海賊に振り回される世界

海賊王におれはなる!で有名なワンピースですが、冒険ものの要素、政治的な要素が絡んできて面白いですよね。海賊がヒーローであり、世界を統べる要の存在であるという設定が斬新だと思った人も多いはずです。

海賊は日本にもいましたね。倭寇と呼ばれる中国人、朝鮮人、日本人の混合略奪集団が。現代でもソマリアに海賊はいます。商船やタンカーを狙って人質をとったり金目のものを要求したりします。地元では貧しい街に大金を稼いできてくれるのでヒーロー扱いされてるとか。

海賊の定義を少し広げてみましょう。海が関係している、国籍に関係なく海をまたいで大金を略奪する、というのが海賊の定義だとすれば、植民地支配によって他国を蹂躙し、自らは何も生み出さずに富を手に入れるという策略は、海賊のやり方そのものです。東インド会社による三角貿易や、南アフリカでの私設軍隊による鉱物資源の独占は、歴史に生々しい傷を残してきました。そうした、特定の国の政府の軍隊でもなく、資産を持った個人、あるいは無国籍、多国籍の利権団体による搾取は今も行われています。

このように、貨幣経済の発展は、より多くの領土を持つ国家よりも、より多くのお金を持つ個人、組織に対してあまりにも多くの権力を与えすぎてしまいます。それはなぜでしょうか?

例えば、古代のフェニキア人は、地中海貿易で活動領域を広げて富を蓄えましたが、実はどの巨大な帝国よりも長続きしています。フェニキア人が地中海貿易を行う間に、アッシリア、アケメネス朝ペルシャ、などいくつかの大帝国が現れては消えているのです。これは、軍備を拡張して領土を拡大するよりも港を抑えて地域を跨いで貿易によってお金を稼ぐ方法の方が持続的かつ確実に栄えるということを示しています。人類の歴史の中で領土を拡大して成功した帝国は未だ存在しません。たいていの場合、領土をでかくしすぎて統治しきれずに、最後には分裂して失敗に終わっています。

成功例?としては、特定の土地を持たないユダヤ人などは大きな財力を成して他民族から妬まれてきましたが、滅びることなく現在まで続いています。ただし、その権力にあやかろうとしてニセモノのユダヤ人が多数現れてそれこそ海賊のように世界を荒らしまわっています。

語弊が無いように述べておきますが、ユダヤ人が海賊であると言いたいのではありません。海賊のような振る舞いができるのは民族や国家など我関せずの人々です。自分の民族に誇りが無いからこそ他民族を蹂躙できるのです。それは国家や民族を担う存在では無いのは明らかで無責任な拝金主義の個人なのです。

もしも自分の民族に誇りがあるなら、他民族から恨まれるようなことは極力しないはずです。それは自衛のためでもあり、理にかなっています。昔のイスラム帝国が良い例ですが、他国を制圧しても、人頭税さえ払えば信仰の自由は保たれましたし、捕虜を拷問したり処刑したりするのはヨーロッパほど酷くはなかったそうです。当時のヨーロッパは教会が腐敗していて、冗談でムスリムになった方がマシだと言ってる人もいたとか、デカメロンに書かれていました。サラディンは西洋でも尊敬されていた人物です。

おっと、忘れていましたが、ムハンマドは良い意味での海賊の一種でしょう。彼が結婚した相手というのは貿易商人の未亡人と言われています。ムハンマドが夢見た世界はイスラム共同体によって繋がった海と陸です。ムスリムであればどの民族でも争いごとはなく商談が成立する。まさに、貿易商人らしい宗教ではないでしょうか。


世界の海と陸が平和になりますように。最後まで読んでいただいてありがとうございました。









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