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2022年のお気に入りアルバム10枚

今年も例によって新譜で良かったアルバムについてまとめました。

年を追うごとに「今年のアルバムを総括なんて全然できる気がしない」という気持ちが高まっています。でも、それでもこうやって選んでみたり、みんなのお気に入りのアルバムをみたり楽しみ方を聞いたりしていると、一年の出来事が意外と振り返れて良いもんです。音楽好きが数人集まるだけで、お酒を飲み交わす忘年会の100倍くらいの濃度で一年を振り返れます。

それでは自分の特にお気に入りのアルバムを一枚ずつ短文と共に紹介していきます。順位は絶対的なものではなく、人に勧めたい度のようなものだと思っていただければ! 全部とても良いので気になったら全部聴いてほしい!

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#10
Other Lands - Archipelagos

スコットランドはエジンバラの再発レーベル、Athenes Of The Northからリリースされた新譜アルバムです。再発含めてAthenes Of The Northの音源が大体好きなので、今年リリースの作品を追っていて出会いました。どうやらこれが2作目らしいです。
アコースティックな音で、たゆたうようなバレアリックな音源。空をボートで漕いで逃げ出しているようなジャケットが表現している通り、人里離れたようなリラックスした世界観と、適度にクールで、温かみのある上品なアナログのシンセサイザーの音色が死ぬほど心地よいです。嫌いな人いないでしょうこれは。
特にアルバムの前半は大半の曲にドラムがなくて、ドラムの代わりをするベースラインやループがギリギリダンスミュージック的にも成り立たせているところも聴き手の負担が少なめで良いです。この構造で無限に聴けるところがある。後半は控えめに少しずつドラムが増えていきますが、アルバム全体の展開で後半の曲の印象がだいぶ誤魔化されているように思います。

世の中の流行とも交わるようで、あくまで孤立したようなある種孤独な世界観が、2022年の新譜とは思えない聴き方ができて最高です。

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#9
Hudson Mohawke - Cry Sugar

今年、とてもショックだった出来事として、CDショップのエレクトロニカのコーナーの縮小があります。コロナ渦でクラブの営業とかも色々な課題があるだろうし、今買う人も少なそうだししょうがないのかな、、とは思いつつ、露骨にお店に置いてある音源が減っていてかなりショックを受けました。減ってるとかじゃなくて、もはやギリある くらい。
エレクトロニカの棚に並んでいたような前衛的なクラブミュージックって、実は世の中に余裕があって、都市が十分に機能していないと成り立たないタイプの音楽だったのか・・・? あの種類の音楽は90年〜20年特有の文化になってしまうのか・・・? 永久前進装置としての機能は今後どの音楽が果たすんだ・・・? なんて悲観的に思ってみたりもしましたが、ハドソン・モホークの相変わらずの音源を聴いてだいぶ満たされました。
ハドソン・モホークという人の音楽は破壊的なレベルでアッパーで、そのあまりのテンションの高さに今までは多少ついていけない面もありました。しかも自分は彼の音楽を白人化したトラップのように勘違いしてた時期もあったんですが、彼はEDM的なトラップをする人じゃなくて、やっぱりあくまでヒップホップとしてのトラップを鳴らしてくれる人だよな、とアルバムを通して確認できる作品でした。そこに確信を持ててから、ハドソン・モホークの一貫したブチ上げっぷりが頼もしい。
前半のテンションのヤバさも、今時メガミックスでアルバムを紹介するスタイルも相変わらずで良い。さらに今回はアルバム後半でソウルをサンプリングして初期のカニエのような試みを行っていたり、UKガラージ的なトラックを鳴らしていたり、アルバムを通して聴いてもかなり面白かったです。
ハドソン・モホークの美学は揺るがないけど、「ハドソン・モホークらしさの再生産」を行わずに永久に前進を進める様がマジで最高です。これだよこれ!

