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菅内閣、支持率急落について

2020年12月11日~13日にかけ、NHKの世論調査が行われた。
結果は、14ポイント(%)の下落である。
「支持率急落をどの様に見るべきか」
を考察する。

・はじめに
・NHKの世論調査と結果
・支持率の低下の読み方
・支持率低下の原因
・まとめ

<<はじめに>>

このマガジンは、
「情報の大切さと、怖さ」
を理解してもらうべく、執筆している
毎回、記事冒頭に、批判覚悟で訴える。
・「情報はすべての行動の基本になります」
・「考えることなく、情報を鵜呑みにしたら、知的生物ではない」

コロナ禍で露呈した、マスメディアと視聴者の関係、情報の大切さを考察する。

<<NHKの世論調査と結果>>

いつも通り、公式発表からの引用を行う。
http://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/

NHK世論調査_line_graph_202012a(菅内閣)

内閣支持42%、不支持36%(NHK世論調査)
NHKは、今月11日から3日間、全国の18歳以上を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。
調査の対象となったのは、2164人で、58%にあたる1249人から回答を得ました。

それによりますと、菅内閣を先月の調査より
・「支持する」と答えた人は、14ポイント下がって42%、
・「支持しない」と答えた人は、17ポイント上がって36%でした。

支持する理由では、
・「他の内閣より良さそうだから」が36%、
・「人柄が信頼できるから」が21%、
・「支持する政党の内閣だから」が16%
などとなっています。

支持しない理由では、
・「政策に期待が持てないから」が38%、
・「実行力がないから」が29%、
・「人柄が信頼できないから」が17%
などとなっています。
※一部筆者にて、改行・回答の頭に「・」の追加等あり

<<支持率の低下の読み方>>

まず、参考として2017年の安倍政権での急落と比較する。

NHK世論調査_line_graph_202012b(安倍内閣)

結果を見ると、48-35=13ポイント(%)の下落であり、
今回の菅政権と同様急落である。

ここで注意してもらいたいのが、数字の読み方である。
もう一度書くが、
・安倍政権:48-35=13ポイント下落
・菅内閣:56-42=14ポイント下落
この数字だけを見ると、安倍政権以上の下落である。

しかし、この数値だけを見て、ほぼ同じと認識してよいか?
それは間違いである。

何故か。
それは、同じポイントが下がるにしてもベースが異なるのである。
詳しくは、
2020年12月14日の筆者の記事「病院は逼迫?」
「<<もうひとつの記事>>」内、「2:うち、交付決定」
を一読願いたい。
https://note.com/kawamurakeigo/n/n9e1c9bf3d55e

ここで考察する内容も「数字のマジック」に似た、見方が必要になる。
再度、計算結果を書く。
・安倍政権:48 - 35 = 13 ポイント下落
・菅政権:56 - 42 = 14 ポイント下落
しかし、次の内容はどうであろうか、
・安倍政権:1 - ( 48 - 35 ) ÷ 48 = 72.9% 下落
・菅政権:1 - ( 56 - 42 ) ÷ 56 =  75.0% 下落
つまり、下落率で比較すると、安倍政権の支持率急落時より1ポイントの減で、幾分ダメージは大きいのである。

これだけでは解り難いと思うので、顕著な例を出してみる。
・X政権:元の支持率20%
・Y政権:元の支持率90%
と仮定して、両方とも15%の下落として計算する。
現在の発表では、
・X政権:20%から15%下落の5ポイントへ下落
・Y政権:90%から15%下落の75ポイントへ下落
となるが、下落率を考えると、
・X政権:1 - ( 20 - 15 ) ÷ 20 = 75.0%下落
・Y政権:1 - ( 90 - 15) ÷ 90 = 16.6%下落
となる。

つまり、同じポイントが下落しても
「元の数値が高ければ、やや減少
逆に
「元の数字が低ければ、大ダメージ
と取れるのである。

今回、安倍政権・菅政権の支持率の低下は同じく14ポイント程度ではあるが、今回の計算から、75%程度の支持者を失ったことになる。

<<支持率低下の原因>>

筆者の分析を列挙する。
・元々の発足時の支持率が高すぎた
・コロナ・GoToキャンペーンの対応のまずさ
・茂木外相が中国外交官「王」氏への対応
だと分類する。

1:発足時の支持率が高かった。
安倍政権の「森友、加計学園、桜を見る会」などで
野党・マスコミの追及が連日報道されていた。
安倍政権への批判が溜まり、その後をついだ菅総理が期待された。
菅総理は、補佐役が得意な人物であると感じる。
故に、責任者の元で十分に力を発揮できるタイプなのであろう。
このコロナ禍で、リーダーシップを発揮するのは難しいのかもしれない。

2:コロナ・GoToキャンペーンの対応のまずさ
個人的には、ワクチンの確保などそれなりの評価をしている。
以前にも書いたが、GoToキャンペーンのエビデンスはない以上問題ない対応だと思っている。
しかし、先日方針を一気に反転。これが、GoTo支持者(経済が立ち直り始めた)の反感を買ったに違いない。
また、一時停止を決めた後のマスコミの報道はGoToを止めた行為を賞賛する事無く、今度は旅館などに取材に行き(もちろん病院等もあるが)、
急な変更で困る、との意見を流している。
この点は、マスコミの幼稚さを感じざるを得ない。
GoToキャンペーン中止は目的でなく手段である。
目的は、コロナ禍を収める事である。
これには、政府の対策云々より、各自が高い防衛意識を持つことが一番である。

3:茂木外相が中国外交官「王」氏への対応
中国の外交官との会談後、記者会見の場で王外交官が
「尖閣は我々の領土であり、日本は偽装漁船を入れるな」
の様な発言に、苦笑いで否定せず、最後に「謝謝」と言ったらしい。
これは、外交上の失敗であり、その茂木外相への処分を下せなかったのも支持率急落の原因となるだろう。

<<まとめ>>

支持率は、顕著な例にて示したが元の支持率によって下落度具合が異なる事も頭に入れて欲しい。

ここからは、個人的な希望ではあるが、
支持率が、14ポイントも急落しながら、現在でも支持率が不支持率を上回っている。
ここは、菅総理にブレーンの有効活用を行ってもらい、日本の回復に尽力してもらいたい。

続く



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