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ゲームライターの入門仕事

 「ゲームライターは食えない」「これからはeスポーツのライターが求められる」など、漠然とした話をよく聞きます。業界全体が抱える問題ではありますが、これが本当にこれからゲームライターをはじめようと思っている人に必要な情報かどうかは、ちょっと疑問です。

 そこで具体的にゲームライターをはじめようと思っている新人がどのような仕事を受けられるか考えていきましょう。

ゲームニュースの編集

 プレスリリースを記事化する仕事です。


 渡邉さんが上の記事で書いているように、すでに情報がまとまっているため、比較的新人にもやりやすい仕事です。

 たとえば、自分がお世話になっているGamerさんの採用情報にも最初はゲームニュースから教えることが書いてあります。


 速報の対応に慣れることができる、間違った情報は絶対に書いてはいけないことを知る、クリックされやすい見出し(かつ煽りすぎない)を考える力が付くなど、Webメディアの基本を学ぶことができる仕事です。

 また、ニュースならではの部分では、テキストや写真を編集者にメールで渡すのではなく、記事組みまで自分で対応することが多いこと。そのため編集の仕事を知ることもできます。原稿を書くときに編集者がどのようなものを求めているのか知っておくことで、ワンランク上の仕事ができます。

 ちなみに、電ファミニコゲーマーやAUTOMATONのように、記銘でニュースをまとめているメディアもあります。こちらは自分で海外を含んだニュースを探したり、情報を補足したりと幅広いアンテナと知識が必要な仕事になります。

 デメリットとしては、記銘ではないため、仕事の幅があまり広がらないこと。フリーであるならいろいろなメディアで仕事をするべきですが、記事を読んで興味を持った編集者から声をかけてもらえるということがありません。これはゲームニュースの仕事だけでなく、クラウドソーシングで探せる仕事全般にも言えますね。

 また、個人的にはゲームニュ―スの仕事は減っていくと思います。メディアならではのスクープ自体が無いからです。現在はゲーム会社やゲームタイトルのTwitterがありますし、PR TIMESという配信代行サービスもあり、誰でもニュースをチェックすることができます。


 最近はインサイドもニュースリリースの掲載を止めて特集記事に力を入れることを発表しましたね。


 ただ、膨大な数が存在するニュースのなかからユーザーが気になるものであろうものをピックアップするのはゲームメディアの人間の仕事ですし、しばらくはなくならない大事な仕事だと思います。トレンドのアンテナも自然に広がります。

インタビュー起こし

 インタビュー自体はスキルが必要な仕事ですが、音声を聞いてテキストにするだけならば新人でも可能で、知り合った編集さんに最初に任せてもらうことも多いです。(現場に同行させてもらえればインタビューをどのように進行させればいいのか知ることもできます)

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 こちらもニュースと同じで迅速に正しく提出することが大事です。とくに固有名詞を間違えないことが重要ですね。音声だけだと聞き取りづらいことも多いですが、適当に打つのではなく、インタビューの内容や前後の流れなどから推測し、きちんと用語をネットで検索してみましょう。(また、その部分に自信がない旨はしっかり編集に伝えましょう)

 インタビュー起こしに関してはインタビュアーを担当したライター自身が担当することがほとんどなので、あまり回ってくる頻度は少ないかも。ただ、編集者と仲良くなって、その編集さんが手を回らないのを手伝ったりして信頼を得て、さらにその人の知り合いの編集さんなどから仕事を得る……というのはライターに必要な基本スキルではないかと思います。ゲームが得意なだけではゲームライターになるのは難しく、誠実な仕事と円滑なコミュニケーションは大事です。

ソーシャルゲームのインプレッション

 仕事の幅を広げるには記銘記事を増やすのがいいと思います。AAAタイトルのレビューを新人に任せる編集部は少ないと思いますが、正式リリース前のソーシャルゲームのインプレッションなら立候補すれば検討してもらえるでしょう。

 ソーシャルゲームのインプレッションなら、ストーリーやキャラクターの魅力を伝えつつ、プレイ感覚をまとめればいいことが多いのでフォーマットは悩まずに決まることが多いし、文字数も3000文字以下でまとめることがほとんどなのでチャレンジしやすいハズ。


 ここで「ソーシャルゲームなんてどれも同じ」「コンシューマだけやりたい」と考えた人はWeb時代のゲームライターがあまり向いていないんじゃないかな……と思います。先入観を捨ててゲームを遊び、その具体的なプレイでわかった魅力を自分の言葉で伝えるのはライターに必要なスキルです。リリースに掲載を間に合わせる必要があるため、どこまでやり込むか、どのようにまとめるか、自然と完成までのスピード感も身につくと思います。

 また、リリース前のインプレッションのいいところはカンニングができないところです。リリース後の作品であればほかの人がどんなことを書いているのかチェックできますが、リリース前であれば自分で調べて自分の言葉で書かなければいけません。こういった自分の言葉で工夫する仕事に慣れておけば、現場の発表会などのレポートもできるようになるハズです。

配信のMC・司会

 自分自身の話ではないのですが、IGNのリアルタイムニュース動画に出演している伊藤ガブリエルくんやゲームスパークでラジオをやっている文章書く彦さんなど、最近の新人ライターさんを見ていると、顔出しでしゃべる仕事も視野に入れていいと思います。



 トークスキルは執筆スキルとは別のスキルですが、逆に別だからこそ、そちらのほうが得意ならやってみていいと思います。“ゲームの知識”をどうアウトプットするかという話だけなので、しゃべりのほうが得意ならそちらの仕事を中心に受けていいと思います。マフィア梶田さんもインタビューで話すことと書くことは同じだと答えています。


 やはり顔が売れるというのはフリーライターにとって有利ですし、顔出しを恥ずかしがるライターさんも多いのでチャンスでもあります。やはり継続的に呼ばれる人は、清潔感、愛嬌、場の空気を読めることが大事なような気がします。


 と、いうわけで簡単ですが新人にもチャレンジできそうな仕事をまとめてみました。このnoteが議題になって「こういうものもある」「こういった方法もある」といった意見が出てくるとうれしいです。

 正直、自分もまだまだわかっていないことも多く、注意されたり怒られたりすることも多く、「なにをお前が偉そうなことを語っているんだろう」と自分でも思ってしまうのですが、まぁみんなで頑張っていきましょうということで。なんだ、この雑なまとめ。自分もまだまだですね(笑)。

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