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#8
Shabason & Krgovich - At Scramouche

年間ベスト忘年会でこのアルバムを出したら、誰も知らないと思ってたのにみんなに「あぁー いいよね」って言われました。なんでみんなこれ聴いてるの、、、と驚いたアルバム。
というのは不要な情報で、昨年「The Fellowship」という傑作アルバムを出していたトロントのサックス奏者ジョセフ・シャバソンと、みんな大好きなバンクーバーのメロウポップの天才ニコラス・ケルゴヴィッチのコラボアルバム。この2人は昨年にもクリス・ハリスも交えて制作してましたし、しばらく目が離せない界隈です。
メロウなポップスという表現でも伝わりそうだけど、アンビエントポップとも言いたくなるくらいの優しい音楽(今作った言葉のつもりだったのに、他の文章でも大体そう言われていた)。藤沢に引っ越してからこのアルバムが似合いまくりでめちゃくちゃ聴いています。
しかもただ優しいだけじゃなくて、結構ちゃんとカラフルにポップアルバムとしてできていて、それがまた繰り返し聴きたくなります。室内だけでなく、散歩中にもかなりよい感じで聞けます。
曲のタイトルやテーマもアホみたいに些細な話が多くてとても良いです。恋愛とかですらない。例えば「I'm So Happy With My Little Dog」とか、タイトルみただけで今後難しく考えることをやめたくなるくらいの良さがあります。

でも実際、「夕暮れの駐車場」の話とか、「看板の蛍光灯」の話とかの方が癒されるんだよな〜 あまりに良すぎて、表現とはどうあるべきかを考えてしまいそうにもなるけど、曲の快楽のせいで難しく考えられないアルバム。控えめに言って最高です。

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#7
Jorge Drexler - Tinta Y Tiempo

南米はウルグアイの世界的シンガーソングライター!ホルヘ・ドレクスレルのアルバム!
とか言ってますが正直このアルバムを聞くまで存在を知らなかったです。映画「モーターサイクル・ダイアリース」のエンディングテーマを歌って、ウルグアイで初めてアカデミー賞を受賞したシンガーソングライターだそうです。現在はスペインのマドリードに住んで活動しているそう。
一曲目からパナマの歌手ルーベン・プラデスが参加していたり、4曲目ではスペインの若手ラッパーCタナガナが参加していたり、6曲目ではイスラエルのノガ・エレズが参加していますが、もちろん全員このアルバムで初めて聴きました。この文章もこの辺まではただの事実の羅列でほとんどコピペで書けそうですね。

でも本当に、それくらい知っている要素がない(とても失礼)アルバムなのですが、そんな耳で聞いてもものすごく多彩で、何も知らなくても余裕で好きになれるアルバムでした。
アコースティックで優しくてもダンサブルで、最高にメロディアス。この辺りの塩梅と引き出しの多さにラテン音楽の深さを見るような思いです。転調もたくさんしながら曲が進んでいくうえ、サンバやボサノヴァの要素が要所要所で顔を出します。それだけでなく、現代的なビートミュージック的な要素や、映画音楽のようなスケールの音の重なりが聞こえたと思ったら鼻歌のようなか細い歌声に瞬時につながったり、演奏もオーケストラのような重奏から弾き語りのような繊細なメロディを駆使して細かい転調も繰り返しながら丁寧に織り込まれていて、何も知らない状態ですらその振れ幅に聞き流して消費できない凄まじさがあります。

単純にポップスとしての強度がすごいなと思って聞いていたので、このアルバムの素晴らしさが言語化できている自信がないのですが、たぶんいろんな要素をぶち込んだ一曲目を聞いただけで言いたいことがわかってもらえると思います。
無知な自分にとって「ほとんど知らない文化の異国の大作ポップアルバム」として、とても印象的な作品でした。
どうみても大作なのに素朴なところもマジで良いです。

もっと調べたかったけど、スペイン語の壁はまだ高い、、、! いつかもうちょっとちゃんとラテン音楽に接したい。


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#6
Drake - Honestly, Nevermind

今までのドレイクの作品で一番好きです。

ドレイクって、もうラッパーとして頂点取っちゃってるような人だし、彼に期待するものは人それぞれ色々な形があると思うんですが、自分は多分これを期待していました。ドレイクを初めて聞いた時のSo Far Goneの印象が忘れ難くて、自分は少しメロウに歌うドレイクをずっと期待してましたし、今までの作品で一番好きなアルバムはTake Careっていう人間だったのでね。

