39歳になった。人生ボロボロだったけど、今年『龍が如く7』の春日一番に救われた

　今日は誕生日だ。もう39歳になる。来年はいよいよ40歳だ。ここ数年は本当に駄目な人生だった。

　仕事での空回りも多かったが、それ以上に人間関係に疲れた。誰かのために何かを尽くしても、上辺だけの感謝の言葉のみで、すぐに忘れ去られる。むしろ「これはやったのに、なぜこれはやらないんだ」と責められることばかりだ。とても疲れていた。

　よく疲れているから休んだほうがいいなどと言われるが、俺が欲しいのは休みじゃなくて気遣いだ。

　俺の好きな『CROSS†CHANNEL』というノベルゲームには“友情は見返りを求めない”という素晴らしい言葉が出てくるが、お互いが本当に困っているときに自然に助け合える間柄だから出てくるものだ。一方的に支えて、その支えることが当たり前になる、支えられていることにも気付かれていないのであれば心が疲弊していくだけだ。

　もう、ここ何年かは人生が嫌になって自分で幕を下ろすという最悪の想像すらしていた。「これ以上生きていても意味がないし、もういいだろう」と。

　しかし、今年は『龍が如く7 光と闇の行方』というゲームに出会えた。このゲームの主人公である春日一番は長いトンネルを照らす光となってくれた。

　春日一番は特殊な境遇でソープランドの店長や、そこで働くソープ嬢、街のたばこ屋やスナックのママに育てられた男。

　店長が亡くなったあとは高校にも行かずにグレていたが、自分の境遇を悲観したりすることはせず、育ての親であるソープに務める人々たちに感謝をしている。

　ケンカに明け暮れていたころヤクザにケンカを売ってしまい報復を受けていたが、荒川組の組長である荒川真澄に助けられてからは自分もヤクザの道へ。

　その後も高校生に裏ビデオを売っていた男を倒し、その金をシノギにせずに高校生にそのまま返すなど、自分が損をすることを素でやる春日。

　彼は殺しをしてしまった若頭に変わって警察に出頭。18年間、刑に服すことになる。

　ここまでがプロローグで、本作の物語はそこから大きく動き出すことになるが、春日はつねに人を信じて行動する。

　そしてそれは味方だけでもなく敵に対しても同じだ。彼は素でやっているため嫌味がなく、多くの人間が彼に惹かれて改心したり手助けをしたりしてくれるようになる。

　こまかいところをひとつとっても本当にいいヤツであることがわかるようになっている。たとえばギャグシーンで老婆に抱きつかれたりするシーンでも「ババア！」と怒ったり「勘弁してくれ」とかわしたりすることもなく、「ありがとよ」と相手への感謝の気持ちを述べる。

　俺がやろうとしていたけど出来なかったこと、俺が求めていた世界を春日一番は見せてくれた。

　『龍が如く7 光と闇の行方』は人情モノを今の時代にわかりやすく復活させたもので、見ようによっては古臭いものかもしれない。ただ、今の俺にはこの世界が必要だった。

　ホームレスやヤクザ、マフィア……誰とでも仲良くなっていく春日。春日は相手の職種など重要視せず、損得など関係なく人と人として対話をして、繋がっていく。多様性の時代などと言われることもあるが、人と比べないで生きるなんて難しい。でも、春日は自分がソープで生まれ、育てられたことに違和感を持っていない。そんなベースの人間性があるから、みんな惹かれていく。

　春日がなにかと比べるとすれば、見ず知らずの若造である自分のことをを救うため、ヤクザの前で、あっさり自分の指を切り落とした荒川の生き方だ。そして俺はそんな荒川に憧れる春日のように生きていきたい。もう誰かのために見返りのない人生を送ることなど虚しいだけだど思い、諦めかけていたけど、そう思わせてくれた。

　自分は高校のときも暗黒時代があって、このときも生きているのがたまらなくつまらなかった。そんなときに自分を救ってくれたのが自分と同じ高校生の『東京魔人學園剣風帖』のキャラクターたちだった。

　そして、40歳を迎えようとしている今、またこうして自分と同じ年代のゲ―ムのキャラクターに救われることになると思っていなかった。

　ありがとう、春日一番。人生嫌なことたくさんあって春日のようにちゃんと生きられるかわからないけど、もうちょっと頑張ってみるよ。自分が自分らしく誠実に、愚直に、生きていれば、きっと人は自然に集まってくるし、いいことはある。