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石に齧りついても。


『楽園への道』
(作:マリオ・バルガス=リョサ 訳:田村さと子)

という小説を読み終えた。

僕にとっては少し難しく、読むのに時間がかかってしまった。
だが、心は激しく揺さぶられ、自分の中に眠っていた革命ゴコロが呼び起こされるような、そんな感情を覚えた。



画家ポール・ゴーギャンと、その祖母で社会改革運動家のフローラ・トリスタンの、情熱に溢れた半生の物語が交互に紡がれていく。

ゴーギャンに関しては、ゴッホの物語に登場したり、実際に彼の絵を美術館で見たことがあるので感情移入しやすかった。
しかし、フローラのことは全然知らなかった。

フローラ・トリスタンは、労働者階級や女性の権利の確立という、当時の社会問題を改革するため、各地で身を粉にしながら闘った女性。
思い描く"楽園"とは程遠い社会に憤り、間違ったことを許さず、時に悪しき相手には誰であろうとも清々しく罵る姿は、彼女の強い意思を感じさせた。

ゴーギャンの生き様も、それに劣らず強烈だった。
全てを投げ打って文明から離れた地に移り住み、ユートピア実現のため、感情剥き出しで激しく生きる様子に、野生味を感じた。


行く手を阻まれながら、何としてでも"自由"を求めた二人。
これは情熱以上の、まさに魂の叫びの物語だ。



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