今作はそんな「メロウに歌うラッパー」としてのドレイクがそのまんまで一枚アルバムを作ってくれた作品。それだけでもすごく嬉しかったのに、内容もとても良いです。なんならジャケも良いです。
トラックは全部ハウス風味で、起用しているトラックメイカーからも南アフリカのブラック・コーヒー(そういえばこの人はMore Lifeにも参加してましたね)だけでなく、2曲目からベルリンのアンドミーやランパも巻き込んで、アンダーグラウンドなハウスにも目配せしている様子がみてとれます。他にも一部のファンは例のベッドが軋む音で「あ、ジャージークラブだ」なんて思ったりもするでしょうが、自分は実際にはこういうダンスミュージックのラベル付けにときめいているわけではなくて、冷たい血が流れているような一貫したアルバムのクールな流れと世界観に強い感銘を受けました。夜に車で聞いたらマジで最高だろうな。

ヒップホップ黄金期と呼ばれる90年代のヒップホップアルバムの中でも、特に自分が好きなアルバムにウォーレンGの「Regulate…G Funk Era」という超激ヤバ名盤がありますが、あのアルバムで徹底して流れた冷たい空気のクールな世界観に通じるものがこのアルバムにはあるように思います。(もしかしたらこれは褒めすぎかもしれません。納得できないギャングスタラップ好きいたらごめんなさい笑)

ドレイクの抑揚のあまりない歌声とちょうど良い塩梅の「いなたさ」と、ハウスを基盤にしたダンスミュージックの徹底したミニマルさがこの世界観を作っているように思えて、幸運なことに、逆に音楽的なラベルが全部目に入らないで、耳だけでこの作品を聞けていると思います。

色々調べたらこの作品はヴァージル・アブローへの追悼アルバムとしての側面もあるようなので、理解が進むともう少し感想が変わるかもしれませんが、今のところはこれくらい気に入っているということで。


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#5
Moin - Paste

自分がこういうポスト・パンクを年間ベストに選ぶのは本当に珍しいと自分でも思うのですが、マジでかっこよかった。

「ペースト」ってタイトルも、素っ気なさと徹底したミニマリズムを感じて痺れますね。

今はないレーベルBlackest Ever Blackから音源をリリースしていたライムのメンバーと、ヴァニシング・ツインなどでドラムを叩いていたパーカッショニストのヴァレンティーナ・マニェッティのグループです。
ここまで紹介したら忘年会に参加していたメンバーにヴァレンティーナ・マニェッティのかつて出していた陶器のドラムで作ったアルバムを紹介されました。みんな知りすぎてて怖いです。

アルバムの中ではクラウトロックのようなインダストリアルでミニマルなギターロックを展開します。ちょっと無理にジャンルで区別するならクラウトロック、ミニマルテクノ、ポストパンクあたりが近い音楽だと思うのですが、実際にはそれら三つがバランス良く取り入れられていてどうとでも聞けるように設計されていて、そこが自分にとってとても良いです。ボーカルもボーカルとしての響くものじゃなくて、もうサンプルの素材の一つとしてしか響かないものになってて、逆に自分はロックじゃない音楽として安心して聞けます。
色々な過去の音楽の名前を引用しながらその特徴を説明しようとしていますが、アルバムを聴いた感覚は決して懐かしいような類のものではなく、本当にちょっとかつての音楽のバランスを変えたり、ちょっと要素の配置を変えたようなくらいのものなのに(もしくはそれがゆえかもしれませんが)現代的な新鮮なクールさがあります。

