他人に対して線を引かない•変な人をどう見るか


僕は滅多なことでは他人に対して線を引かない。必要なら距離は取る。だけど、今まで生きてきて出会った誰かに対して「あの人は住む世界が違う」とか、「自分如きには理解出来ない」と思ったりはしたことがない。相手がどんな人でも今は理解出来なくてもいずれは分かるかも知れないと思っている。良くも悪くも。
例えば習い事なんかでよく生徒さんが口にするのは「自分のレベルじゃ先生には追いつけるはずがないし、そこまで細かいことまで気にして努力する必要はない」という言葉だ。それは絵であれば良い画材を選ぶとか、先生が普段からやっている練習方法だったり。そういうのが細かいことだと言うのだ。でも僕が思うことは違う。逆に先生に追いつけないからこそ、むしろそこまで細かいことまで気にする必要がある。そうじゃなきゃ習っている意味がない。気にしないのならそこまでで終わってしまう。線を引くということはそういうことだ。
悪い例でいくと、さすがに連続殺人鬼なんかの心を理解しようとは思わないけども、メカニズムとしては非常に興味がある。サイコパスの心理を追い求めていくと影響を受けてしまうかもしれない。
ある初老の人との出会い。
最近、いわゆるステルスマーケティングのような、なにかを宣伝するような人に現実で出会った。ステルスマーケティングとは例えば、インターネット上で有名人などがいきなり洗剤やなにかの商品を褒めちぎる。そうするとその商品が売れたりする。私的には悪いことじゃないと思う。よっぽど変な商品じゃない限りその人を応援する気持ちが失せたりはしない。有名人じゃなくても草の根運動的に活動する人もいる。
だがそれは商品とは限らない。政治的な発言や思想、考え方についても複数でしかも同じ口調、同じ内容で同時多発的に活動する。いわゆる、ネトウヨとかネトサヨと言われる人達だ。この手の人の中には嘘ばっかり、偽情報ばかり宣伝する人がいる。頭が変なのか?と思ってしまう。いわゆる、線を引きたくなるような人だ。普通の人ならあいつイカレテル、で終わらせてしまう。
だけど僕はそこで線を引きたくなかった。同時多発的に、しかも同じ内容で“発生”するこの人たちに対して違和感を覚えたからだ。彼らがとても不幸な、惨めな境遇に置かれているような気がした。知りたいことは3つあった。「正気か?」「好きでやってるのか?」「何のためにやってるのか?」
幸運なことに、私が実際に対面して話をすることができた人から伺えたことは以下の通りだ。

正気か?→Yes
好きでやってるのか?→No
何のためにやってるのか?→世の中の人がまともに考えたり議論するのを阻止するため

まずは正気か?というところから。
私が会ったその人は、とてもいろんなことを知っている人だった。いろんな話題を話したけれども、その知識の豊富さ、話題の豊かさには感服した。はっきり言って頭がよくて、物事を系統だって考えることができる。インテリってやつだ。断っておくが、私は彼を嫌いではない。とても人間らしく感情豊かだ。言動は許せないけど。でも、彼が話す話題で政治のことだけは一貫性がまるでなかった。歴史や政治、各地の特産品など、知っている情報量はすごい。なのに、本当のことに混じってデタラメを言う。お金の流れで世の中が見える、それは本当だ。しかし、ディープステートという悪の組織が殺人ウイルスをばらまいてホロコーストのように人を死滅させて財産を取ろうとしている、などは妄想もいいところだ。オカルト陰謀論を盛んに引用して終末論的な方向に話をもっていこうとする。狂人などではない。世の中の仕組みや日本の歴史的経緯を分かった上で情報の撹乱を行っているのだ。周りの人達が呆れていてもお構いなしだ。私と2人きりになったときには、「フロリアンって知ってるか?カエル型の宇宙人が各国の要人の中に入り込んでるんだよ。そんな噂っていうか本当のことなんだけどさ」などとほざいてケタケタと笑っている。本を読むのが好きで、映像の世紀とか世界史、地理に詳しい大変勉強家の彼がそんなことを本気で信じているはずがないではないか。彼が今までに読んだものには著名な作もかなり含まれている。そのオカルト陰謀論の話の線で行くと、もしもフロリアンというのが本当にいるならその発言だけで始末されてしまうのではないか?

好きでやっているのか
彼の知識の豊富さ、特に地方の特産品に関しては確かなことが多い。そういうものが本当に好きなのだろう。話しているときは嬉しそうだから。人間、好きなものの知識をひけらかす時は嬉々としてやってしまう。それは本当に自分が知っていることだから意味がある。知りもしないことをデタラメに喋る時は目が笑っていない。調子だけはいいけど、そういうのは誤魔化せない。彼が言うところの悪の組織とやらを、彼自身好きではないらしい。ディープステートとか変な言い方をするからややこしくなる。彼に指令を出している本部のことだ。指令?君もオカルト陰謀臭いことを言うね、と読者のあなたは思ったかも知れない。だけど、同時多発的に湧いてくる彼らを、偶然で片付けることはできない。同時多発的に湧いてくる彼らの取るべき言動を決めているものがある。それは、誰かから直接言われて、とは限らない。ネットのニュースとか、怪しい情報源とか。バイトで?理由はわからないけどなんらかの理由で好きでもないことをやっているのだ。不敵な笑いを浮かべたり、情報量で人を圧倒して優越感には浸るけれども、情報の撹乱そのもの、情報の撹乱によって得をするであろう誰かのことが本当に好きでやっているわけじゃないということだ。政治家とか、それに近い影響力のある存在に対して。

何の為にやっているか
情報を撹乱する目的があるとするなら、その結果を見れば目的は自ずと見えてくる。彼のせいで私も含め、周りの人達は政治の話をしなくなった。というより、会話が全般に減ってしまった。どの話をきっかけに彼が妙チキリンな話を繰り広げるかわかったものじゃないからだ。僕は普段から政治や経済について勉強するクセがついているのであるていどは耐性がある。しかし、別な人は、ニュースしか見ないような人は、本当に表情が暗くなってしまっていてなんとも可愛そうだ。まさか彼の話を信じたわけじゃあるまいが、あまりにも終末論的な内容だったのか、もしかすると、こんな人と一緒に過ごさなきゃいけないことにガッカリしたのだろう。今度、僕が政治の話をするようなことがあれば、彼と同一視されてしまうことは免れようもない。おまえまで変な話を始めるんじゃないか、と。もちろん、自分から政治の話をしようとは思わないけど。
さて、こんな感じで情報は撹乱され、まともな思考や議論は阻害されてゆく。いかがだっただろうか。あなたの周りにいたとしたら僕は対処法をなにも伝授することはできない。おそらく、なんとなく音便にやり過ごすしか、他に方法はないのだろう。

つまらない話を最後までありがとうございました。よければコメント、ご意見などドシドシお寄せ下さい。

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