小樽

 思い出した思い出したことがある。札幌の隣、小樽にとてつもなく巨大なショッピングモールが出来た当時、すごい人出だった。いいテナントも当時入っていた。映画館も併設されていた。よしもとの演芸場もはいっていた。大観覧車もあった。ロードオブザリングの何作目かはそこで観た。珍しめの古着屋も入っていた。ギャルブランドのエゴイストもはいっていた。そこの店員さんは私好みで大好きだったが私はそこで買える服もないので通り過ぎるだけだった。遠くからみてかっこよいなあといつも思っていたが、凝視するとキモいと思われそうなのでなるべく普段通りの目つきで通った。
 私はそこに目指すものがあったので行った。映画とか古着屋とか。当時あそこにはそうじゃない人ら、巨大ショッピングモールを観光地として消費する人らですごい混雑だった。そのエゴイストの店員さんと、そこに60年くらい年齢を加えたおばあさんが私の視界で重なり合う。別の種族だなあエルフとホビットかと思った。とても面白かった。
 そのうち、飽きてだんだん人がいかなくなる。そりゃそうだいつ行っても同じものしか置いてないもの。テナントがどんどん撤退する。私の目指す店もなくなりそして行かなくなる。そのうちよしもとがつぶれた大観覧車が撤去された。あの巨大な建物内部はシャッターだらけになった。真女神転生なら歩いていると敵が出てくるようなダンジョンっぽいビルになった。その近所にあった石原裕次郎記念館も更地になった。
 ロシア貿易で一瞬盛り上がった小樽のあの時の外国人への態度をみて、この街滅んでしまえ、と思ったが、ロシア側の法改定で輸出入の船も来なくなった。どんどんさびれていった。いま、小樽の不動産、250ccバイクの中古より安い。誰も買わない。その一瞬盛り上がった当時、釣り人も締め出す感じで防波堤のあちこちに柵を作っていた。
 いま滅びていく感じの小樽を横にみながら「ざまあwww」と思う。

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