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単語はわかるのに英文がわからない人のための頻出英熟語 650選【PHRASE List & PHaVE List】

【要約】
英語力の向上のためには、英熟語を覚えることは重要です。
しかし、英熟語には、単語から意味を推測しにくいものも多く、覚えるのが難しいという課題がありました。
このnoteでは、その課題を解決する『頻出英熟語リスト』を紹介し、その英熟語データを無料で配布いたします。

昨年、『この英単語を覚えるだけで、英文の9割は読めるようになる話』というnoteを書きました。

ありがたいことに、このnoteは多くの方々にご評価いただき、なんと『2020年はてなブックマーク年間ランキング』第6位にノミネートいただきました。
うれしい!!!!

このnoteをきっかけに、DiQtは多くの方々に使っていただけるようになりました。

とりわけ嬉しかったのが、短期的な利用ではなく、現在に至るまでずっと継続してDiQtを使っていただけるユーザーに多く出会えたこと。
そしてユーザーインタビューから、DiQtが実際にユーザーのみなさんのお役に立っていることを知れたことです。
とくに、実務で英語に触れる機会の多い外資系企業に勤めるユーザーさまからも喜んでいただけたことは、大きな自信につながりました。

私自身も、DiQtを毎日続けていくうちに、英文を読む中で英単語につまづくことがとても少なくなったことを実感しています。
そのおかげで、英語に対する抵抗感も払拭できて、日常的に英語を読む習慣もつきました。

一方で、自身の単語力の向上によって、初めて気づけた課題もありました。

それは、『単語も文法も簡単なのに、意味がわからない英文がある』ことです。

たとえば、次の英文は、単語も文法も中学校で習うレベルのもので構成された、とても易しい「はず」の英文です。

There was a touch of sadness in her voice.

しかし、もしもあなたが「touch of」という表現を知らなかったとしたら、この英文の意味を理解するのはとても難しいでしょう。
実は、「touch of A」という表現には『わずかなA, 少しのA』という意味があり、この英文は次のような意味をもっているのです。

There was a touch of sadness in her voice.
彼女の声にはかすかな悲哀の響きがあった。

「Why English!!!!!!!! わかるかよ!!!!!!!」と叫びたくなります。
「彼女の声には悲しみの感触があった」とか考えてた自分が恥ずかしい。。。

しかし英語には、こうした『単語は簡単だけど、意味が推測しにくい熟語』がたくさんあるのです。

私は悩みました。
「単語や文法なら勉強できるけど、こんな熟語をどうやって学べばいいんだろう?
なまじ単語は簡単なために、誤読に気づけないことも多いのに。。。」

悩んだ末に私が出した答えは、こうです。

『この問題は、きっと誰かがすでに解決してくれているはずだ。』

英語もろくにできない三流エンジニアでさえ気づけた課題を、世界中の優秀な研究者たちが放っておくはずがないと考えたのです。

その期待を胸にインターネットの海を彷徨い続けた結果、ついに私は、この課題を解決する研究成果を見つけることができました...!!

それが、イギリスのノッティンガム大学の言語学者「Norbert Schmitt」教授の作成した『The Phrasal Expressions List(PHRASE List)』『The Phrasal Verb Pedagogical List(PHaVE List)』です。

この二つは、簡単にいえば、『単語から意味を推測しにくい頻出の英熟語を集めたリスト』です。

このnoteでは、この2つの英熟語リスト『PHRASE List』と『PHaVE List』をご紹介します。
そして例のごとく、リストの日本語訳つきのデータを無料で配布いたします。

本邦初公開です!!


1億語を分析してつくられた『PHRASE List』

英熟語を学ぶ上で大きな壁となっているのが、その数の多さです。

英熟語と一口にいっても、
そこにはイディオム(例:Put it, 言う)、句動詞(例:put off, 〜を延期する)、バイノミアル・エクスプレッション(例:more and more,ますます)、コロケーション(例:take part in,〜に参加する)などさまざまに種類があり、それらをすべて覚えるとなれば、その数は膨大です。

