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僕は右耳が聞こえない(CEOブログVol,15 )

土曜日の夜に珍しく一人で都内。一人でいる時は、普段行かない賑やかでざわついた寿司屋に行ってみる。
夜の10:30でも飲みの締めに訪れる沢山の人でざわざわした寿司屋。
注文以外、話さなくて良いので、その喧噪も心地よく楽しみながら色々考え事をして、好きなものを好きな分だけ食べる。
よし、今日はこれを書こうと思い立ち、ホテルに戻りPCに向かっています。明日は日曜日だし、書ききってしまおう。(今すでに23:50w)

実は僕は右耳が全く聞こえません。

18歳の頃、とある理由で右耳の三半規管がダメになり(いつか書きます)、突然聞こえなくなった右耳。
聞こえなくなっただけでなく、常に高い「キーン」という耳鳴りがするようになり、それは今でも続いています。はじめはこの「キーン」に頭がおかしくなるぐらい悩まされ、苦しんだけど、今はもう慣れてしまいました。
静かな場所にいくとキーン、寝る前もずっとキーン、その高い音は蚊が飛ぶ音の何倍も高い音で、今この瞬間も鳴り続けています。

人生はじめての大きな挫折

耳が聞こえなくなり、一番苦しかったのは、本当に大好きで少しだけ得意だったスケートボードが出来なくなったこと。
中高6年間、青春のすべてを捧げたと言っても過言ではないスケートボードですが、三半規管がダメになったのと同時に、スケートボードでは欠かせないバランス感覚を奪われ、自分の体が自分の体でないように重くなり、それまでの風に乗る感じや、空中に浮遊しているときの重力のコントロール、スケートボードが足にひっつくような一体感、そのすべてに霧がかかりぼやけてしまうような感覚に陥りました。
「なんとか取り戻してやる」と、はじめの数か月は一生懸命リハビリをしていましたが、ふとした瞬間に、

「あ、終わりなんだな。」

と。

その瞬間は、心にぽっかり穴が開き、真っ暗闇に一人でいるような絶望感でしたが、今振り返ると人生初の貴重な大挫折であったと同時に、人生のターニングポイントであったように思います。

右耳が聞こえないと不便なこと

正直、今は殆ど不便じゃないです。慣れたので。
ただ前述の通り耳鳴りはひどいのでどうにか医療が発達して早く消し去ってくれとは思うものの、世の中には耳の全く聞こえない人も沢山いると考えると自分はなんて幸せなんだと思えてきます。

とはいえ、日ごろの生活の中で少し困ることはいくつかあるので一部紹介したいと思います。

1、右側から話されても聞こえない(時が多い)

ま、右耳の聴力ゼロなので、当たり前っちゃ当たり前なのですが、特に困るのはざわざわしたお店とか、車通りの多い道路沿い、駅のホームなど、雑音が大きいところでは1mくらいの距離で話されても聞こえないことが多いです。
だから僕はあまりこういう場では人と喋りませんw
はじめての方は口数が少ないと思われていると思います。

あとはどこに居ても人の右側に居ることが心地いいです。(左しか聞こえないから)瞬時に人の右側に行くことももう癖になりました。ただ会食の場の席次など全く関係なく、大体入口か一番奥の席に行くことが多いのでマナーがなってないと思われていることもあるかも知れませんw

2、音の方向がわからない

これは結構困るやつですね。一番多いのは携帯紛失の際。普通、家の中で失くしてしまった場合、音を鳴らしてもらって大体の位置を判断すると思うのですが、僕の場合はこれができません。
基本左側から聞こえてくるのでどうしても左方面に目をやってしまうことが多いです。
右から話しかけられても左を向いてしまったり、右から車が来ているのに左から来ていると思ってしまったり。という感じです。

