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カラスがかあかあ鳴いている(2)

昼休みあいつが一人飯食ってるから

話かけてやろうと思って

近づいていったら

あいつ

変な目でこっち見るもんだから

仲間と音楽室まで連れてって

いつものように絞めてやったんだ

そうしたらあいつ次の日から

学校来なくなったもんだから、

心配したんだけど

いつの間にか忘れちまってたね

それからしばらくして

あいつが来ると

でかいカラスになって

席に平然と座っていやがった

黒い嘴を黒板に向けたまま

微動だりしないわけよ

近くまで行って

黒い丸い目ん玉覗きこんだら、

こっちの姿が映ってやがる

なんだかそれが無性に腹がたって

また音楽室まで連れてって

いつものように蹴ったり、殴ったりすると

あいつ羽をバタバタさせて

かあかあ鳴くわけよ

それが面白くって

腹抱えて仲間と笑ったよ

黒い塊みたいにうずくまってかあかあいってやがった

でも、その鳴き声を聞きつけて来たせんこうが、

走ってくる音が聞こえたから

俺たちは大急ぎて走って逃げたよ

まさか来るとは思わなかったね

来たとしたってあいつが悪いって俺には言う自信があったけど

まあ、仲間がびびっちまったんだから仕方ないよな

次の日にあいつの席は空っぽだから

ついに観念したのかもなって思ったんだ

別になんとも思ってないと言えば嘘になるけど

カラスの一羽に気を止めるやつがいるなら

こっちが聞きたいところだよ

その黒い羽は孔雀の羽より綺麗なのかい?ってね

とにかく、俺は哀れなカラスのことは

忘れることに決めたんだ

終わったことをくよくよ考えてても

仕方がないもんな




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