英語を母国語としない私たちが、いきなりすべての熟語を覚えようというのは無茶な話でしょう。

しかし幸いにも、単語力さえあれば、英熟語には意味を推測できるものもあります。
また、英熟語も英単語と同じように、熟語によって使われる頻度が異なります。

ここに目をつけたのが、イギリス・ノッティンガム大学の言語学者Norbert Schmit教授です。
シュミット教授は、語彙習得に関する数多くの論文や書籍を出版している、第二言語の語彙習得・語彙教育の専門家です。

シュミット教授は、英国国立コーパス(The British National Corpus)の1億語(!)を分析して、よく使われている英熟語を頻出順に並べたリストをつくりました。

それが『The Phrasal Expressions List』、略称『PHRASE List』です。

PHRASE Listのデータや解説、元となった研究論文などは、シュミット教授のWebサイトから閲覧できます。

PHRASE Listを簡単に解説すると、それは約500フレーズからなる頻出英熟語のリストです。
シュミット教授は、このこの熟語リストの目的を、こう語ります。

what the PHRASE List intends to provide is a full account of the most common expressions in English that also potentially could cause decoding problems if read word-for-word.
PHRASE Listが提供を意図しているのは、単語単位で読むと読解上の問題を引き起こす恐れもある、最も一般的な英語表現についての詳しい説明です。

- Phrase List Users Guideより抜粋&意訳 -

おおおお!!!
これこそまさしく、私が求めていたものではないですか!!!!!

さらにシュミット教授は、PHRASE Listに、私の期待する以上にすばらしい情報を付け加えてくれました。

それは、『熟語の状況別の頻出度』『熟語の用例』です。

英熟語には、状況よって使われる頻度が変わってくるものがあります。
たとえば日本語でも、「日常会話」と「文章」では言葉選びが違いますよね?

PHRASE Listではなんと、その英熟語が『日常会話』でよく使われるのか『文章』でよく使われるのかまでも教えてくれるのです!!
すごい!!

たとえば、PHRASE Listでは次の画像のように熟語が分類されています。

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画像の右側を見ていただくとわかるように、PHRASE Listでは、英熟語に「Spoken general(一般的な話し言葉)」「Written general(一般的な書き言葉)」「Written academic(学術的な書き言葉)」の3種類の頻出度が記載されています。

頻出度には四段階あり、

✖️は『かなり珍しいか、全く使われない』
*は『あまり使われない』
**は『使われる』
***は『よく使われる』

となっています。

この頻出度を活用すれば、たとえば、「I mean:いやその,つまり」といった表現は、日常会話ではよく使われますが、一般的な文章や論文のような学術文書では使われないことがわかります。
一方で、「those who ...:...な人々」といった表現は、学術的なものも含めて文章では頻繁に使われますが、日常会話では使われないことがわかります。

こうした場面別の利用頻度は、日常会話と文章で英語を使い分けられるようになりたい場合、大変役立ちます。
たとえば、TOEFLのような会話力と文章力の両面が試されるテストを受ける方にとっては、PHRASE Listはとても有益な教材となるでしょう。

またありがたいことに、PHRASE Listには『英熟語を使った例文(用例)』も記載されています。
熟語の中には、文頭・文末・名詞の後など配置にルールがあるものも多いので、こうした具体的な用例は熟語をきちんと理解する上でとても役立ちます。

このようにPHRASE Listは、頻出の英熟語を学べるだけでなく、その用法まで深く学ぶことができるとても素晴らしい教材です。

しかし残念ながら、PHRASE Listは海外の研究者による英熟語のリストなので、当然ながら日本語訳などあるはずもなく、今の今まで日本人が利用しやすい教材ではありませんでした。

しかし、もちろん、今回も私はベストを尽くしました!!!
日本語訳つきのPHRASE Listを、ここに無料で配布いたします!!

このPHRASE Listでは、英熟語の日本語の意味を確認できるだけでなく、用例の和訳も確認できます。
また一部の英熟語には、より理解を深めるための解説も追記しました。
英熟語学ぶ上で、かなり有益な教材になっているはずです。

ぜひご活用ください!!

