以心伝心?
こどもが幼かった頃、買い物に連れて行くことは少なかった。
連れて行く場合は必ず夫と私とこどもの3人で出かけていた。
1人は買い物、1人はこどもの相手、でないと無理だった。
何が無理かって、買い物に連れ出すのも、移動も、買い物自体も、
とにかく2人がかりじゃないと・・・。
騒ぎはしないし親のそばを離れもしないのだけど。
でも嫌だと思ったらテコでも動かないし、
あっちに行きたいと思えば親をぐいぐい引っ張って行くし、
帰りたいと引っ張られたらよろけるくらい力があった。
進もうとするのがあさっての方向だったとしても修正もできない。
そして年齢+2歳〜3歳くらい大きくてぷくぷくで、抱っこは重量上げ。
あのときは幼稚園の入園前で、上靴を買う用があった。
履いてみないとわからないから連れて行くしかない。
まずは一番の目的の上靴を買った。
あとの買い物はこどもの機嫌次第で、買えるところまで。
買えなかった物は後日、夫が一人で、というつもりだった。
靴売り場を出ると、二手に分かれ、夫は急いで別の売り場に行った。
私とこどもは、そうじ道具売り場に立っていた。
こどもが帰ろうと言いだす前にさっさと決めなくては。
私はトイレのお掃除ブラシ2つのどちらにするかで迷っていた。
こっちのほうが安いけど、こっちの方が物が良さそう、
高いほう買いたいけど、もったいないかな、どうしようか。
何も口に出してなかったし、目線がわずかに動いていただけだったと思う。
私はこういうどっちでも良さそうな時ほど決められない。
どうしようどうしよう、焦りを感じはじめた時、
こどもが「お母さん、これ欲しい?」と言って
やや高いけど良さそうな方のブラシへ手を伸ばした。
(えっ!わかったの?)「う、うん、そうだね、こっちにしようか」
それをカゴに入れた。
「お父さんさがしてお金払おうか」と言うとこどもは
お金を払ったらもう帰れる、早く帰ろう、という晴れ晴れした顔で
「おとうさん、おとうさん、どこだ?」とさっさと歩き出した。
なんか伝わってる。普通に買い物してる。
お母さんこれ欲しい?の声を反芻しながら私はじーんとしていた。