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アフターコロナのまちづくりを考える〜その3〜(2020/5/29)

「アフターコロナのまちづくりをどうするよ」という話。
緊急事態宣言も解除されて、少しずつ元の生活に戻ろうとする力と、新しい生活に向かう力。それぞれが世間の許容する閾値を探りながら伸縮し合う、そんな今日この頃。

前回のはなし

新型コロナウィルスに対する直接的な感染防止対応に加え、3密回避と新しい生活様式という政策が、私たちの意識と生活に大きな変化をもたらしていて、実際に様々な新しい取り組みが生まれ、それらは今後も続いていくだろう。というのが前回のおさらい。

では、その変化とは何か?逆に、変わらないものとは何か?

もっとも大きな変化、それは私たちの意識。より高度な安全と安心を求める欲求。その欲求は、なるべく人との接触機会を減らすという行動につながりました。デリバリーやテイクアウト、人材マッチングやweb会議ツールなどなど。
いわゆる「コロナを逆手に取った」アイデアやビジネスは、これからもっともっと増えてくるでしょう。人と人との距離を取り接触を生まない新しい生活を支える”仕掛け”です。

一方で、変わらないもの。それは対面でのコミュニケーション、現実世界での体験、そしてそれらが大事だという価値観。Zoomも「思ったよりいいね」という声が上がる一方で、「やっぱり直接会って話がしたい」といった価値観を想起させました。

この「くっつきたいけど、くっつけない。でも…やっぱりくっつきたい!」という中二病的なジレンマと私たちは今後しばらく付き合っていかないといけません。もちろん、まちづくりでも。そして、このジレンマを解いていくことが新しいまちの姿につながっていくと思います。

今回たどり着いたその答えの一つ、つまり折衷案の一つが「屋外空間でのアクティビティ」。外でなんかやろーぜ!ということ。密閉されてないし、密集も屋内に比べれば回避しやすい。散歩、ジョギングなどをする人の姿が多く見られるようになったのは、外で時間を過ごすことの楽しさ、気持ち良さに多くの人がこのコロナ禍で気づいたことの表れでもあるかなと思います。

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幸い、石巻にはオープンスペースがたくさんあります。震災後取り壊され空地になったところ。堤防など防災施設や被災した公共施設の整備に合わせてできた広場など、多くのオープンスペースが生まれました。

人口も年々減少傾向にあり、人口密度も都会に比べればうんと少ないです。
空間的にも人口的にも密な都会から疎な地方に人の移動が進み、疎な空間(オープンスペース)で様々な”体験”
を共有する取り組みが生まれていくだろうと思います。期せずして訪れた地方”再”創生の機会。

特に石巻の街なかには、旧北上川という絶好のオープンスペースがあります。これはもう活かすっきゃない。

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もちろん、外だから何をやってもいいと言えるほど感染症に対する人々の不安が取り除かれているわけではありません。個々の取り組みの中で人と人との接触を避けるような工夫やこまめな除菌対策を行わなければなりません。
中には、やっぱり少しでも人の集まるところに行くのは抵抗があるわ…という方もいるかもしれません。対策を重ねれば重ねるほど、人との交わりを避け、「そもそもイベントしない方がいいんじゃない?」という印象を与えてしまうかもしれません。

感染症防止対策はもちろんした上で、どうやったらそういった不安を軽減できるか?そこ
で考えたのは、「〇〇してください」「〇〇しないでください」ばかりではなく、同じことでも「〇〇したら面白くない?!」と呼びかけられないか?ということ。


お金を介した接触を避けるためにクレジットカードの利用を呼びかけるのもいいけど、ちょっとデザインされたイベント専用チケットとか、地域通貨とか作っちゃった方が楽しくない?など。

こうしてみると、まちづくりにおいて今後いろいろな工夫を織り込みながらオープンスペースを活用していくことは、石巻に限らず地方都市にとって、弱点を活かし再生を図っていく絶好のタイミングではないでしょうか?

ではでは、そこにどういった工夫を織り込んでいけばいいのか?今度は、ウィズコロナのまちづくりに格好の場所である旧北上川のかわべをベースに考えを進めていきたいと思います。


(書き手:街づくりまんぼう 苅谷)

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