『PHRASE List』まとめ

・英熟語は数が多く、さらに単語から意味を推測しようとすると誤読してしまうものも多い。

・PHRASE Listとは、『単語から意味を推測しにくい頻出の英熟語』をまとめたリストである。

・PHRASE Listでは、英熟語ごとに「日常会話」「文章」「学術的な文章」のそれぞれの頻出度が確認できるので、場面別の英熟語の使い分けを学ぶのにとても役立つ。

・PHRASE Listでは、「用例」として英熟語を使った例文が確認できるので、英熟語の使い方を理解するのにとても役立つ。


英会話に必須の句動詞『PHaVE List』

さて、「英熟語にはいくつか種類がある」ということを、前章の冒頭でご紹介しました。

その数ある英熟語のなかで、とくに学習するのが難しいとされているのが、『句動詞(Phrasal Verbs)』です。

句動詞とは、「work out」や「come up with」のような、『動詞 + 副詞』あるいは『動詞 +(副詞)+ 前置詞』によって構成される英語のフレーズのことです。

句動詞は、「work out(を計画する)」や「come up with(を思いつく)」を例にするとわかるように、しばしば動詞の単語からは推測しにくい意味をもちます。

しかし、それだけが句動詞の学習が難しい理由ではありません。

句動詞の学習が難しいのには、さらに次の2つの理由があります。

1,  句動詞は、種類がとても多い。
2,  句動詞は、多義的で、1つのフレーズにいくつも異なる意味をもつものが多い。

まず、句動詞は種類がとても多く、その数はなんと8000を超えるとされています。

そして、そうした句動詞の多くは「複数の意味」をもっており、一つのフレーズに15もの異なる意味をもつものさえあるのです。

このため句動詞の学習にあたっては、『どの句動詞の、どの意味を優先して覚えれば良いのかわからない』という課題がありました。

前述のシュミット教授は、この課題の解決にも挑みました。

その成果が、『The Phrasal Verb Pedagogical List』、略称『PHaVE List』です。

PHaVE Listのデータや研究論文などの詳細については、下記リンクをご参照ください。

PHaVE Listを簡単に説明すると、それは現代アメリカ英語の大規模コーパスである『Corpus of Contemporary American English(略称:COCA)』から抽出された、高頻出の上位150の句動詞をまとめたリストです。

さらに、PHaVE Listは、単に頻出句動詞をまとめただけではありません。

それぞれの句動詞の中の、よく使われる意味まで調べ上げ、意味の頻出度まで記載してくれているのです!!
どういうことか、実際のPHaVE Listのデータを見てみましょう。

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たとえば、「work out」という句動詞にはいくつも意味がありますが、PHaVE Listによると、その中でもよく使われている意味は上の画像の4つだとされています。

さらにPHaVE Listでは、それら4つの意味が頻出順に並んでいるだけでなく、意味の利用率まで記載されています。

たとえば表を見ると、work outのなかでまずもっとも頻出するのは、
「Plan, devise or think about STH(something) carefully or in detail」
すなわち「何かを、慎重にあるいは詳細に計画したり、考え出したり、思いを巡らす」という意味であることがわかります。

そしてこの意味は、Work outが含まれる英文の全体の33%で使われていることが示されています。

そして2つ目の「身体を鍛える」という意味は、次いで23%、
3つ目の「(wellやbadlyのような副詞を伴って)...になる」という意味は15%、
最後の「うまくいく」という意味は、12.5%で利用されているとされています。

この「意味の利用率」を活用すれば、『どの意味から優先的に覚えればいいのかわからない』という句動詞学習の課題を解決することができます。

さらに、ご覧のとおり、PHaVE Listには、句動詞の意味だけでなく、用例としてその意味で使われている『例文』も記載されています。
意味によって、句動詞が実際にどのように使われているかを具体的に知ることができるため、例文は句動詞への理解を深めるのに役立つでしょう。

句動詞はとくに、日常会話のようなインフォーマルな表現でよく使われます。
私も最近、ネイティブの話すYoutubeをよく見るのですが、その中では「What's going on?(何が起きてるの?)」や「hold on!!(待って!!)」といった句動詞を使った表現をよく耳にします。

そのため、ネイティブの英語を理解したり、あるいはネイティブのように聞こえる英語を習得したい方にとっては、PHaVE Listはとても役立つ教材となるでしょう。

しかし残念ながら、PHaVE Listも日本人を対象とした教材ではありません。
当然、今の今まで句動詞の意味にも例文にも、日本語訳はありませんでした。

しかし、こうした課題を解決するのが私の役目です!!
意味の日本語訳や例文の和訳をつけたPHaVE Listを、ここに無料で配布いたします!!

