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【少年野球#2】怒声・罵声で心は強くなるか?

今日も少年野球をテーマに書きますが、野球に限らず、すべての学生スポーツや部活動、さらには学校教育にも通ずるものがあると思いますので、野球に関心がある方以外にも読んでいただければ幸いです。

学生野球は、教育の一環

学生野球は、教育の一環であり、平和で民主的な人類社会の形成者として必要な資質を備えた人間の育成を目的とする。

日本学生野球憲章 第2条(学生野球の基本原理①)

昭和21(1946)年の本憲章の制定以来、今日に至るまで日本の学生野球は、教育の一環として、様々な指導者によって多くの子どもたちが野球の技術だけでなく、あいさつや礼儀、感謝の心など道徳的なところまで教わってきました。教わってきたというより、強制させられてきた感もありますが…。

厳しい指導で、心と身体を鍛えるのだ!

「心と身体を鍛えるには、多少の厳しさは必要だ」。昭和の時代から今日に至るまで、そう考える指導者の方は多いのではないかと思います。私もそう思っていましたし、今でも全部は否定していません。

体罰容認時代

厳しい指導と聞いて、私たちの世代が真っ先に思い浮かぶのは「体罰」です。私が少年野球をしていた30年前までは、まだ多少の体罰が容認されていた時代でした。私が所属していたクラブでは、そこまで多くはなかったのですが、それでも練習で3回エラーしたら「けつバット」というのがありました。
ドラマでも漫画でも指導者が堂々と体罰をしていたので、大人も子どもも「それが教育」だと思い込んでいたのもあるでしょうね。
体罰=厳しい指導(愛のムチ)=教育
なんとも安易な発想です。

体罰禁止で怒声・罵声が増加!?

さて、私の感覚では20年前くらいですかね。体罰による指導の弊害が、多くの教育者やメディアから取り上げられるようになったのは。
それからすごい勢いで体罰は減っていきました。私が教員になったのはちょうどその頃で、初任者研修では口酸っぱく体罰をしないように言われました。それを語っているのが、中学時代に思いっきり体罰をしていた先生・・というのはまあよくある話ですよね(笑)。
しかし、体罰が禁止になっても「それでも厳しさは必要でしょ」と考える人たち(指導者)は、まだまだ数多くいます。私もその一人でした。
そして、そう考える指導者が、次に選んだ厳しい指導が「怒声・罵声」です。

怒声・罵声で、心は鍛えられる?

怒声・罵声を子どもたちに浴びせている指導者は、それが「怒声・罵声」だという自覚はありません。彼らは「厳しい指導」としか思っていません。そして、それで心と身体が鍛えられると本当に思っています。
怒声・罵声=厳しい指導=教育
やはり、安易です。

そして、怒声・罵声を子どもたちに浴びせている指導者は、それについて問われるとこう答えます。「これくらいの言葉でへこたれているようじゃ、心は強くなれん!社会に出たときに苦労するのは子どもたちぞ!」
なるほど。おっしゃっていることはわかりました。
では、怒声・罵声を浴びせ続けられた子どもは、本当に心が強くなるのでしょうか?

怒声・罵声で、心は強くならない

答えは明確に「NO」です。少年時代から厳しい指導に耐え続けてきたにも関わらず、大人になってうつ病になり、ひきこもりになった私が言うから間違いありません(笑)
確かに体力的な面や、ねばり強さ、あきらめない心などは、野球で培ったものも大いにあると思います。しかし、それはきつい練習を乗り越え、小学校から大学まで継続したからであって、決して体罰や罵声・怒声のおかげではありません。
実際私は教員時代、保護者からのクレームに対して人一倍怯えていましたし、子どもたちに対して怒鳴っている先生を見たり、職員室でイライラして物に当たっている先生の近くにいたりするのがとても苦痛でした。
これはむしろ、子どもの時の罵声・怒声による厳しい指導の弊害ではないかと思います。

「私はそれで鍛えられました」という反論も

「いやいや、私はそれで鍛えられましたよ。今となっては厳しい指導に感謝してるぐらいです。自分の子どもにもぜひビシバシやってほしいですね。」とおっしゃる大人(保護者)も中にはいると思います。
しかし、それは幻想です。過去を正当化したいだけです。それを受け継がれた子どもはたまったものではありません。
そしてそれを言われた指導者は、体罰や罵声・怒声を浴びせても、その子が大人になってから感謝されることがあると「やっぱり必要なんだよ」と勘違いしてしまいます。

おわりに

私は決して「厳しい指導が必要ない」とは考えていません。子どもが自分の過ちに気付いていなかったり、反省する気もなかったりするような時には、気付きや反省を促すような厳しい声かけも時には必要でしょう。
しかし、体罰や罵声・怒声のような安易な厳しさには断固反対です。未だに少年野球ではそのような指導がはびこっているのが現実です。
そのような指導が少年野球をはじめ、すべての学生スポーツ、部活動からなくなるように、私もこれから指導者の一人として微力ではありますが、取り組んでいきたいと思います。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
一人でも多くの方に、届けられれば幸いです。

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