3、時々もの凄いめまいに襲われる

実はこれはかなり苦しいヤツです。
なんとなく前兆はあるのですが、原因は全く不明。「あ~、なんか今日ちょっときそうだな~」と思っていると突然、グラっと体が揺れ、目が回り始めます。そうなるともう制御できません。とても立っていられず、あまりに目がまわるので目をつぶると今度はとてつもない吐き気に襲われます。
どれだけ重要な会議であってもどれだけ重要なアポがあったとしても、こうなるともうどうにもなりません。特に運転中は本当に気を付けなければなりません。(最近は前兆があるときは運転しません)
顔面蒼白、血の気が引いていき、すごく変な汗をかき、吐いても吐いても吐き気が収まらず、気を失うように30分~1時間眠りについてようやく治ります。
ここ数年はこの発作が起きず調子いいのですが、数年に一回のペースでひどくなる年があり、打ち合わせ中にお客様や仲間から心配される(というかちょっと引かれる)ことも多々ありました。

あの時ご心配をかけてしまった皆様本当に申し訳ありませんでした!
そしていつぞや鹿児島市内の伊敷付近の国道10号線で運転中にめまいに襲われ、中途半端な位置に立ち往生しているところを助けてくれて車を移動してくれるだけでなく病院まで連れて行ってくれたとてもやさしい方にこの場を借りて感謝を伝えたいと思います。本当にありがとうございました!!

医者の先生によるとこれは遅発性リンパ水腫という病気の可能性が高いらしく、今でも時々検査を受けています。(現在は大変落ち着いており、経営には全く支障ありませんのでご安心くださいw)

大きく言うと困るのはこの3つくらいでしょうか。生活に致命的な支障があるわけではないですが、地味に困るやつですね。
この二日間で言うと、昨日家族旅行でディズニーランドに来ていたのですが、乗り物の入口にいるお姉さんに話しかけられたものの、周りが騒がしくて聞こえず、2回聞き返したら諦めたようで(目の前の僕は置いといて)後ろにいる妻に同じ質問されたり、さっき騒がしい寿司屋で頼んだ飲み物を持ってきた店員さんが右側から数回声をかけていたらしく、いきなり斜め後ろから顔の前に手が出てきて、「おーい、聞こえてますか~?」というジェスチャーをされてめっちゃビビったり。という感じ。

初対面の人にいちいち「僕右耳聞こえないんで」とカミングアウトするのも、聞こえなかったことを毎回聞き直すのも面倒なので、極力ガヤガヤした場所に複数人で行かないようにしているし、大きな会合など特に初対面かつ目上の方が多いような場は相手の話を聞くことだけに集中しすぎて疲れてしまうので端の方で縮こまっていることが多いです。

こんな僕なので、「こいつはホンマに付き合い悪いなぁ」「なんでこの人こんなに消極的なんだろう?」と思わせてしまっているかも知れませんね。あとこの場を借りてぜひお伝えしたいのは「川野に無視された」と感じている方が多々いらっしゃるかと思いますが、それは単に聞こえていないだけです。嫌な気持ちにさせてしまっていたら本当にごめんなさい。

これもまた運命

今日は突然右耳が聞こえないというちょっとした僕のハンディキャップのことを色々と書きましたが、実は今では、自分の右耳が聞こえなくなったことに対して感謝していますwww
あの時スケートボードを辞めていなかったら間違いなく今の仕事には就いておらず、会社も起こしていないと思います。
だとすると耳が聞こえなくなっていなかったら、奥さんとも、今の仲間とも出会っていない訳ですから。
それに、僕は右耳が聞こえない分、相手の話を表情や口の動きなどからニュアンスで理解する能力が自然と身に着きました。聞こう、理解しようと必死になることがもとになり、自分の強みである「吸収力」に繋がっているようにも感じます。

だとすると、これも運命。きっと何か意味がある(はず)。
そう考えると一人で行く賑やかな寿司屋のカウンターも人一倍贅沢に感じてきます。
また、超大げさかも知れませんが、めまいがしてダウンすると「死生観」?のようなものが生まれてきます。吐き気が苦しすぎて「このまま死んじゃいたい。いや、まだまだ死んでたまるか!」という葛藤の結果、生きていることに感謝し使命を全うすると毎回決意する感じも何か意味があるのではとすら思うのです。

今日も乱筆にお付き合いいただき有難うございました。

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