見出し画像

『A YEARS OF SPRLING』

 ジェンダーについて描く短編。プレイしてよかった。ちょっと前にプレイした作品にもジェンダーに悩むキャラクターがいましたが、「君は君のままの自分でいい」という安直な展開で簡単に納得してしまうストーリーで個人的にはちょっとモヤッとしたので、キャラクターの今までの悩みとこれからの向き合いかたを丁寧に、そして優しく描いてくれる本作はすごく納得できました。

 気にかけるつもりでも本人にとってはどんなことが傷つくのか分からない。傷つけるかもしれない。でも歩むことができる。そんなストーリーでしたね。


 素直すぎて疑問に思ったことをそのまま投げかけてしまうエリカは本作にとっては重要な立ち位置だったなと。


 いちばんよかったのはトランスジェンダーの女性・ハルの親友である愛美について。男性のパートナーがいて友だちにも恵まれている愛美ですが、物語の終盤で彼女自身がアセクシャルでことが判明。自分でも気付いていなかった愛美は戸惑いますが、今度はハルが親友として彼女に寄り添ってくれます。


 トランスジェンダーだけが特別ではない。誰もが言いづらい悩みを持っている。自分たちも変わらない。みんながそんなことに気付けて、優しい世界になるとうれしいと思わせる作品でした。


 自分は昭和の笑いが好きでコンプラを意識しすぎないほうがおもしろいという古い考えも持っていますが、誰かを気遣う優しさ、本人に寄り添うことはまったく別のこと。3人のキャラクターを通じて改めてそう考えさせてもらえました。


カワちゃんの晩ごはんのおかずが増える……!?