がエミリから送られてきて、「サビがちょっとな~」とケチをつけた記憶がある。あとなぜか歌詞の一部が栃木弁だったので修正してもらった。修正された曲を聞いて僕が2番以降の歌詞を作り、2人で更に歌詞とメロディや展開を詰めていった。エミリが歌った新しいサビはシンプルで切実で強力だったし、「生きるのはどうだい? 君も疲れてんな」のラインは我ながら「この語りかける感じやば、人気でちゃうかも♡」と思っていた。別にでなかった。

※余談だけど、先日あるプロのミュージシャンの方に「この曲1番と2番別の人が書いてない?」と見事指摘されて驚きました。

最初、壮大なイメージでエアロスミスのアルマゲドンの曲みたいにしてアルバムのラストにいれちゃお~なんて思ってやってみたら、マジでダサくなった。ほんとにあそこで思いとどまってよかった。
結果、「もっと一人一人に歌うようなこじんまりした曲だよね」と反省し、こじんまりさせてアルバムの冒頭にイントロのような感じで収録することになった。


当時の自分たち的には「満月こわい」「地獄に落ちようか」という2曲がメインとして自信のある曲で、「生きるの疲れた」は「いい曲だけど小粒」みたいな評価だったと思う。

しかし、いつからそうなっていったか忘れたが、「生きるの疲れた」は今ではHONEBONEのライブに欠かせない定番であり、自分たちでも代表曲として挙げるようになっていた。島耕作も驚きの大出世である。
こじんまりとアルバムの最初に入れた曲は、ライブのラストにドヤ顔で披露される曲になった。僕としてはたまにエアロスミスのアルマゲドンの曲みたいな心持ちで演奏することもある。物理的なアルマゲドンは合わなかったが、精神的なアルマゲドンは合うのだ。何言ってるかわかるかな?僕はわかりません。

もう読むの疲れたというあなたは見てみよう↓


今回再録ベストを作るにあたって、宣伝用のMVをどの曲にするか、会議するまでもなかった。
入ってるのは自信のある曲ばかりだけど、HONEBONEが一番世に叩きつけたいのはどの曲か。そりゃこの2020年、「疲れた」ってメッセージ出さなきゃウソだ。だって疲れてんだから。もう配信チケットの告知とかきついわ!!

制作をお願いしたのは2014年から僕らのMVを作ってもらっているUISHAAAWORKS(以下UW)。「くちびるだより」「ドクター」「ひとでなし」「満月こわい」「冷たい人間」「汚れた場所でも」「やっちゃった」と、毎回毎回趣向の違う名作を作ってくれる。

大体リリースがあるとUWに撮ってもらいたい、という交渉が始まる。
普通のMV制作では大体事務所やレーベルなど、アーティスト側が一番キャッチーな「推し曲」というのを決めて、「この曲撮ってちょ」と発注を出すことが多い。
が、僕らの場合はこちらが推したい曲ではなく、アルバムから何曲か渡してUW福島監督が撮れる曲を選んでもらう形をとることが多い。そのくらい信頼できるチームであり、そのくらいHONEBONEはUWとのMV撮影を楽しみにしている。(逆に言うと曲を渡して「どれも撮れません」となってしまうこともあった)

ただ今回ばかりは上記の流れがあったため、「『生きるの疲れた』でお願いします」とうオファーをした。
これでダメだったら今回MVはなしかな、と思っていたが、「OK、そろそろ普通にいいものを作りましょう」と快諾してくれた。エミリは嬉しさのあまり昇天しかけていた。ちなみに福島監督はイケメンである。

僕らとしてはほぼ初めての、自分たちではなくキャストさんがメインになったMV。UWはもちろん、キャストの皆さんやスタッフの方全員のご協力で、HONEBONEにとっての王道な曲を、見事にしっかり王道なままMVに落とし込んでくれた。ずっと胸を張って人に見せられる一本になったと思う。

ちなみにこの曲は、ライブでこすってるうちにエミリから「音程が気持ち悪い」というクレームを受け、現在は普通のチューニングより1/4音高い音にセットしている。これがけっこう大変なので、ライブでやる前には少しお時間いただいています。アルマゲドンも楽じゃないのだ。

最後にもう一回見てみよう↓

僕が一番気に入っているシーンは2:48あたり、ギターの音と共に太陽光が教室に降り注ぐシーンだ。まるで光を操る能力者のようでかっこいい。

よくわかんなかった方は確認のためにもう一度見てみよう↓

12/23発売の再録ベスト『一本勝負』もよろしくね。

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