何より、Blackest Ever Blackが無くなっていたのがめちゃくちゃ残念だったのですが、こういう形であの音楽性が引き継がれていてとても安心しました。

ジャケもかっこいいのでアナログが欲しくて今探しています。


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#4
Maylee Todd - Maloo

この人ってこんな人でしたっけ?
自分はBaby's Got Itのイメージが強かったし、昔レディガガ・ミーツ・ノラジョーンズとかって言われていて、少し変わったことはするけどあくまで素朴でポップな女性シンガーだと思っていました。
なので、この何か間違ったヤバいアバターみたいなジャケみた時に「あれ?同姓同名のシンガー?」って思うくらい困惑しました。レーベルもストーンズ・スロウだし、かつてのイメージとマジで全然違う!
とはいえ、音楽的には自分の好みにめちゃくちゃに近くなっていて、二重で驚きました。サラミ・ローズ・ジョー・ルイスといい、最近のストーンズ・スロウはこういうDIYな質感の残るローファイなベッドルームポップ好きですね。
どうやらこれらのCGやVRの要素などは本人が作っているようなので、ディレクションが変わったとかじゃなくてマジで元からこういう人で、媒体や時代が変わってこうなったって感じなんですかね。そういえばYouTubeにアップされているInfinate Programのビデオも謎に360度視点が変えられるやつだったけどあれも本人が作ったのだろうか。どっちかっていうとジェリー・ペーパーとかの世界だろと思っちゃうけど、、、、、(ジェリー・ペーパーもそういえばストーンズ・スロウから出してたな、、、笑)

最近のメイリー・トッドはYAMAHAのテノリオンを使ってライブをすることが多いようですが、そう言われて聞くとアルバムのイントロからテノリオンの音が特徴的に響きます。こうやって聞くとこの音もソウルミュージックのキーボードのようで趣深い音ですね。
どうしてもソウルの影響が出ちゃうところが自分がこの人の音楽の好きなところで、このアルバムも例に漏れず、素朴な電子音とコーラスでできていながら、チープで温かい新しいソウルミュージックが生まれているような感覚になります。

決して大作ではなく、小粒な作品ではありますが、ヤバいコンセプトのようでめちゃくちゃ一貫した美学に基づいたアルバムで、懐かしい音楽のようで未来を見据えた音楽にしか聞こえない作品です。普通に曲もめちゃくちゃ良いし、こんなん好きにならずにはいられません。

ちなみにこのアルバムも年間ベスト忘年会に出席した全員が聴いていました。そんなことがあるなんて、、、あの時の渋谷で何人が聴いてたんだこのアルバム。


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#3
Black Panther:Wakanda Forever - Music From and Inspired By

5つの国で録音されたとか、2500時間以上の録音とか、そのスケールだけでも例を見ない規模の作品なんじゃないかと思いますし、収録されている音楽を見ても世界のポップスの2022年を一番表したアルバムって何気にこれなんじゃないかと思います。

マーベルの映画「ブラック・パンサー:ワカンダ・フォーエバー」のサントラ。
ブラックパンサーはアフリカ出身のヒーローとして、ほぼ黒人だけのキャストで大ヒットした前作「ブラックパンサー」の時点でアフリカ文化を踏襲した美しい世界観が作られていましたが、今作はさらに映画で描かれる世界のスケールが大きくなっています。
アフリカだけでなく、スペインに植民地化されるメキシコの先住民族の国が描かれ、より出てくる文化の量が増えていて、それがそのままサントラの中の音楽の多様性にも反映されています。その規模や詳細について、自分がここに書いても他の人の記事の転載になりそうなので、興味がある人は池城さんの全曲解説とかを是非読んでみてください。とてもおすすめの記事ですので。

しかし、映画自体も主演のチャドウィック・ボーズマンの死によって現実と映画が悲しくつながってしまったようなところがあり、その悲しい現実がゆえに、リアーナの素晴らしい主題歌「Lift Me Up」も、アフリカのテムズのボブマーリーのカバー「No Woman No Cry」も、誰が誰に歌っているのか考えながら聴いてしまうところがあります。前作の歴史的成功からの、チャドウィック・ボーズマンを失った悲しさを思い出して涙が込み上げてしまうし、背景を知らない人より明らかに感情移入して聴いてしまっていると思います。

