NVIDIAのOpenUSDとNIMを使用して、人間の料理動作をロボットに再現させる手順。動作の撮影、データの処理、ロボットへの学習、実行の4つのステップに分けられます。これらの処理は自動的に行えます
特に動作の撮影から、データの処理まで必要な作業を今回は詳細に分析しました。
実際にロボットにティチングする作業です。
1. 動作の撮影と記録
動画撮影の準備
カメラ設置:高解像度カメラで複数の角度から、人間の動作を詳細に記録します。
環境準備:調理台、包丁、材料、フライパン、調味料などを用意します。
人間の動作の実行と撮影
動作内容:
材料を目で確認
手を伸ばして材料を掴む
材料を決められた場所に移動
包丁で材料を切る
フライパンに材料を入れる
調味料を掴んで混ぜる
撮影方法:動作を複数回繰り返し、異なる角度から撮影します。
2. データの処理とUSDシーンの生成
動画データの前処理
フレーム分割:
NVIDIAのOmniverseで、動画を自動的にフレーム分割し、個別の画像として保存します。
Pythonスクリプトを使用して簡単に自動化できるプロセスです。
特徴抽出:
USD Search NIMを使用し特徴抽出を自動的に行えます。
アップロードされた画像から自動的に重要な特徴を抽出するように設計されています。
動画ファイルをシステムにアップロードします。
自動フレーム分割スクリプトを実行して、各フレームを個別の画像として保存します。
保存された画像をUSD Search NIMに自動的にフィードし、特徴抽出を行います。
抽出された特徴データを構造化された形式で保存します。
料理ビデオのフレームから抽出される具体的な特徴の例
人間の動作に関する特徴
姿勢データ:
腕の位置と角度
手の位置と開閉状態
体の向きと姿勢(例えば、前かがみになっているかどうか)
手の動き:
手が材料に向かって伸びる動作
手が材料を掴む瞬間
手が包丁を持つ動作
手が調味料を掴む動作
物体に関する特徴
材料の位置と移動:
材料の初期位置
材料が移動する経路
材料がフライパンに入る瞬間
調理器具の位置と使用:
包丁の位置と角度
包丁が材料に触れる瞬間
フライパンの位置
調味料のボトルの位置と動き
環境に関する特徴
調理台のレイアウト:
調理台上の各物体の位置
調理台の広さと形状
背景情報:
背景の色とパターン
照明の状態(影の有無、光の方向)
動作のタイミングとシーケンス
動作の開始と終了時間:
各動作の開始フレームと終了フレーム
動作の継続時間
動作の順序:
動作の順序(例えば、材料を掴んでから切る)
動作間の遷移(例えば、材料を切ってからフライパンに入れる)
物理的な特徴
物体の物理特性:
材料の質量と重心
包丁の質量とバランス
フライパンの質量と摩擦係数
力とトルク:
手が材料を掴む際の力
包丁で材料を切る際の力とトルク
材料をフライパンに入れる際の力
ビジュアル特徴
色とテクスチャ:
材料の色とテクスチャ
調理器具の色とテクスチャ
調味料のボトルのラベルや色
形状とサイズ:
材料の形状とサイズ
包丁の刃の形状と長さ
フライパンの直径と深さ
インタラクションの特徴
物体間のインタラクション:
材料と包丁の接触点
材料とフライパンの接触点
調味料と材料の混ざり具合
人と物体のインタラクション:
手と材料の接触点
手と包丁の接触点
手と調味料のボトルの接触点
NVIDIAのOpenUSDとNIMを使用して抽出される特徴は、物理データが含まれます:
位置データ:
人間の手や腕、材料、調理器具の3次元空間における位置。
変位データ:
材料や調理器具の初期位置からの移動距離。
スピードデータ:
手や腕の動作速度、材料や調理器具の移動速度。
加速度データ:
手や腕の動作の加速度、材料や調理器具の加速度。
時間データ:
各動作の開始と終了のタイミング、動作の継続時間。
重さデータ:
材料や調理器具の質量。
3Dデータ:
材料、調理器具、手や腕の3Dモデルおよびその動き。
NVIDIAのfVDB Physics Super-Res NIMなどのマイクロサービスを使用して高解像度の物理シミュレーションを生成することで、詳細に取得できます。
ロボットは人間の動作を正確に再現するための重要な物理的特徴を学習できます。
USDシーンの生成
コード生成:USD Code NIMを利用して、抽出した特徴からUSDシーンを生成するPythonコードを作成します。
シーン生成:生成されたコードを実行し、動作の各ステップを表現するUSDシーンを作成します。
物理シミュレーションの追加
高解像度物理シミュレーション:fVDB Physics Super-Res NIMを使用して、USDシーンに高解像度の物理シミュレーションを追加します。これにより、材料の重さや摩擦などの物理特性を正確に再現します。
3. ロボットの学習
シミュレーション環境の構築
環境設定:NVIDIA Omniverse上で、生成したUSDシーンを使用してシミュレーション環境を構築します。
ロボットモデル追加:ロボットのモデルをシミュレーション環境に追加します。
強化学習の設定
学習環境設定:NVIDIA Isaac Simを使用して、ロボットの強化学習環境を設定します。
報酬関数定義:正しい動作を学習するための報酬関数を定義します。
学習プロセス
試行と評価:シミュレーション環境内でロボットに動作を繰り返し試行させ、各試行の結果を評価します。
動作改善:評価結果を基にロボットの動作を改善し、学習が進むにつれて人間の動作に近づけます。
4. 実機での実行
シミュレーションから実機への移行
モデル転送:学習したモデルを実際のロボットに転送します。
制御システム統合:ロボットの制御システムに学習したモデルを統合します。
環境のセットアップ
実環境設定:実際の環境をシミュレーション環境と可能な限り近い状態に設定します。
物体配置:学習時と同様に材料や調味料を配置します。
動作の実行と微調整
動作実行:ロボットに学習した動作を実行させます。
結果観察と調整:実行結果を観察し、必要に応じて微調整を行います。動作の精度が向上するまでこのプロセスを繰り返します。
追加の考慮事項
安全性の確保
安全区域設定:ロボットの動作範囲に人間が入らないよう、安全区域を設定します。
緊急停止システム:異常時にすぐに動作を停止できる緊急停止システムを実装します。
データの品質向上
データ検証:USD Validate NIMを使用して、生成されたUSDファイルの品質と互換性を確認します。
修正と再生成:必要に応じてデータの修正や再生成を行います。
継続的な改善
フィードバック活用:実機での実行結果をフィードバックとして活用し、シミュレーションモデルを更新します。
新しい動作パターン追加:新しい動作パターンや物体を追加し、ロボットの能力を拡張します。
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