ホソオチョウの個体差と発生地
ホソオチョウは1978年に東京で初めて確認された外来種だそうです。
薄っぺらい翅で、風が吹くと飛べなくなるような飛翔力のない蝶なのに、数年のうちに地理的に離れた場所に生息していることが確認されたとのことだから、この綺麗な蝶が自分の家の近くにも飛んでいてほしいと願った人がたくさんいたのだと思います。
今では外来生物として駆除の対象になるような蝶ですが、当時は保護活動や、天然記念物に指定しようという動きもあったとか。
とはいえ、人為的放蝶による局地的な発生のために近隣との遺伝子の交換ができずに血が濃くなり、数年で発生地は自然に消滅するとも言われています。
食草はウマノスズクサです。在来のジャコウアゲハと競合する可能性があるそうで、愛知県では自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例により放逐を禁止しているようです。
確かに、そんなにたくさん生えているわけでない同じ食草に依存し、よく産みよく食べる同士、同じ場所で生きるには不都合は生じそうです。
ホソオチョウの個体差について
日本に入ってきて40年程度なので、まだ地域的な変異は見られないと言われているのだけれど、愛知県近隣で見られるホソオチョウでも、柄もサイズも個体差があって面白いです。
春のホソオチョウ♂ 3様
夏のホソオチョウ♂ 3様
画像は雄だけですが、変化の傾向は雌雄共に同じでした。
雌の場合は、元々下翅の模様がしっかりあるので、黒紋に太い細いの差があります。
あとは、雄雌共に尾が白いのと黒いのがいます。
夏型はたくさんいて、低い位置をゆっくり飛ぶので捕りやすいのですが、標本箱のスペースの関係であまり張り切って採集したい蝶ではありませんでした。よってこれまで夏型を採集したのは1度だけです。雄14頭、雌5頭捕ったうちに、雄雌1つずつ白い尾がありました。
春型には今の所尾の白いものは見ていません。春型はいつもまず1頭捕れたら有難いような発生数なので、ひょっとして数を捕ったら混ざるのかもしれません。
ホソオチョウの発生地について
草原性の特定の食草に依存するため、河川敷に発生することが多いようなのですが、付近の草刈等で依存しているウマノスズクサ群落が無くなると、飛翔力が弱いために他の群落にたどり着くことができず、頻繁に産地が消失するようです。
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