主演の急死という悲しい現実と、映画のストーリーを絡めながら、アメリカ、イギリス、メキシコ、ナイジェリア、マヤのミュージシャンを通して生まれた、2022年最大規模の大作アルバムだと思います。結果的に今注目されているアフリカ音楽とラテン音楽を多く収録しているところも特徴的。ていうか普通にバーナ・ボーイのAloneとか、ファイヤボーイDMLのComing Back For Youとかシングルとしても粒揃いでいいアルバムです。

でもね、一個だけ不満があります。
俺はスノウ・ザ・プロダクトにはラテンな音楽よりテック・ナインと渡り合うレベルのガチガチにスキルフルなラップを求めたかった笑 一個だけ不満をいうとそこです。



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#2
ROSALÍA - Motomami

なんか久々にガツンと来た痛快なアルバムでした。
スペインの歌姫ロザリアの3作目!

最近アメリカやイギリスから新しいポップが生まれるのはもはや半分諦めかけているところがありますが、この作品は、フラメンコを下地にレゲトンやヒップホップ、エレクトロニカも全部飲み込んで、全部自分色に染め上げていてマジで痛快でした。
ウィーケンが客演しても、トラヴィス・スコットが客演しても、全部ロザリアの世界に連れて行ってしまう。
アルバムリリース前のシングルの切り方や、スマホで見ることを前提にしたTikTokライブも最高に刺激的で、色々と語りたくなるところではあるんですが、素直に自分にとってはチャーリーXCXと双璧をなす2022年の先鋭的なポップスとして最高の音楽でした。
しかもトラックとかの話だけじゃなくて、ロザリアって声もめちゃくちゃ良いし、フラメンコ由来の歌唱もアメリカ音楽中心に聴いている身には新鮮で個性的に響きます。なんか知らないけどラップもうまいし、オートチューン混ぜても最高。無敵かよ。

今更俺は「先進性」なんて信じてるのか、、自分でもよくわからないところがありますが、それでもやっぱり音楽に新しい刺激をいつまでも求めたいし、表現にくらい自由な領域を求めたい。このアルバムは自分にとって2022年で一番自由な領域に見えました。

マジで痛快だからまだ聴いてない人は一回聴いてみてほしい。


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#1
Burna Boy - Love,damani

2022年はこれを一番聞きました!
ナイジェリア出身のアフリカン・ジャイアント、バーナ・ボーイの6作目のアルバム!

バーナ・ボーイはアフリカ音楽を下敷きにヒップホップやダンスホールレゲエ、ソウルなどを取り込んでいるミュージシャンで、新ジャンル「アフロフュージョン」の新星とかって言われたりしますが、正直その辺どうでもよくて、何歌ってもソウルフルに響くので、自分は無理やりアフリカの新時代ソウルと解釈して聴いています。トラックを除けばDRAMとかに近い感覚で聴いているかもしれない。
トラックのチョイスから本人の歌唱スタイルまで、バーナ・ボーイ節があるので、J Husでもエド・シーランでもケラーニでも、客演してもわかりやすい再生産曲にならず、しっかりコラボになって聴いたことない化学反応が起こるのが素直に楽しいです。

自分がヒップホップにどハマりし始めた2000年代半ばは、こういう主役がドカンと座って客演が脇を添える大作アルバムがたくさんリリースされていたんですが、今ではそういう作品はとても少なくなって、客演の多い作品はDJキャレドとかのああいうのばっかりになってしまっていたように思います(あれはあれで好きだけど)。このアルバムは10代の頃のあの気持ちを思い出させてくれる作品でマジで繰り返し聞きました。

はっきりとアルバムとして多彩で飽きなくて、曲も粒揃い。
めっちゃシンプルですが、これこそ自分が思う「いいアルバム」の一つの形でした。意外とこういうのが貴重になってきていると思います。



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今年はnoteもついに退職して、住む場所も引っ越しして、コロナ禍で静かに環境が変化した一年でした。
マジでCDショップでは音源をほとんど買わなくなってしまっていますが、こうやって振り返るといい音楽はいっぱい出ているので、もうちょっと音楽の話をいろんな人としたかったなーと思う一年でした。

特にSaultの作品群とかは人と話さないと消化しきれてない気がします。誰か他にも語りたい人がいたら教えてください。