ぜひご活用ください。

【PHaVE List まとめ】

・「句動詞」とは、「動詞 + 前置詞」あるいは「動詞 + 副詞 + 前置詞」で構成される英熟語のことである。

・句動詞は、「数が多く」「多義的である」という理由から、英熟語のなかでも学習するのがとくに難しい。

PHaVE Listは、この句動詞を学びやすくした、150語の頻出句動詞リストである。

・句動詞は、日常会話のようなインフォーマルな場面でよく使われるため、PHaVE Listは、英会話を上達させたい方にとって有益な教材である。


PHRASE ListとPHaVE Listを効率的に学ぶ方法

PHRASE ListもPHaVE Listも有益な教材ですが、CSVデータのままでは学習しにくいという方も多いでしょう。

もちろん、そんな方々のためにこそ、DiQtはあるのです!
DiQtでは、PHRASE ListとPHaVE Listを効率的に覚えられる、多種多様な問題集を提供しています!

まず、DiQtでもっとも人気なのが『選択問題』です。
選択問題は、気軽に解きやすいため、英熟語を学び始めたばかりの方にはとくにオススメです。

選択問題_1 (1)

また、普通の選択問題では簡単すぎるという方には、『選択肢隠し機能』を提供しています。
この機能を使えば、答えの選択肢を見る前に、自力で答えを思い出せるかどうかを確かめることができます。

選択肢隠し (1)

選択問題は、「英語⇨日本語」「日本語⇨英語」のどちらもご用意しているので、学習目的に応じてぜひご活用ください。

選択問題の次に人気なのは、『スペリング問題』です。
スペリング問題は記述式の問題で、『英熟語のつづり』を覚えたい方にオススメです。

スペリング問題 (2) (1)

その他にも、英熟語の聞き取りを鍛えられる『リスニング問題』。

リスニング問題 (2) (1)

文章の中で熟語の用例を学べる『例文問題』があります。

例文問題 (2) (1)

さらにDiQtでは、問題を解けるだけでなく、問題の『解説』を見ることができます。
解説では、それぞれの『英熟語の例文』が確認できるほか、たとえば、PHRASE Listなら『場面別の頻出度』が確認できたり、

PHRASE Listの頻出度 (1)

PHaVE Listなら『意味別の頻出度』が確認できます。

PHaVE Listの頻出度 (1)


DiQtが提供するのは、英熟語の問題集だけではありません。
DiQtでは、英熟語を効率的に学習できるシステムも提供しています。

その中でも、もっとも人気のある機能が『復習機能』です。
復習機能では、あなたが間違えた問題を、自動で手間なく復習することができます。

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またDiQtでは、過去の学習データを自動で記録してくれたり、

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ゲーム的な要素を取り入れることによって、学習を継続しやすい仕組みになっています。

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DiQtを利用すれば、PHRASE ListやPHaVE Listといった英熟語を楽しく効率的に学ぶことができます。

英熟語の問題集は、以下のリンクから無料でご利用いただけます。
ぜひお試しください!!

Web版:

iOS版:

Android版:


【まとめ】
・英熟語には、単語ごとに理解しようとすると誤解を引き起こす恐れのあるものも多い。
PHRASE Listは、そんな英熟語のうち、頻出する500語をリスト化したものである。

・英熟語のうち句動詞は、数が多く、多義的であるため、学習するのが難しいという課題があった。
PHaVE Listは、そんな句動詞のうち、頻出する150語を、学びやすい形でリスト化したものである。




(「熟語以前に、そもそも単語力に自信がない......」という方はこちら...!!👇)


クレジット

【単語】
The PHaVE List: A pedagogical list of phrasal verbs and their most frequent meaning senses by Mélodie Garnier and Norbert Schmitt
A Phrasal Expressions List by RON MARTINEZ and NORBERT SCHMITT
【例文や解説】
Tanaka Corpus
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ライセンス

表示 - 継承 3.0 非移植 (CC BY-SA 3.0)


あなたの貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!