先月あたりに卒業したのに
何年何組だったかは覚えている担任の教師が誰だったかも覚えているしかしどんな勉強内容をしていたのかちっとも思い出せないのが小学校できっとひらがなやカタカナや漢字もローマ字も分数の計算も少数の計算も平面の面積や酸だのアルカリだのも跳び箱の飛び方料理の作り方その他一応基本的なことは全部教えられて覚えているのだからやったんだろうと思うが、どうやって教えられたのかその状況を全く覚えていない記憶していない。国語の教科書になにが題材で掲載されていたかなどまるで覚えていない。覚えていたところで無駄な記憶なのでなくてもいい。きっと当時の教科書そのものを渡されても「そうだったか?」程度だと思う。小学校時代の記憶はそんなにない。偶然にも私と同じ小学校で同じ特殊な授業形態を経験していた方がいて、そのきっかけから「あそこにあったのは〇商店、あそこの文房具屋は△商店、北海道大学の管理みたいにしてあったとてつもなく原始林みたいな公園の端っこの店の名前も教えてもらった全然覚えてなかったあの時教えてくれてどうもありがとうこの前車でぐるっとまわってきたよ大学湯は健在だった。
中学高校くらいになってようやく教科書の断片を思い出す。よく見かける「配布されたら先に読んでしまう」ようなタイプの子どもではなかった。ただどの教科のどの教科書も授業になる前に先に読んでいたのだけど、それはそういう前述の読み方じゃなくて、ある種かったるい授業内容の時が結構あってそんな時に終業チャイムまでの時間つぶしに先の方にはなにがあるかくらいで読んでた。英語の辞書もかったるい時用の読み物だった。絶対に授業では出てこないと思われるMalapropism(たしか例文にはnice arrangementをnice derangementと言い間違えるマラプロップ夫人の例文が載ってた)とか、skeleton in the cupboardとかアンドソーオン英語の辞書だけに!
生物の「蝶を蛹時代に切断してガラス管でつないだ実験写真」とか「鎌形赤血球」とかそんなの。
国語もつまらん内容の文章は結構あった全部面白く読めるわけがないただし授業がかったるい時は先の方を読んでた。教科書をひらいている分には叱られもしない。もうちょっと真面目に授業を聴いておけばよかった。
これが大学になると結構記憶に残ってるのは、内容が面白いとかいうより、いまから考えてそんなに昔じゃないから、の理由の方が大きいだろう。だってあの学生時代、先月みたいなもんだもの。先月あたりに卒業したのにもうこんな年齢なのに驚く。古書店で出版年に1995年とかあると「わお!最近!」と思うが、ちっとも最近じゃない30年も前だ。私はきっと光速で移動してるんだと思うウラシマ効果というやつだ。